別れ
俺は大きな木の根もとで眠りについているナンバーツーの鼻先に顔を近づけた。
鼻と鼻が触れ合う。
ナンバーツーはゆっくりと目を覚ました。
夜の森を歩く。群れから次第に離れて行く。
ナンバーツーは俺の後を付いてくる。
しばらく歩いた俺は立ち止まると振り返った。
鼻と鼻が触れ合う。
お互い匂いを嗅ぎ合う。
意志疎通は出来るだろうか。
俺は不安になった。
しばらくしてナンバーツーは俺から数歩後ずさると悲しい声で鳴いた。
そうだ。分かるな。俺は群れを去る。お別れだ。
今からお前がリーダーだ。
俺の感情を感じ取ってくれた。
俺が立ち去りかけると悲しげな声が背中に向けられた。
俺は思わず足を止める。
お前は優しい奴だものな。
ずっと俺を頼ってくれてたな。
俺のことが大好きだものな。
だがそんな事では一生リーダーになれないぞ。
さあ、お前がリーダーだ。
俺を群れから追い払え。
立ち去って行く俺の後ろから悲しい声が聞こえてくる。
まさか後を付いてこないだろうな。
群れを離れる決心が鈍ってしまう。
俺は不安になった。
だが俺達の距離が離れた時だった。
ナンバーツーが意を決したように激しく吠え立てた。
それでいい。
さあ俺を群から追い出せ。
もっと激しく吠えろ。
こう有るべきなんだ。
俺は群れを後にした。




