魔法を使える者
「魔法の授業ですので、いっものように誓約を唱和しましょう」
姫と子供達は声を揃えて魔法を学ぶ者の心得を宣言し始めた。
「魔法は誰もが使えるものではありません」
「使えぬ者は決して恥じては成りません」
「使えない者が普通です」
「使える者は他の者の助けとならねば成りません」
「使える者は自らを特別視してはなりません」
「使えぬ者は使える者を特別視してはなりません」
「どちらも同じエルフなのです」
そうか。姫は数少ない、魔法を使える者なのか。
この村で魔法を見た事が無い。
魔法の習得はかなり難しいのだろう。
「先生。魔法を使えるのはエルフだけですよね」
「はい。その通りですよ。体にマナを持つのはエルフだけですから」
「ドワーフも。それと。えーと。人間も魔法は使えないんですよね」
ドワーフ。人間。そうか。
何となく予想はしていたが居るんだな。
「はい。ですが、エルフの作った魔道具さえあれば使えますよ」
成る程な。この子達の会話。今の俺には役に立つ。
「動物も使えないんですか」
「当たり前だろお前。エルフしかマナを持っていないって先生が言ってるだろ」
犬の俺に魔法は無理か。
だが知識が有ればマナの回復だって。
魔道具の活用もあり得るのでは。
「シェパード隊長だったら使えますか」
名前を呼ばれて俺は戸口から一瞬頭を引っ込めた。
俺の姿を見られたらまずい。
学校に犬が現れたらどうなるか容易に想像が付く。
授業の妨げだ。
俺はもう一度、慎重に教室を覗く。
「シェパードだって犬ですよ」
姫は笑っていた。
「でも。もしかすると使えるかも知れませんね。だってとってもお利口さんですもの」
薄い根拠を口にして姫は楽しそうに笑っていた。




