王宮を制圧したら、弟の侍女にナイフで刺されました
私たちは直ちにソウヘイを先頭に王宮に乗り込もうとした。
「姫様!」
城門を一撃で破壊して参りますと先頭で突入するといき込んで出撃していたソウヘイが、飛んで帰ってきたんだけど……
「どうした、ソウヘイ?」
「はっ、姫様、王宮は城門が開け放たれており、敵ナニワは逃走したもようです。
城門には兵士達が姫様をお迎えするとお待ちしておりますが、いかが取り計らいましょう?」
狐につままれたような顔でソウヘイは尋ねてきた。
「ヒロト、どう言うことだ?」
私がヒロトを見ると、
「王宮での戦いは不利だと思い、本拠地のナニワ城に逃げ込んだのでしょう」
いけしゃあしゃあとヒロトは説明してくれたが、こいつは絶対に何か手をうったに違いない。
シンノジョウの仇の叔父が王宮から逃げ出したのなら、王宮はすぐに制圧できるだろう。
というか、既にヒロトの手の者が制圧している可能性があった。
「ヒロト王宮内は既に制圧できたのか」
私が試しに聞いてみると
「大方は出来たかと」
平然とヒロトは答えてくれた。
「ヒロト、貴様、ナニワが逃げ出しているのを知っていたな」
ソウヘイが眉を逆立ててヒロトに突っかかったが、
「逃げ出したのは今しがただ。ナニワは大方ソウヘイの血相変えた顔に驚き慌てて逃げ出したのであろう」
ソウヘイの怒り顔にもびくともしていなかった。
「何だと、貴様」
ソウヘイは掴みかかりそうになったが、
「それより、ソウヘイ、ナニワを追わずにこんなところで油を売っていて良いのか?」
「な、ヒロト、貴様覚えていろよ」
ソウヘイはヒロトを睨み付けると
「姫様、直ちにナニワを追います」
「適当にな。それとソウヘイ、追うのはヨドまでだぞ、以降は追って沙汰するまでまて」
「御意」
慌ててソウヘイは飛び出して行った。
「送り狼か」私は慌てて駆け出していくソウヘイを見送った。
「ところでヒロト、バルバラの姿が見えないが」
「これは申し訳ありません。姫様はバルバラをアデラールと一緒になますのように切り刻まれるのがご所望でしたか」
ヒロトは嫌なことを言い出してくれた。
「私はアデラールを切り刻んでいないぞ」
「しかし、首を取って学園の門の上に吊るされましたが……」
「貴様がそうしろと言い出したのでは無いか」
むっとして私はヒロトを睨み付けた。
「まあ、学園にいる諸侯の子息を通じて各貴族共を脅すのに丁度よろしかろうと思ったのです。どのみち死者は生き返る事は出来ませんし」
平然とヒロトが返してくれた。
「で?」
私が促すと
「バルバラの事でしたな。手の者を使ってこのままでは姫様になますのように切り刻まれると脅して、ナニワの所に逃がしました。あのような雑魚、料理はいつでも出来ると思いましたから」
平然とヒロトが説明してくれた。
まあ確かにこのまま牢にいろておいても無駄飯を食らうだけだ。
如何に私が残虐かナニワに報告してもらった方が良いだろう。
「ヒロト、次からは私に相談しろ」
ただし、私は釘を刺した。
「も、申し訳ございません。バルバラは姫様を愚弄した反逆者でございます。それを逃したとなれば姫様も後世の歴史家達から何かと言われる可能性もございます。ここは臣がドロを被った方が良いと判断いたしました」
頭を下げるヒロトの言葉にも一里あった。
後世の歴史家などどうでも良いが、まだ煩い貴族共は多い。
まあ、大半が大なり小なり帝国に付いた裏切り者だ。
このサツマを含めて。
と言うか、私自身もすぐには反撃しなかったのだ。
裏切り者と言えばそうなった。
ヒロトの言うように私が知らない方が良いこともあろうと言われたらその通りなんだけど……
何か納得いかないんだが……
私はアオイとヒロトを連れて王宮に上った。
気絶して以来久々の王宮だった。
「この部屋で王妃様は毒薬を召されてお亡くなりになりました」
お母様付きの年配の侍女が教えてくれた。
「そうか」
私は言葉少なめに頷いていた。
両親の部屋はナニワの趣味に塗り替えられており、調度品も金ぴか、壁紙も金ぴかの本当に成金趣味に変わっていた。
「おのれナニワめ。良くもお父様とお母様の部屋をこのような成金趣味に変えてくれたな」
私は手が震えていた。
こんなんだったらもっと前にナニワは成敗すれば良かった。
なんとでもなったのだ。
1年も待つ必要があったのか?
私は後悔した。
シンノジョウは王宮の中庭で臣民の見守る前で処刑されたというのだ。
「姫様、申し訳ありません。私がついておりましたのに、若様を守ることが出来ませんで」
シンノジョウ付きの侍女のサクラが私の前に出て来て涙に暮れて頭を下げてくれた。
「いや、悪いのは全て私だ。私が帝国の策略に気付いて戻ってきていればこのようなことにはならなかった」
私は首を振った。
そう、全てはあの第六皇子に騙された私が悪いのだ。
私は唇を噛みしめた。
何故そんなにも長く冒険を続けようと私を勧誘するのかよく判らなかった。
帝国が我がヤマトに手を出そうとしているなどしているとは想像だにしていなかったのだ。
本当に私は馬鹿だった。
私が後悔して反省していた。
でも、このようなところで考え事などするべきでは亡かったのよ。
いきなりサクラが私に向かって手を突き出してくれた。
その手にはナイフが握られていた。
私はとっさに避けられなかった。
そして、そのナイフはズブリと私に突き刺さったのだった。
ナイフで突き刺されたユキ姫の運命や如何に?
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