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戦死した俺は異世界で犬の生活  作者: ウエンズディー・S・水田
野犬編

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熊を殺す武器

 俺が全ての希望を捨てかけた時、風を切る音と共に熊の目に矢が刺さった。

 顔を背けた熊に次の矢が放たれる。

 両目を潰された熊の口に矢が突き刺さった。

 こめかみが打ち抜かれ、ひときわ大きな風切り音を残して、熊の脇に矢が深々と突き刺さった。

 力を込めて放たれた矢が熊の心臓を射抜いたのだ。


 何故だろう。俺は知っている。記憶に無いのに。

 熊を殺す武器。これは弓矢だ。

 しかし、これほど強力な弓矢を俺は見たことが無い。

 有るはずもない記憶。気持ちだけが浮かび上がる。


「野犬もいるぞ」

 声と共に木の陰から黒いフードで顔を隠した黒づくめの男達が現れた。

 仲間の犬達に矢が向けられる。


 人間だ。

 俺は石を咥えて投げつける。

 石は男の手首に当たり矢が有らぬ方に飛ぶ。


「何だこいつは」

 俺は走り回り、次々と石を投げつけた。

 不思議な高揚感が俺を支配していた。


 仲間が散り散りに逃げ去った時、俺は人間に囲まれていた。

 引き絞られた弓が向けられている。

 俺の体が一気に重くなった。

 血を流しすぎたのだ。

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