やってきた第六皇子の謝罪の言葉に剣を抜き放ちそうになりました
「何だと、帝国の第六皇子が来ただと!」
私は嫌な予感が当たった。
「何!」
「帝国の皇子だ?」
「帝国の皇子が姫様に何の用だ?」
私の周りの者もいきり立った。
「ソウヘイ、帝国の皇子などと話す事は無い。斬り殺されたくなかったら早々に立ち去れと伝えろ」
私はセドリックと親しくしていたソウヘイに命じていた。
セドリックめ、懲りずに何しに再び来た?
この前は私の体調が良くなくて成敗できなかったが、今回は私の体調も万全のはずだ。
また良からぬ悪巧みか何かか?
前回は帝国の侵攻するのを私に知らせないために私を辺境に留めおいてくれた。
奴がいなければ私は帝国の侵攻に間に合ったかもしれなかったのにだ!
今回も時間稼ぎか?
それとも私の暗殺に来た?
奴には負けないけれど……
ここで成敗してやりたかったが、今は帝国軍との戦闘の前だ。
一人で来たものを斬る趣味は私にはなかった。
私の伝言を伝えに行ったソウヘイが戻ってきた。
「姫様。セドリックの奴、帝国のヤマトへの侵攻は知らなかったといっているんだけど」
戸惑った表情で私に言い出してくれた。
「ソウヘイ。相手はあの卑怯な帝国だぞ。
父上を騙して呼び出して殺し、母上を手込めにしようとして自害させ、可愛いシンノジョウまで処刑してくれたんだぞ。そんな奴の言うことが信じられるか」
私は激高した。
「それはそうですが……」
私の言葉にソウヘイは口を濁した。
「まだ、何かあるのか?」
私は不機嫌にソウヘイを見た。
「足止めした点も含めて姫様に釈明がしたいと申していますが」
「ソウヘイ!」
アオイがソウヘイを睨み付けていた。
「姫様、一度だけでもセドリックの話を聞いてやることは出来ませんか?」
思い詰めたようにソウヘイが話してきたのは意外だった。
そこまでソウヘイの肩を持つか?
しかし、私はソウヘイを前に剣を振らない自信はなかった。
何か言われれば瞬時に斬り殺してしまう。
一人で来た丸腰の皇子を殺すような卑怯な事はしたくなかった。
「ソウヘイ、見たら判るだろう。
帝国は我々の敵だ。セドリックに伝えろ。私にここで斬られるか、戦場で相まみえるかだと二つに一つだ」
私はソウヘイに告げていた。
「ソウヘイ、俺からセドリックに話をしよう」
ヒロトが横から言いだしてくれた。
まあっ、ヒロトに任せておけば良いだろう。
ヒロトは脳筋ではない。
きちんと話をしてくれるだろう。
私は安心してサツマらを呼んでエドの攻撃計画を立てることにした。
「姫様」
しかし、ヒロトが慌てて帰ってきたのだ。
「どうした、ヒロト? お前までがセドリックにほだされたのか?」
私は不機嫌さを隠さずにヒロトを睨み付けた。
「姫様、そうでは無いのですがセドリック言うには姫様に至急お知らせしたいことがあるとのことです。軍の一大事をお知らせしたいと」
「そう言って私をまた騙すつもりか?」
胡散臭い者を見るように私は遠くのセドリックを見た。
「姫様、私はセドリックは嘘はつかないと思いますが」
遠慮がちにソウヘイが言いだしてくれた。
「ウホン」
そのソウヘイをセドリックが咳払いで止めた。
「信じる信じないは別にして聞くだけでも聞かれたらいかがですか? それから判断されても遅くないかと」
「しかし、帝国の第六皇子だか何かは知りませんが、姫様を暗殺しに来た可能性はございませんか」
サツマが心配して注進してきた。
「姫様を暗殺するならダンジョンでいくらでも機会はあったはずです」
ヒロトの言葉を私は反芻した。
確かに私に隙は一杯あった。というか、私はセドリックを信頼していたのだ。
「今、私を殺そうとすれば返り討ちにするだけの話だ。ソウヘイ、ヒロト、寸鉄帯びていないかセドリックを調べてここに連れてこい」
私は仕方なしに許可した。
遠目にソウヘイとヒロトがセドリックに何か言うと、セドリックが服を脱ぎ出すのが見えた。
遠くから完全にヌードになっているのが見えたんだが……
お前ら、何をさせているのだ?
慌ててヒロトとソウヘイが自分の服を投げ与えて、着せていた。
「何をしているのだ? 男をストリップなどさせて誰が喜ぶ?」
私が帰ってきたヒロトに嫌みを言うと、
「姫様が喜ばれたのでは?」
ヒロトに言い返されてしまった。
「喜ぶわけはないでしょ」
私が文句を言うと
「姫様はダンジョンではセドリックと仲良くされていましたからセドリックの裸体に興味があるのかと」
更に嫌みを返してくれた。
本当にこいつはしつこい。
「あの時は騙されていたのよ」
私はむっとしてヒロトを睨み付けた。
そこにセドリックが連れてこられた。
私の横にはアオイとヒロトがその横にはアラレとサツマ伯が構えていた。
更には私の前には竜ちゃんがちょこんと座っていた。
何かあっても完璧な布陣だ。
「ユキ姫様におかれましては私とお会い頂いて感謝の言葉もございません」
セドリックは私の前に土下座してくれたンだけど……さすがに帝国の第六皇子を土下座させるのは不味かろう。
私はセドリックの後ろにいるソウヘイに椅子に吸わさせるように合図した。
「セドリック殿、こちらに」
「いえ、そのような席に座る資格は私にはございません」
セドリックはそう言うと、私を見上げてくれた。
「過日ユキ姫様を危急存亡のおりにダンジョンに留めてしまつた事を深くお詫び申し上げます」
そして土下座してくれた。
「セドリック、やはり貴様、帝国のヤマト侵攻を知っていたのだな!」
それを聞いて私はぷっつん切れて思わず剣に手をかけたのだ。








