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戦死した俺は異世界で犬の生活  作者: ウエンズディー・S・水田
飼い犬編

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39/63

猟犬

 エルフ達と森に入る。

 俺の感覚が研ぎ澄まされる。

 忘れていないな。

 この感覚。


 離れているが獲物の気配。

 大きさ。行動。種類。

 匂いを嗅ぐ前から多くの事が感じ取れる。


 俺は先頭に立って静かに歩く。

 後に従うエルフ達の立てる物音が大きい。

 風向きも安定していない。

 皆で近付けるのはここまでだ。


 俺は立ち止まり振り向くと、すぐ後ろを歩く姫の前にすわる。


「あら。どうしだのシェパード」


 前足を姫の膝の上にそっと当てがう。

 ここで待っててと願いを込めて。


「分かったわ。皆、ここで待っててって」


 姫は直ぐに察した。

 皆が立ち止まると、俺は獲物を狩りに森の中を駆け出す。


「姫。あの犬は何をする気でしょうか」

「そうね。きっと皆のためになる事よ」


 俺は獲物の逃走経路を操り、エルフ達の居場所に誘導する。


 俺の吠え声が近付いたときエルフの姫はハッとして周りに声をかけた。


「みんな。すぐ弓を構えて」


 茂みから猪が飛び出す。

 驚くエルフ達の前を通り過ぎる猪。

 おい。早く仕留めろよ。

 俺は猪の前に回り込み足止めする。


 風を切り、一本の矢が猪の背中に突き刺さる。

 姫の矢だ。

 さすがリーダー。

 続いて兵士達の矢が次々と猪に打ち込まれる。

 エルフの矢は正確だ。


 倒れる猪。

 エルフの姫が駆けて来る。


「本当に。なんてお利口なんでしょう」

 姫は俺を強く抱きしめた。


「おい。嘘だろ」

「こんな簡単に」

「この犬、天才だ」

「名犬だ」

「名犬シェパードだ」


 エルフの兵士達は俺を賞賛し続けた。

 どうた。これが猟犬だ。凄いだろ。

 俺はエルフの友になった。

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