入浴
俺の予想は当たっていた。
目の前には木の板で作られた塀が立っていた。
真ん中に扉が付いている。
扉の向こうは温泉だ。間違いない。
何故か滝の音が響いているが。
塀の前に兵士を立たせ、姫は俺を連れて扉を開けた。
一歩下がって侍女が付いて来る。
温泉は俺の予想を越えていた。
滝だ。目の前いっぱいに滝が広がっている。
落差は低いが幅が広い。
滝は白いカーテンをいっぱいに広げたように岩肌を伝って落ちていた。
滝の手前には広い滝壺があり、表面にうっすらと靄が漂っていた。
「この滝は暖かいのよ」
姫がまるで説明するかのように俺に話しかけた。
「さあ、入ってみて」
俺は言われるまま滝壺に入った。
暖かい。熱すぎず丁度良いじゃないか。
滝壺は浅い。特に水際は俺が伏せて浸かれる程だ。
「本当にお利口ね」
後ろから姫の嬉しそうな声がした。
滝壺は奥に行くほど少しずつ深くなっている様子だが、人間ならば滝まで歩いて行けるだろう。
これならば打たせ湯が出来るはずだ。
なんて素晴らしい天然の温泉なのだろうか。
俺は湯に体を浸した。
「さあ洗いましょう」
姫に声をかけられて俺は振り向いた。
えっ。
姫は裸だった。
いわゆる全裸と言うやつだ。
手にブラシを持っている。




