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戦死した俺は異世界で犬の生活  作者: ウエンズディー・S・水田
野犬編

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犯罪

 群れを離れた俺には一つ懸念が有った。

 狼との覇権争いが目立ち始めている。

 狼の若いリーダーは群れを掌握しつつあった。

 これから更に積極的に仕掛けてくるだろう。


 ナンバーツーはリーダーになったばかりだ。

 経験が足りない。

 今、狼と衝突したら勝ち目は薄いだろう。


 狼の群れを弱体化しなければ。


 俺は狼のリーダーを監視する事にした。

 狼の群れから距離を取り、風の流れを読み、身を潜め、リーダーの動向を探り続けた。


 しばらくすると有ることに気が付いた。

 狼のリーダーは夜、決まった時間、決まった場所で用を足すのだった。

 崖から張り出した大岩の下で。


 その夜、俺は鹿の骨を咥えていた。

 大腿骨の一部だ。

 大きく、かなり重たい。

 先に行くほど太くなり、腿関節の大きな塊には肉の筋が太く絡みつき更に大きさを増していた。


 狼のリーダーは今夜も一頭で群れを離れた。

 俺は慎重に後を付ける。

 崖の近くまで見届けると俺はルートを外れ、慎重に崖を渡り大岩の上に先回りした。

 風は大岩に向かって吹いていた。


 しばらくすると、狼のリーダーがやってきた。

 いつものように岩肌に用を足す。

 岩の上で俺が待ち構えているなど思いもしない。


 俺は重たい骨をしっかりと咥えて大岩から勢いよく飛び降りた。

 空中で体を捻り、しなりを作る。

 狼の後頭部を視界に捕らえ、体の捻りを戻しながら一気に振り下ろした。

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