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飼い犬
「姫。お分かりでしょう。あの犬です。森で出会った」
「はい確かに。あの子ですね」
「如何なさいましょうか」
「如何とは」
兵士は俺に強い警戒心を抱いていた。
「あの犬は不吉です。我々に災いをもたらすやも知れません。追い払うか、いっその事、子供達の目の届かぬ所で」
俺を殺そうと言うのか。
「飼います」
「えっ。姫。今なんと」
俺も驚いた。
「私が飼います。居場所を失い私達を頼って来たのでしょう。可哀想に。救える命が有れば私は救います」
救える命が有れば救う。
以前も彼女から同じような台詞を聞いた事が有る。
灰色熊との戦いで深手を負った俺の傷を癒やしてくれた時だった。
「姫。お考え直し下さい。あの犬は尋常ではありません。それに失礼ながら今の我々の食料事情からしても」
「私達の台所事情は分かります。ですが本来であれば一国を背負ったであろうこの私。増えた犬一頭を養えないなどと言っておられましょうか。私が何とか致します」
「はあ。姫がそうおっしゃいますならば、致し方有りません」
本来であれば一国を背負う。
これは彼女の決め台詞だろうか。
結局俺はエルフの姫様の飼い犬になった。




