ナニワ城攻略戦1 爆裂の魔術師に笑われて四天王の一人が突撃してきました
ナニワは王都キョウの近くにある大都市で人口はキョウと並んで100万人を越えていた。
ヤマトの国の中では二大都市の一つだ。ナニワと王都キョウはヨド川の水運で結ばれていた。
一年前の王弟の反逆で味方した帝国が、我が国から租借したエドの街の人口が50万にも満たない中で、ナニワがいかに大きいか判るというものだ。元々王都キョウは海に面していないので、大半の船がナニワに到着してそこから小舟に乗せ変えてヨド川を遡上して、キョウの港町フシミまで運ぶ中継地として栄え、今は商売の町として世界各地からさまざまな船がたどり着く中継貿易都市として栄えていた。
そして、ナニワ城はそのナニワの真ん中に巨大な天守閣をそびえさせていた。
ここ最近は王家の直轄の城になっていたのを、王弟ベンヤミンが、臣籍降下する際に祖父から譲り受けた、ナニワの国の行政の中心だった。
大きな5層の天守閣はナニワの街にドンと聳え立っていた。
まあ、難攻不落の城と言われながら過去戦国時代に何回か落城している城だが、河と空堀に囲まれたそれは堅城であるのは間違いなかった。
私達はヒロトの手配した早舟でフシミよりヨド川を下り、ナニワ城の対岸に陣を敷いた。
「ナニワ城はいつ見ても立派ですな。これを落とすのは少しもったいないような気がいたしますが」
サツマが言いだしてくれたが……こいつは今すぐにでも落とす気満々みたいだった……
「サツマ、敵は5万、我が方は5千しかいないのだぞ。今攻めて本当に勝てると思っているのか?」
私は呆れて尋ねていた。
普通城攻めは10倍の兵力がいるというのに今は敵の10分の1しかいなく、完全に兵の数が逆転していた。
私は各地に下知を飛ばしたが、まだ、援軍は一兵たりともこの地に来ていなかった。
基本戦略は援軍が揃うのを待って攻撃するのがセオリーだ。
十倍集まれば良いが最低でも2倍の兵は欲しかった。
「何を言われるのです戦姫様。戦姫様が突撃されれば、一撃でしょう」
サツマはいつでもポジティブだ。
「そんな訳あるか!」
私は叫んでいた。
「さようでございますか? そうは思えませんが……ヒロト、その方どう思う?」
「まあ、五分五分でございますか」
おいおい、五分五分とはどういう意味だ? 私は我が軍の10倍が堅城に籠もっているのだぞ。私は化け物ではない!
勝てるわけはないだろう!
ヒロトの答えに私は切れそうになった。
「しかし、敵の魔術師の動向がわかっておりません。確かキョウには帝国東部軍団の四天王ブラツクモアが駐在していたはずです。かの者がいれば、ちと、苦戦するかと」
ヒロトは報告してくれた。
「ふんっ、魔術師なればこちらも爆裂の魔女がおるではございませんか? 戦力は互角でございましょう」
平然とサツマが言ってくれたが、
「しかし、戦力は五千対五万ですから、圧倒的にナニワ軍が多いのです。あと少し、待った方が良いのではありますまいか?」
「しかし、姫様。援軍と言えば敵もエドから帝国軍が来れば大変なことになりますぞ。エドには5万の軍勢を置いているそうですからの」
サツマの懸念はもっともだが、私としては出来るだけ敵より多い戦力で攻め込みたかった。
近隣の諸侯が、集まれば10万にはなるはずだった。
まだ、アオイの父やソウヘイの親類縁者が来ていない。
それだけでも3万にはなろうと思えた。
取りあえず、1日は待つようにと全軍に指示を飛ばして1時間経った時だ。
突然ナニワ城の一角で声援があがった。
「何事じゃ?」
私はその方を見た。
そこには頭をスキンヘッドにした男が城壁の上に立っていた。
「誰だあれは?」
「さあ、あのようなスキンヘッドは見たこともありませんが」
ヒロトも首を振ってくれた。
「反乱軍のガキ共、俺様は世界最強の帝国東部方面軍四天王の一人ブラックモアである。直ちに降伏せよ。さすれば命だけは助けてやろう」
魔術でも使っているのだろう。男が大音声で叫びだした。
「はっはっは。何だ貴様の髪型は。帝国四天王はいつから丸坊主になったのだ? 我が軍を前にしておじけづいいて降伏のために反省して丸坊主になったのかと思ったぞ」
負けじと魔術で声を拡大したアオイが言い返していた。
「ああああ! 貴様、カメオカの居酒屋で俺様に爆裂魔術を喰らわした小娘だな」
「貴様のようなはげは知らんぞ」
「貴様が知らずとも俺様はよく知っておるわ。良くもいきなり魔術攻撃してくれたな」
「男の話だ? ああああ! 貴様は私を妾にしようとなど叫んだ魔術師か? 頭の毛はどうした?」
「貴様が燃やしてくれたんだろうが!」
男は怒り心頭叫んでいた。
「えっ、ぎゃははははは、私に燃やされて頭が禿になったのか」
アオイが大声で笑っていた。
「おい、ヒロトこれは不味いのではなのいか。このままいくと、戦闘になるぞ」
「まあ、敵が突出してくるのは仕方ありますまい。元々我が軍の10倍の戦力ですから」
「勝てるのか?」
「さあ……」
ヒロトは肩をすくめてくれたんだが……
「おのれ、小娘、聞いていれば笑い出しおって、もう許さん! 者ども突撃だ」
「えっ、ブラックモア様」
慌てた声が叔父のような気がしたが気のせいだろうか?
「「「ウォーーーー!」」」
しばらくするといきなり城門が開いて、スキンヘッドの男を先頭に帝国軍の大軍が突出してきてしまった。
こうして籠城軍がいきなり突出してナニワ冬の陣が始まったのだった。
大阪冬の陣の開始です。








