表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/75

特別な日に似合う特別な涙を三人で分かち合おう!

 中学生活の最期の締めくくりの演劇を終えた【美雪】を【みどり】は【文】と教室で待っていた。

 そして、【美雪】が教室に現れた。

 その【美雪】の目には光るものがあり、その理由が分かった【みどり】は……。

 美雪主演'はちゃめちゃ白雪姫'は大盛況で幕を下ろした。

 実は'はちゃめちゃ白雪姫'にはオチがあり、出演者全員で客席に一礼をした後、

アリオトがメルクに再度求婚したのだ。

 だけどメルクは首を横に振ってアリオトから逃げた。

 そのメルクをアリオトが追い掛けてステージにいた者全員がいなくなり、

'はちゃめちゃ白雪姫'は本当に終了し、客席からは大きな笑いが起きたのだ。

「宮本さんの演劇、面白かったね!」

「本当、面白かったね、文ちゃん!」

 美雪主演の演劇を観終えた私は今、文と教室の私の席で話している。

 何故なら、これから昼食のお弁当を美雪と三人でここで食べる約束をしているからだ。

 何故、今日は給食ではなく、お弁当なのかと言うと、生徒みんな諸々の事情があるからである。

 昼休みもたっぷり使って友達と昼食を食べるという機会も中々ないので楽しみである。

 私達が話しながら待っていたら花束を抱えた美雪が姿を見せた。

「遅くなってごめんね、みどりちゃん、文ちゃん!」

「大丈夫だよ、美雪ちゃん。それよりその花束はどうしたの?」

「えへへ! 演劇部のコ達にもらったの……。

 今日でみんなで演劇するの、最後だったから……」

 そう言うと、赤くなっていた美雪の目が潤んできた。

 そして、美雪は笑ってたけど涙を零した。

 私は美雪が泣くところを初めて見たからびっくりしてしまった。

 恐らく花束を受け取った時も美雪は泣いたのだろう。

 人前で泣く事なんてない美雪が、涙を見せた。

 それだけ美雪は演劇部に思い入れがある。

 美雪は小学生の時から演劇に一生懸命取り組んで来たのだから当然だ。

 私は、そんな素晴らしい事がある美雪が羨ましく、そして、誇らしかった。

 そう思うと、私の頬を温かいものが伝っていた。

「えぇっ⁉ ど、どうしたの、みどりちゃん? 

 何で泣いてるの?」

「何でかな? 何か、涙が出て来ちゃった……」

 私が涙を拭いていると、何故か文まで泣いていた。

「ちょ、ちょっと⁉ どうして文ちゃんまで泣いてる?」

「何か二人を見てたら、もらい泣きしちゃって……」

「もう……、文ちゃんったら!」

 お互いの泣き顔を見た私達は笑った。

 多少違うけど、三人共、大切な涙を流して笑顔になった。

 そんな私達を見ていたハイカラさんも目を潤ませていた。

 ハイカラさんとは私の後ろにいる、黒髪で、日本人形のような顔をした、

年齢不詳の女性の幽霊の事である。

 ハイカラさんは私の守護霊で、私以外の人には姿は見えず、声も聞こえない。

 だから一緒にいても大丈夫という訳だ。

 思えば私がこの席で大切な涙を流したのは二度目だ。

 中学三年生の始業式の日も、美雪のせいだった。

 あの時はハイカラさんに教えてもらったけど、

今回は教えてもらわなくともこの涙が大切なものだって分かった。

 その事が顔に出ている私を見て、ハイカラさんは微笑んでくれた。

 きっと、ハイカラさんは私の気持ちを分かってくれたんだ。

 私とハイカラさんは心の中でも話せるし、ハイカラさんは読もうと思えば私の心を読める。

 けど、そんな事をしなくてもハイカラさんは分かってくれる。

 そして、私もそうだから、私もハイカラさんに微笑んで答えた。

 そんなやりとりをこっそりしていた私は三人で昼食を始めた。

 そして、私は三人で食べようと考えていた三つのカップケーキを出した。

 このカップケーキは、心配性の母がよく作ってくれるもので、今朝、一緒に作ったのだ。

 朝早くから起きて作って良かった。

 二人にそのカップケーキを配ると、二人共、とても喜んでくれたから。

 でも、美雪はお弁当を食べる前にそれを食べてしまった。

 私も文もハイカラさんも呆れてしまったけど、また笑って昼食を三人で食べた。

「さて、体育館に行こう!」

「そうだね、美雪ちゃん」

 昼食を終えた私達は体育館に向かった。

 今度は三年生による演劇が上演されるからだ。

 ちなみに、この三年生による演劇は全校生徒が観て、評価を行う。

 だけど、その評価には、私達三年生は参加出来ない。

 つまり私達三年生は観るだけだが、はりきっている三年生の生徒も多いのである。

「そう言えば八木さん、はりきってたね」

「えっ? 文ちゃん、メェメェと何か話したの?」

「ううん。何も話してないよ。唯、そう思えただけ」

「ふーん……。まっ、精々がんばってねぇ」

 美雪は興味がなさそうだけど、私も文と同じ意見だ。

 何故なら、八木はクラスでの演劇の練習を重ねるごとにその演技に磨きが掛っていたからだ。

 きっと、八木は私達の知らない処で練習を重ねていたのだろう。

 そう考えると八木は努力家なのかもしれない。

 そんな事を密かに考えながら私は美雪達と体育館に到着した。

 すると、体育館にはもう多くの生徒が集まっていた。

 これから行われる三年生主催の演劇はAクラスから順に、それぞれ三〇分間の時間で行われ、

一〇分間の休憩を挟む。

 つまり最初はAクラスの演劇からで、そのAクラスの題目は'オペラ座の怪人'である。

 私は、'オペラ座の怪人'の名前ぐらいは聞いた事があるが、詳しい内容までは知らなかった。

 けど、そこはやはり美雪が博識で、教えてもらった。

 そして美雪の話を聴き終わった後にブザーが鳴り、Aクラスの演劇、'オペラ座の怪人'は幕を開けた。

 どうやら皆で楽しそうにパーティーを行っているシーンから始まるようで、

まずは美雪に教わったクリスティーヌ、ラウル・シャニュイ子爵が登場した。

 舞台がパリと言うだけあり出演者達は西洋のドレスを身に纏い、同級生とは思えない雰囲気だった。

 そこに、恐ろしいオペラ座の怪人の声が響いた。

 すると、パーティーの楽しさから言ってん、照明が落ち、ガラスが砕け散る音が響き、

出演者の悲鳴が響いた。

 その音に驚いた私は、申し訳ない事にこの後の展開をあまり覚えていなかった。

 私がぼんやりしているとAクラスの演劇は終了し、一〇分間の休憩時間となった。

「ねえ、みどりちゃん。Aクラスの演劇、どうだった?」

「うーん。私、あのガラスが砕け散る音とかが怖くって、あんまり覚えてないんだ……」

「そっか。じゃあ、文ちゃんはどうだった?」

「私もあんまり分からなかった。何かテンポが速すぎて、付いていけなかったの」

「ほうほう。なるほど……」

 どうやら美雪は私達の感想をこれからの演劇人生の参考にしようと考えているみたいだった。

 やっぱり、美雪はこれからも演劇を続けるんだ。

 それが分かると、次のBクラスの演劇はしっかりと観て、美雪に感想を述べようと思う。

 そう私がはりきっているとブザーが鳴り、Bクラスの演劇、'オズの魔法使い'の上演が始まった。

 Bクラスの'オズの魔法使い'は、主人公ドロシーが家の中で犬のトトといるシーンからスタートした。

 竜巻に巻き込まれたドロシーと、トトはオズ王国に飛ばされてしまう。

 家に帰る為、ドロシーはトトと、オズに会う為の旅をする。

 ちなみに、トトは犬だが、どう見ても犬耳を付けた人だった。

 その中でドロシーは、かかし、ブリキのきこり、ライオンと出会い一緒に旅を続ける。

 言うまでもなく、かかしは、かかしっぽい人で、ブリキのロボットも同様で、

ライオンもたてがみと耳を付けた人だった。

 そして、ドロシー達は顔だけのオズと出会った。

 顔だけのオズは大きく迫力があり、本当に顔のパーツが動いたのには驚いた。

 そしてオズとの出会いで大切な事を知ったドロシー達は別れるといった感動で、

Bクラスの演劇は締めくくられた。

 今度は多くの感想を持てた私は美雪に感想を述べる事が出来、美雪もそれを聴いてくれた。

 少しだけ私が満足するとブザーが鳴り、

緊張の中、いよいよ、私達のクラスの演劇、'ハイカラ女学生の恋'の上演が始まった。



 私は、宮本 美雪!

 もう! みどりちゃんも文ちゃんもすぐ泣いちゃうんだから……。

 でも、ありがとうね!

 二人共、大好き♡

 さあさあ! これから私達のクラスの演劇もあるんだよ!

 みんなで笑顔で観ようよぅ!

 う、うぇっ⁉

 ちょっと、Dクラスの演劇って……⁉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ