妄想
地水火風水か。
身に覚えがないが、知っている気がする。
よし。試してみるか。
こう言う時こそ。
あの妄想が役に立つかも知れない。
俺は心を過去に向けるような気持ちで集中する。
四角いフレーム。
その中で二人の人物が会話をしている。
良いぞ。
妄想を膨らませる。
そうなんですか先生。
はい。古代において、世界は四つの元素で出来ていると考えられており。
地、水、火、風。
これらは、多面体と結びつけられ、形を分解する事で相互変換出来ると考えられ。
「あら。シェパードちゃん。ごはん足りなかったの」
侍女の声に気が付くと俺は空になった容器を舐めていた。
「シェパードがどうかしたのですか」
姫が不思議そうに椅子の上から俺を見下ろしている。
今日は姫と手伝ってくれた侍女二人。それと俺の四名で食事をしていた。
「いえ。シェパードちゃんがずっと器を舐めていたものですから」
容器が綺麗に輝いていた。
「シェパード。ごはん足りなかったの」
俺は姫の言葉にいいえと鳴く。
「足りてたみたい。きっと何か考え事をしてたのよ」
「考え事ですか」
「ええ。だってシェパードはとてもお利口なのですから」
「はあ」
「姫様ったら」
侍女二人は納得していない様子だが姫が正解だ。
姫と俺は心が本当に通じ合っている。
まあ、食事の時に考え事は止めよう。
食べた気がしない。
それにしても。
地水火風か。世界はこの四つで出来ている。
そう考えると。
マナが地水火風だ。
俺は魔法のヒントを掴んだ気がした。




