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戦死した俺は異世界で犬の生活  作者: ウエンズディー・S・水田
野犬編

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熊の親子

 突然群れが騒がしくなる。

 川を渡る風で匂いがここまで届かない。

 群れは何かに怯えてパニックを起こしている。


 俺は直ぐ群れの元に引き返した。

 状態は一目で見て取れる。

 子連れの母熊が俺たちの鹿を奪いに来たのだ。

 野犬を脅して食い物を奪う。

 過去に上手く行き学習したのだろう。


 ならば俺たちの獲物に手を出すとどうなるか学習させてやろう。


 俺は群れの中を駆け回り混乱を沈める。

 標的は小熊だ。

 群れに合図を出し散開させる。


 最初の集団が小熊に襲いかかる。

 怒り狂った母熊が、小熊を襲う犬達に突進してくる。


 相手をするな。

 俺の合図で犬達は逃げ出す。

 逃げる犬達を追う母熊の背後で、次の集団が小熊に襲いかかる。

 小熊に駆け戻る熊。逃げる犬達。母熊の背後で新たな集団に襲われる小熊。


 数回繰り返すと母熊は犬達を追わなくなり、小熊の前でうなり声を上げて威嚇し始めた。

 小熊を守りながら集団を相手に戦う事など出来ないのだ。

 母熊は完全に動きを封じられていた。


 もう良いだろう。これ以上は無意味だ。

 俺は群れに合図を送る。

 ゆっくりと犬の群は後ずさりしながら熊から離れて行く。

 戦いの終わりを察した母熊は小熊を連れて山奥に駆けていった。


 これで俺たちと敵対するとどうなるか、あの熊は学習しただろう。

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