第六皇子視点 大魔導師に言われて、王女の隣に立てるように死に物狂いで訓練しました
この星最大の大陸ユーラシア、その西半分の大半を有する最大の国が我がトゥール帝国だ。
その国の第六皇子セドリックとしてこの世に生を受けた。
父の皇帝はいくつもの国を制圧して、その姫や妃を側室にしていた。俺の母もその一人だった。
フランク王国という国の若き王妃だったが、帝国に蹂躙されて、夫は殺され、母は父の側室とされたのだ。
父には皇子だけで10人以上いた。皇女も入れると子供だけで20人以上はいる。
皇帝は絶倫で本当に最低の男だった。
俺は帝国の第六皇子でそもそも母は占領された国の出身だったから元々期待も何もされてはいなかった。
まあ、それなりの扱いをうけてはいたが、その辺にいる伯爵家の子供くらいの扱いだった。
皇子だけで10人以上いるのだ。第六皇子などスペアにもならなかい。
俺は剣術だけは優れていたので、帝国の学園を卒業すると同時に剣の修行と称して大陸中を歩き回った。
極東の辺境の地でダンジョン周りをしていた時だ。
ヤマト王国の出だというユキと名乗る女の一向に出会った。
奴らはとても気さくな奴らで、俺は話しているうちに打ち解けた。
ユキは特に気さくな性格で剣の腕前も俺より上で俺は手合わせして負けた時に唖然とした。
学園でも当たるもの敵無しだった俺が、全く相手にもならなかったのだ。天狗になっていた俺は鼻っぱしを叩き折られていた。
ユキは俺に勝っても誇るわけでもなく、平然としていた。
俺は相手にもされていなかったのだ。
何糞と俺は頭に来た。
それから俺は必死に鍛練したがそう簡単に力がつくわけはなく、俺はそれからもユキに負け続けた。
俺はどうしてもユキには勝てなかった。
「絶対にいつか勝ってやる」
俺は宣言したが、
「そうね。いつか勝てたら良いわね」
呆れたように俺を見るユキは冷たかった。
でもそんなユキも良かった。
俺はユキに恋していたのかもしれない。
でも、聞くところによるとユキは神秘の国ヤマト王国の王女だというのだ。俺はそれを聞いて唖然とした。
俺は帝国の皇子だが皇太子のスペアにもなれない第六皇子だ。
ヤマト王国の次期女王になるユキとは到底釣り合わないと諦めが俺の視界を覆った。
俺達は極東の辺境の山奥のダンジョンで冒険しまくっていた。
外部の情報は辺境の地なのでほとんど入ってこなかった。
ユキがそろそろ帰るというのを引き留めて最後に潜ったダンジョンは凄かった。
世界最難関と呼ばれるダンジョンなだけあって、ダンジョンの最奥にたどり着くまでに10日以上かかった。
そして、最奥の間にはラスボスでは無くて伝説の魔導師がいたのだ。
その魔導師は何でも一つ願いを叶えてやると大言壮語してくれた。
ユキはすぐに国元に帰りたいと言い出した。国を結構長い間空けているので、すぐにでも帰りたいそうだ。
なんとも冷たい奴だと思ったが、
「まあ、それは良いが、その方も中々数奇な星の下におるの」
大魔道士はユキを見て大きなため息をついていた。
「判った。おつきの奴らにも申しておく。王女の前途は茨の道じゃ。それを歩む覚悟はあるのか」
「当然です。俺の命は王女に捧げていますから」
代表してソウヘイが宣言して残りの二人も頷いていた。
「良かろう、しばし静かにしておるのが吉じゃぞ」
大魔導師はユキらにそう忠告擦ると杖を一振りした。
光がユキら四人を包み、四人はあっという間にヤマトに帰っていった。
「その方は何を望む」
大魔導師が俺を見据えてくれた。
「何でも望みを叶えてくれるのか?」
「貴様の望みはとても難しいぞ」
大魔導師は俺を見るとため息をついてきた。
「大魔導師でも叶えるのはやはり無理か」
俺は大魔導師を見て残念そうに首を振ってみた。
「何を申す、儂に不可能はないわ」
ムッとして大魔導師は俺を見返してきた。
「じゃあ、ユキと結婚させてくれ」
俺がそう申し出ると大魔導師は首を降ってくれた。
「貴様とユキは水と油の関係じゃ」
「やはり無理じゃないか」
俺がムッとして指摘すると、
「その方は、本当にそうしたいのか?」
「ああ」
俺はおおきく頷いた。
「ヤマトの神々に祈れるのか?」
「ふん、第六皇子の俺は帝国に未練などない。ユキの手助けが出来ればそれで良い」
「帝国を捨てられるのか? 裏切り者とそしられるぞ」
「別に構わん」
「ヤマトにもすぐに受け入れられないぞ」
「受け入れられるように努力する」
俺は叫んでいた。
「お前の進む道は茨の道じゃぞ」
「望むところだ」
「貴様の母には勘当されるが」
「仕方がないあるまい」
俺は余り何も考えずに頷いていた。
「覚悟はあるのじゃな」
「ある」
俺はおおきく頷いていた。
「判った。ではせめてユキに勝てるだけの力をつけよ。でないと相手にもされまい」
呆れたように大魔導師は俺に申し渡ししてくれた。
「それは判っている」
「ふん、並大抵の努力では無理だぞ」
「どうすれば良いか教えてくれ」
俺が大魔導師に頼み込むと、
「お主は本当に面倒じゃの」
そう言いながら大魔導師が出してきた案は極東のダンジョンの完全制覇だった。
「これを一人でやれ」
大魔導師は簡単に言ってくれた。
しかし、ここまで来るのにユキらと協力してやっと来たのだ。一人でなど到底無理だった。
俺がしかめ面をして考えていると、「何じゃ、やる前から諦めるのか?」
大魔導師に馬鹿にされた。
「諦めはせん」
俺はそう宣言した。
一人でそこまでやらねば到底ユキには追い付けまい。それは俺にも判った。
そう、それからは命がけの挑戦が始まった。何度もダンジョンを途中で撤退させられた。
半死半生の目に遭ったのは一度や二度ではない。でも、一年かけて何とかやり上げたのだ。
俺は少しは強くなったと自惚れていた。
これでユキに求婚できると。
俺はその時はまだ知らなかったのだ。帝国が騙し討ちにして、ヤマトを占拠して、属国にしていたのを!








