私の足下に承伏した竜ちゃんがクサナギの剱を持ってちょこんと座っていました
我がヤマト王朝は原始時代から続く史上最長の王国だということになっている。
私の家系図には1000代も前の人間が載っている。
1代10年としても1万年よ。
私から言わせたら1万年前って下手したら氷河期のまっただ中になるのでは無いだろうか?
新石器時代だ。
そんな時から王朝が続いているなんて絶対に嘘だ。
歴史書によると遡ればアマテラス迄は遡れる。
その先が神代の世界で800世代くらい載っているのよ。
絶対に怪しい。
おそらく伝説の時代だ。
それを別にしてもこの世界のヤマト王朝は、前世よりも強い。
源平の合戦をしてヨリトモが将軍になろうが、戦国時代でイエヤスが将軍になろうが、ヨリトモやイエヤスは単なる征夷大将軍になっただけで、本人が死ねば我が王朝が主権を取り戻しているのよ。
封建制度だけど、中央集権国家でもあった。
その神聖なる王朝は私が継げば1001代目になる予定だった。
そんな私はアマテラス様に、
「ユキ、なんだこの無様な負けざまは」
と夢の中で叱責されていた。
いやいや、負けてはいないはずよ。
買った後に私は空を飛べなかっただけで、飛べなかったから墜落して竜の上に落ちただけだ。
勝つのは勝ちましたから!
私はアマテラス様に報告したのだが、
「あの上から落ちたのか?」
遠くでサツマの声が聞こえた。
「さようでございます」
「しかし、生きていらっしゃるんだろう?」
「心臓が動いているのは確認しました」
これはアラレの声だ。
「さすがユキ姫様。千メートルの高さの崖の上から落ちてもピンピンしていらっしゃるとは」
サツマの不穏な声が響いてきた。
「まあ、高々千メートルですから」
「姫様は無敵です」
「本当に」
皆好き勝手な事を言ってくれるんだけど……
「ちょっと貴方達、いい加減にしなさいよ!」
私は起き上がりざま文句を言っていた。
「「痛い!」」
でも、私は起き上がりざまにアオイと思いっきり頭をぶつけていた。
二人して頭を抑えていた。
「千メートルの崖から落ちて無事なわけないでしょ」
私が痛いのが収まってから落ち着いて指摘すると、
「しかし、この高さは千メートルくらいはございますよ」
頂上を指してアオイが言い出した。
何故か竜を倒した後は霧が晴れて剱岳の山頂がはるか崖の上で光り輝いていた。
あれが頂上の祠だろうか?
クサナギの剱を取るために、あの上までまた上がらなければならないのか……
そう思うと私はうんざりした。
そして、視線を落として地面を見た時だ。
私は足下にちょこんと座っている黄金の動物を見つけたのだ。
「この子は何なの?」
私が尋ねると
「さあ、我々がここに駆けつけた時は既にここにおりましたからの」
サツマが教えてくれた。
「ん? 貴方手に持っているのは何なの?」
私が尋ねると
「ピーーーー」
金色の動物は私にそれを差し出してきたのだ。
「何、これは?」
私は手に取った。
どうやら刀みたいだ。
「どう見ても剱のようですが」
「えっ、ひょっとしてこれはクサナギの剱なの?」
驚いて私が金色の動物を見ると、
「ピーーーー!」
金色の動物は頷いてくれたのだ。
「貴方、ひょっとして竜神様なの?」
私が金色の動物を改めて見た。
「ピー」
金色の動物は大きく胸を反らして偉そうに頷いてくれたのだ。
「えっ、竜神様って?」
「姫様と戦われた竜ではありませんか」
「えっ、この子があの竜なの?」
アオイの問いに金色の竜は大きく頷いてくれた。
「姫様が強すぎたら竜を承伏したのかもしれませんな」
サツマが難しいことを言いだしたが、
「承伏って?」
「まあ、姫様の家来になったという事ですな」
「えっ、貴方は私の家来になったの」
私は子竜に尋ねたら、
「ピッ」
と短い鳴き声で頷いてくれたんだけど……
「さすが姫様。竜をも家来にするなんて」
「もう、帝国に勝ったも同然ですな」
「まあ、元々勝つのは判っておりましたが……アマテラス様と同様、竜神様まで味方にしたということは偉大な王になる事は約束されたも同然ですな」
この国を始めたアマテラス様は竜を家来にして従えていたと伝説には書かれていた。
現にクサナギの剱を持って現れたのだからおそらくこの子竜は先程の竜なのだろう。
名前がないと不便なので取りあえず『竜ちゃん』と私は名付けたのだ。
「さすが姫様。よく考えられましたな」
脳筋のサツマ等は感心してくれたが、絶対にヒロト等は馬鹿にしてくれるはずだ。
私が竜を従えたと知れば洞ヶ峠を決め込んでいる諸侯も雪崩をうったように私に味方するようになるはずだとサツマが言い出した。
他の三人も大きく頷いてくれたが……
相手は大陸最強の帝国だ。
そんな簡単にはいかないだろう。
私は信じられなかった。
時間があまりないので我々はすぐに帰ることにした。
「ピーーーー」
山を下りようとした私に竜ちゃんは自分を指さしてくれたのだ。
「えっ、どうしたの竜ちゃん?」
私は竜ちゃんを見ると、
ドン!
大きな音がしてそこには巨大な竜が現れたのだ。
確かに私が倒した竜だった。
竜ちゃんは背中を指さしていた。
「えっ、乗れってこと?」
「ぴーーーー」
竜ちゃんは頷いていた。
「えっ、あの竜の上に乗るんですか?」
アオイが少し青くなった気がしたが、
「じゃあ、竜ちゃんよろしく」
私はあっさりと竜ちゃんの背中に乗った。
「えっ、姫様、大丈夫ですか?」
おっかなびっくりでアオイがなんとか乗ってきた。
「まあ、大丈夫だろう」
ソウヘイが飛びのってきた。
「全員ちゃんと掴まるのよ」
私は全員が竜ちゃんに掴まるのを確認した。
「よし、竜ちゃん、出発進行!」
私の声とともに竜ちゃんは大きく羽ばたいてくれた。
ゆっくりと竜ちゃんは空に飛び上ったのだった。








