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悪役令嬢は妖刀と生きる  作者: 高塚 ミヤビ
第一章

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第八話 前編

エヴィン先生と三つの約束をした後、テラスにはいつの間にか黒板のようなものが用意されており、すぐに授業が始まった。


「まず初めにレイラ、お前は魔術とはなにか説明できるか?」


「魔力を使って炎とか水みたいなものが出せるようになる事とかですか?」


エヴィン先生に問われ、最初に思いついたのは、前世で見た創作物で描かれていた魔術だったので、その印象を答えた。


「それも間違いではないが、正確には魔術とは魔力を対価に事象を引き起こすことができる手段のことだ」


前世にも似たようなシステムを持つゲームをやったことがあったので、理解するのは容易だった。

しかし、事象と広義にして訂正したということは、かなり応用が利くのだろうか?

そんなことを考えていると、エヴィン先生はゆっくりと立ち上がる。


「ここで言う事象ってのは、お前さんが言ったように炎や水、他にも風や岩のような自然現象以外にも、身体能力を強化することで通常の何倍も高速で動けたり、身体の損傷を回復することもできたりする」


手を軽く払うような仕草をした次の瞬間、何もない空間から、大人の握りこぶしほどの火球が現れる。

その火球はゆらゆら揺らめきながら燃焼物がないにもかかわらず空中を同じ位置で保ちながら燃え続けている。

これが魔術なのかと目を輝かせていると、エヴィン先生は説明と並行して様々な魔術を一通り披露してくれる。


「私も頑張っていけば、エヴィン先生みたいにいろんな魔術を使うことができるようになるのでしょうか?」


「それはわからん」


あまりにもきっぱりと返された言葉に、思わず瞬きをした。


「なぜなら、人には干渉しやすい事象が異なっているからだ」


エヴィン先生は私の様子を見て補足するように説明を続ける。


「この違いの事を魔術適正の違いなんて言ったりするんだが、この魔術適正が違っていれば当然、俺と同様には魔術を使うことはできない」


人にはそれぞれ得意不得意があるように、魔術にも人によって行使できるものと行使できないものがあるということか。


「だから、エヴィン先生は適性が同じか判明していない私に対して、わからないとおっしゃったのですね」


「そういうことだ。ただ、身体強化に関しては事象に干渉しているわけではなく、身体の魔力操作の練度によって決まるから、この限りではないけどな」


エヴィン先生はそう付け加えると、筋骨隆々とはいかないものの、ある程度鍛えられているだろう力こぶを見せつけてくる。

私は筋肉フェチでもないので、男の人の腕は血管が浮き出たり、筋肉でゴツゴツしているんだなぐらいしか思わないが、先生は私に褒めてほしいのだろうか?

そんなことを疑問に思いながらも素直に褒めると、満足したのか説明に戻った。


「少し脱線したが、そんな魔術適正の違いを大きく分けて炎、水、風、土、闇、聖の六つの属性に分類されている」


この魔術適正の属性の種類もゲームの時と同じようだ。

ゲームではこの属性に相性表なんてものがあって、敵の使う属性に有利な魔術を使うキャラクターを編成して、有利に戦っていくのが一般的な攻略法だった。


「そして、大抵の魔術師はこの六つの属性の中から自身に一番適性のある属性を極めていくことになる」


「それはなぜですか?複数の属性を使えた方が強そうなのに」


そう疑問を口にすると、エヴィン先生は少し口角を上げると、魔術で火球と水球を披露してくれる。


「この二つは同じ魔力量を使用して行使した、適性のある魔術とない魔術の違いだ」


それらの大きさは比べるまでもないほどに違い、サッカーボールほどの大きさがある火球とビー玉ほどの大きさしかない水球だ。


「見ての通り、適性のない属性の魔術を行使すること自体はできるが、適性のある魔術と同じ威力の魔術を行使できるようになるには途方もない時間が必要だ」


つまり、適性のない属性の魔術は著しく威力が出ない仕様だから、それの威力を上げるより適性のある魔術を行使した方が強いので、適性のある魔術を極めるということなのだろうか。

確かにゲームの時もキャラクターによって決まった属性の魔術しか使用できなかったのは、そういう設定だったからなのかと納得していた。


それよりも、エヴィン先生が予想していたよりもしっかりと講義してくれることに、内心驚いていた。

面倒くさがりと聞いていたが、案外まじめなのかもしれない。


「おい、聞いてるか?」


余計なことを考えていたことに気づかれたのか、エヴィン先生に声を掛けられ現実に戻される。


「は、はい、つまり自分の魔術適性を知ることが大切になってくる、ということですよね」


慌てて答えるが、エヴィン先生の表情を見るに何とか正解を答えることができたようだ。


「そう、それでその魔術適正を見極めるのに使うのがこれだ」


そう言うと、エヴィン先生は懐から握り拳ほどの透明な結晶を取り出す。


「これは吸収した魔力を可視化しやすいように加工した魔鉱石の結晶で、こんな風に魔力を吸収するとその魔力が最も干渉しやすい属性の色に変化する」


エヴィン先生が握っていた透明だった結晶は、見る見るうちに赤く変色していく。


「俺の場合は炎に関する適性が一番あるから赤色になったが、他にも水なら青、風なら緑、土なら黄色、闇なら黒、聖なら白という感じで色が変わるはずだ、レイラもやってみろ」


エヴィン先生はそう言うと、一度、赤く染まった結晶を再び透明に戻すと、結晶を私に手渡した。

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