剣術の側近と魔術の側近が争いだして大変でした
学園は一瞬で制圧した。
サツマが学園外に密かに待機させていた武士50名と、私の側近だったヒロトが50名の武士を引き連れて駆けつけてきてくれたのだ。
ヒロトの連れていた武士は元近衛武士だった。
「姫様、ご無事で何よりです」
「本当に立ち上って頂いてとても嬉しいです」
元近衛騎士の男達は男泣きに泣いてくれたんだけど……
「100名か、少し少ないな」
私は心許なかった。
「なあに、ユキ姫様と儂がおれば帝国軍など何万人おっても勝てましょう。
のう、ヒロトや?」
そう言うとサツマは大笑いしてくれたのだが……そんなこと言っているから帝国にやられたのだ。
私は頭を抱えたくなった。
帝国は強大な力を持っていて、私以上の剣士もいるはずだ。
あの第六皇子も侮れない力を持っていた。
私は第六皇子のことを思い出していた。
あの気さくで人当たりのよい態度、整った顔立ち、私の剣も普通に受けてくれる剣術、どれ一つとっても侮れなかった。
もっとも次あった時は必ず仕留めるが……
「姫様、大丈夫です。間もなくイガよりソウヘイが1000名の兵を率いて駆けつけてくれるはずです」
「そうか、ソウヘイがな。良く連絡してくれた。でも、また、やかましくなるな」
私はヒロトに礼を感謝の言葉を伝えると、少し顔をしかめた。
「そうおっしゃいますな。奴は頼りになります」
ヒロトがソウヘイの肩を持ってくれた。
「そう言えばアオイはどうしている?」
「あいつは口が軽いですから、今連絡を取ろうとしているところです」
さすがヒロトだ。
「お前は武に特化しているから、文官としてヒロトをつけてやろう」と言ってお父様がつけてくれたのだが、ヒロトは最高だった。
「何ですか、水くさい。姫様は前から今日の挙兵を決めていらっしゃったのですか」
サツマが文句を言い出した。
「いや、決めていたわけではないぞ。叔父の監視もきつかったからな」
「全ては私が独断で連絡を取っておりました」
さすがヒロトだ。
私の副官はマジ優秀だ。
私は一人で悦に入っていた時だ。
「姫様! どこにいらっしゃいますか?」
私を呼ぶ大声が聞こえてきた。
「この声はアオイではないのか」
「どうやらそのようです」
伝令からの報告を受けていたヒロトが何故か頭を押えているんだが……
「彼奴は昼間からやけ酒を飲んでいて、絡んできた帝国の士官を爆裂魔術で攻撃、姫様より先に暴発していたそうです」
「ほう、さすが爆裂の魔女殿ですな。姫様より先に暴発するなど」
サツマは笑ってくれたが、私が決起していなければ、アオイは帝国軍に追われる身になっていたはずだ。本当にどうしようもない考え無しだ!
「姫様、こちらでございましたか」
アオイが飛び込んできた。
「アオイ、貴様、こちらから連絡するまでは待てといっていただろうが」
「何を言うのだ。ヒロトが卒業パーティーで姫様が決起されるはずだから、それまで待てという話だったではないか!」
ヒロトの言葉にアオイが噛み付いた。
「連絡が行く前に暴発してどうするのだ!」
「丁度間に合っただろうが!」
そう叫ぶと私の前に跪いてくれた。
「ユキ様。今までお側を離れていたことお許しください。これからは私めがお側から離れません。ご安心ください」
そう言って私を見上げてくれた。
「お前がいる方がいつ暴発するか心配だ」
「ヒロト何か言ったか?」
不安を呟いたヒロトをアオイは睨み付けていた。
「何も言っていない」
ヒロトは肩をすくめていた。
「姫様!」
そこにもっと大きい図太い声が響いてきた。
「な、この声はソウヘイ!」
アオイの警戒するような声がした。
「このタイミングで2人揃うとは」
何故かヒロトは頭を抱えていた。
「姫様!」
そこに扉を蹴破られんばかりに大男のソウヘイが部屋に飛び込んできた。
「姫様ご無事でしたか!」
ソウヘイは喜色を浮かべて私に抱きつかんばかりに飛び込んできた。
ガツン
「痛い!」
しかし、壁にぶち当たったように止っていた。
その横ではアオイが馬鹿にしたように立っていた。
「アオイ、貴様か! 障壁を張るなどどういう事だ」
剣の柄に手をかけてソウヘイがいきり立った。
「いきなり男の貴様が姫様に飛びつこうとするからだ」
平然とアオイは言い訳したが、
「はああああ! 俺は姫様の前に跪こうとしただけだ」
「近すぎる。姫様は迷惑に思っておられるわ」
「何だと、姫様の一番の側近のこの俺を何故止める」
「何を言う。姫様の一番の側近は私だ」
「いや、俺だ!」
2人は言い合いを始めたのだが……
「おい、2人とも姫様の前だぞ」
ヒロトに注意されていた。
2人ははっとして、私を見てきた。
「姫様、私が一番ですよね」
「いや、俺が一番だ」
「何だと」
2人は睨み合っていた。
「2人ともいい加減にしろ。サツマ伯もおられる」
ヒロトが切れてくれた。
「わっはっはっはっは。元気があってよろしいな」
サツマが笑ってくれたが、私は頭を抱えたくなった。
昔からこの2人が喧嘩するのは良くあることだ。
それも下らないことで……
さすがに2人もサツマ伯の前では大人しくなってくれたが、これからのことを考えると私は頭が痛くなった。
そして、戦力が揃ったので次は王宮を解放するために攻めいることになった。
側近3人のそろい踏みです。
次回は元都キョウにある王宮制圧戦です。
お楽しみに!








