帝国第六皇子視点 水竜と対峙しました
ついに対決の時が来た。
俺は今まで帝国の皇子だったのが、ここで帝国を裏切るのだ。
二度と帝国の土は踏めないだろう。
そう思うと少し感傷的になった。
まあ、ユキのために俺は命をかけると決めていたから、決心は揺るがなかったが……
俺は剣を抜くとユキの横を走った。
ユキは赤竜の攻撃を剣で弾いていた。
俺なら絶対に出来ない事だ。
少し追いついたとはいえ、まだまだユキとの差はある。
俺の前を見ると青い竜がこちらを睨んでいた。
水竜だ。
本来は水の中にいるはずが、こんなところに出てきて、どうするつもりだろう?
俺にはよく判っていなかった。
俺は、駆けて水竜に迫った。
一気にカタをつけるために剣を抜いて突進する。
俺が水竜の目の前に走り込んだ時だ。
水竜が、口を開いた。
「ギャオーーーー!」
水竜は雄叫びを上げていた。
そして水竜は口から巨大な水の流れを放っていた。
凄まじい量の水流が俺を直撃した。
俺は避けることも出来ず、そのまま吹き飛ばされた。
ドシーーーーン!
俺は木に叩きつけられた。
ダッダッダン!
勢い余って更に木を二、三本まとめて吹っ飛ばしてやっと止っていた。
「グウェッ」
俺の背中は凄まじい力で木に叩きつけられていた。
俺は胃液を吐き出していた。
肋骨の二三本折れたかもしれない。
「くそっ」
少し油断したのかもしれない。
俺は首を振って立ち上がった。
「ギャオーーーー!」
青竜は雄叫びを上げていた。
俺を馬鹿にしているように!
「このやろう!」
俺は剣を構えた。
水竜に目掛けて駆ける。
一気に詰めた。
今度は上手くやってやる。
「ギャオーーーー!」
雄叫びを上げてくれた。
次だ!
バシューン
と、水を吹き出してくれた。俺は横っ飛びに飛び退いてそれを躱す。
今度は攻撃を躱せた。
俺はそう思った。
「えっ」
しかし、水竜の攻撃はそのまま、俺を追ってきた。
「ギャッ」
次の瞬間、またしても俺は水流に巻き込まれていた。
今度は横の林に突っ込んで五、六本の木を倒して止まる。
あばらの数本は折れたみたいだ。
「ギャオーーーー!」
水竜は勝ち鬨を上げてくれていた。
俺はもう満身創痍だった。
でも、こんなのでやられるわけにはいかない。
俺はまた立ち上った。
今度こそ仕留めてやる。
俺はユキみたいに水の流れを弾き飛ばすことにした。
「行くぞ!」
そう叫ぶと駆け出した。
一気に詰める。
水竜は余裕で待っていた。
「ギャオーーーー!」
雄叫びを上げると水流の攻撃を俺目がけて放っていた。
剣で弾こうとして、そのまま剣ごと弾き飛ばされていた。
ドシーーーーン!
また木に叩きつけられていた。
やばい、本当にもう立てないかもしれない。
でも、負けるわけにはいかなかった。
何としてもユキに良いところを見せないと。
「ギャオーーーーー!」
立った俺を見て水竜は馬鹿にしたように叫んでくれた。
「この野郎!」
むかついた俺は一気に詰めた。
良し、今度こそいけた!
そう思ったときだ。
いきなり水竜が雄叫び無しに水流を吐き出してくれた。
俺目がけて飛んで来た水流を俺は今度は剣で斬り裂いていた。
水流が俺の剣の前で二つに分かれる。
俺はそのまま斬りかかったが、最後まで斬り続けられなかった。
ダアーーーーン!
水の流れに呑み込まれてそのまま弾き飛ばされた。
今度は上に上がったが、落ちたところが青々と茂った木々がクッションになって、俺を受け止めてくれた。
今度はショックは少なかった。
もう一度だ。
俺は剣を上段に構えると
「うおおおお!」
雄叫びを上げて水竜に迫った。
「ふんっ!」
水竜は馬鹿にしたように鼻息をつくと、俺目がけて水流を吐き出してくれた。
一直線に巨大な水の塊が飛んでくる。
「ウォーーーーー」
俺はそれを剣で叩き斬っていた。
そのまま一気に突っ込むが、まだ足りない。
ダアーーーーン!
また弾き飛ばされていた。
今度も木のクッションで助けられた。
そうは言っても俺はもう満身創痍だった。
どうやって近くまで寄るかだ。
今度は俺は林の中を迂回した。
大回りで水竜に迫る。
そして、林から飛び出すと別に持っていた短刀を取り出すと水竜に向けて投げつけていた。
それは一直線に水竜目がけて飛んでいったが、水竜が軽く前足を振ると短刀は弾き飛ばされていた。
パンっと音を立てて。
でも、その短刀には目くらましを後ろに付けていたのだ。
真っ白な煙が出て、一瞬水竜の視界が陰る。
俺はそこをチャンスとばかりに一気に水竜に近付いた。
でも、視界が晴れた時、俺と水竜の間にはまだ距離があった。
「ギャオーーーーー」
水竜は叫ぶとともに水の流れを口から吐き出していた。
しかし、いつもより勢いが無かった。
目くらましが少し効いたのかもしれない。
「喰らえ!」
俺は水流を剣で真っ二つに切り裂きながら、一気に距離を詰めた。
そして、水竜の頭の上から斬りつけたのだ。
ズバッ
っと……
水竜は首から真っ二つに斬られていた。
ダシン!
声を上げることもせずにゆっくりと水竜は倒れた。
大音響が周囲に響く。
俺が初めて竜を倒せた瞬間だった。








