↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/33

帝国総督視点 ヤマトの王になろうと思いました

 俺は外交関係の仕事をしている関係で東の大国イースタン王国の大使のライトル伯爵とは親しかった。

 彼は外交畑では私よりも大先輩で、彼にはいろんな事を教わった。

 そんな彼が黄金の国ジパングに執着しているのは知っていた。

 

「ボドイン侯爵。ジパングには私の血を分けた娘が嫁いでおりましたな。その息子がいずれジパングの国王となるのですよ」

 会うたびにライトル伯爵は自慢していたものだ。


 結局はジパングはそのライトル伯爵の孫ではなくてその兄が国王に就いたのだが……

 ライトル伯爵としては残念な結果になっただろう。


 少し前から情勢は悪いと宣っていたが、最後は後ろ盾のライトル伯爵が亡くなったのがとどめだった。



 父はその時外務卿を拝命していて、俺はその頃はまだ父の下隅で一生懸命外交のイロハについて習っているところだった。

「アラン、イースト王国に大使として就任するか?」

 父はライトルの後釜に俺を推薦してくれた。


「しかし、父上、イースト王国は大国です。ライトル伯爵の後に若造の私が行けば侮られるのではありますまいか」

 俺は懸念事項を口にした。


「そうだな。その懸念もある。何しろイースト王国はしたたかだからな。それに他国の大使もやり手を配しておる」

 父は少し逡巡した。


「判った、その方はヤマト王国に大使としていけ。そこで実績を上げてその後でイースト王国の大使として赴けば良かろう」

「ジパングですか?」

 俺は少し考えた。

「不満か?」

「いえ、判りました」

 俺はライトルから散々ジパングの話は聞いていたので、練習するならヤマトで良いと思ったのだ。



 以来十数年。


 俺はヤマトに留まり続けていた。


 父は他界して他の者が外務卿を拝命していた。


 イースト王国の大使の話しもあったのだが、俺は何故かこの地に留まることを望んでいた。


 イースト王国は列強諸国が虎視眈々と狙っており、何をやるにしても他国との調整が必要でそれはそれで外交官としてはやりがいがあるのだが、何かとやりにくい。


 それに比べればヤマトは辺境の国という事で他国の干渉も少なかった。


 そんな中、俺はライトルの孫の皇子、臣籍降下してナニワ伯となった男と親しくなった。


 今の皇帝陛下は領土欲が旺盛だ。

 ここで、ヤマト王国を帝国の属国にすれば陛下の歓心も買えるだろう。


 いざとなれば最後は併合しても良い。


 その実績を持って帝国に帰れば外務卿の席も容易かろう。

 上手くいけばその属国の国王となるのも可能かもしれない。



 俺は万難を期してナニワに反逆することを指嗾したのだ。


 ナニワは単純だった。


 あっという間に兄である国王を殺してくれたのだ。



 そして、そのまま軍をキョウに進めてくれた。


 しかし、ヤマトは国王が死んでも軍は健在だった。

 凄まじい抵抗にあったのだ。


 東部方面軍から借りた軍勢では歯も立たなかった。


 このままでは不味い。

 ナニワの軍も我が軍もキョウに攻め入ったは良いが、何回もはじき返されていた。



 俺は東部方面軍司令官に頼み込んで東部方面軍の誇る魔導師四天王を借りた。


 さすが魔導師だった。


 ヤマトの地にはあまり大した魔導師はいなかったらしい。

 ヤマトの武士達は四天王の攻撃で崩れると一気に敗走した。


 俺はそのまま、王宮に乗り込んだ。

 美貌の誉れ高い王妃をヤマトの側女にしようとしたのだ。

 しかし、王妃は既に自死した後だった。

 ナニワも王妃を狙っていたらしい。


 余計な事をしてくれたものだ。


 俺はせっかくの楽しみを取られて癪に障っていた。


 江戸の地を租借して皇帝陛下には褒められたが、これだけではどうしようもなかった。



 そんな中、大和王朝の生き残りの王女が帰還してきた。


 ユキとか言う女だ。


 女だてらに冒険者として今まで諸国を漫遊していたらしい。


 俺はその女と息子を婚約させた。


「ええええ! 親父、あの脳筋と婚約するのは嫌だ。俺はバルバラの方が良い」

 長男のアデラールは侍女に産ませた息子だからか頭の少し抜けたところがあった。

 

 ユキは正当な大和王朝の王女だ。


 武士達の中でも未だに信奉している者は多いという。


 その娘を息子と結婚させれば俺の孫は大和王朝の正当な後継者となる。

 最悪、邪魔な、ナニワを始末しても良かろう。


 そうすれば完全にヤマト王国は俺の物となる。

 それが理解できないのだ。

 この男で大丈夫か?

 俺は息子に一抹の不安を覚えた。


 その予感は当たってくれた。

 俺の息子はやはり所詮役立たずだった。


 なんと学園の卒業パーティーでそのユキを婚約破棄してくれたのだ。


 挙げ句の果てにはそのユキに返り討ちに遭うという失態をおかしてくれた。


 せめてユキを捕まえてくれればなんとかやりようもあったが、殺されてしまってはどうしようもない。



 俺は直ちに本国に援軍を求めた。


 これはヤマトを併合する大チャンスだ。


 帝国本土からは、第六皇子と三頭の竜とその竜使いの一行が、東部方面軍からは一人欠けた四天王が送られてきた。



 俺は第六皇子が何かで活躍したという話は聞いたことがなかった。

 皇帝陛下の第六皇子など初めて聞いた。


 何でも反逆したユキ王女とは知り合いらしい。

 その関係で皇帝陛下が寄越してくれたのだとか。


 俺は志願してきた第六皇子を使者に反逆者に降伏を勧めた。


 今降伏すればナニワ伯の治めていた土地を与えるという帝国にしてみればとても寛大な処置だった。


 しかし、第六皇子は王女に親書さえ渡せなかったそうだ。


 本当に役立たずだ。


 本国ももう少し使える奴を送って欲しかった。


 まあ、皇太子殿下が出てこなかっただけましだろう。


 皇太子殿下が出てくれば俺の手柄を全て取られるところだった。


 こうなればその王女と戦うしかあるまい。


 戦力はヤマトの方があるのかもしれないが、こちらには三頭の竜と三人の魔導師がいるのだ。


 負けるわけはあるまい。


 俺は三つに別れたユキ王女の本体を全軍を使って襲うことにしたのだ。


 軍を分けるなど素人の戦い方だ。


 王女さえ倒せば首謀者を無くしたヤマト軍は降伏するしかなくなるだろう。


 そうすれば俺はこの国の王に成れるかもしれない。


 俺はほくそ笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

前作

『悪役令嬢に転生したのを知ったのは断罪されて婚約者に顔面を蹴られた時でした。ツンデレ兄と辺境で米作りして一からやり直します』https://ncode.syosetu.com/n5024mh/

前前作

『悪役令嬢にしない為に還暦のおっさんは学園に入学する! 恋した女の娘の為なら皇子だろうが聖女だろが叩き潰します!!』https://ncode.syosetu.com/n6630ly/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。