ナニワ城攻略戦 後始末編 後顧の憂いを払うために宰相を決めました
私は叔父のナニワをつ、両親殺しと弟のシンノジョウ殺しの仇として葬り去ろうとしたのよ。
しかし、アラレとアオイの二人の喧嘩の挙げ句、ナニワをサンドバッグにして二人でやっつけてくれたのよ。
私の出番はどこにもなかった…………
どうしてくれるのよ!
せっかく怒りの全てをぶつけてナニワを処分しようとしたのに!
「アラレ、あんた良くも私のおねしょバラしてくれたわね。これで私はお嫁に行けなくなったじゃない!」
「ふんっ、何言っているのよ。元々貴方は皆に恐れられている爆裂の魔女よ。そんな貴方の所に婿に来てくれる奇特な男なんているわけはないでしょ」
「何ですって! そこに直りなさい。貴方を燃やしてあげるわ」
「ふんっ、やれる者ならやってみなさいよ」
二人は私の困惑を無視して延々喧嘩しているし、本当にやってられないわ。
「姫様、あの二人を止めなくて良いのですか?」
ヒロトが恐る恐る聞いてきた。
「私なんかに止められるわけないでしょ。貴方が止めなさいよ」
「私など絶対に無理です。でも、ソウヘイなら止められるかもしれませんね」
「俺を巻き込むのは止めてくれ、ヒロト。アラレの金的キックは本当にしゃれにならないんだ。昔練習台にされて本当に死ぬところだったんだからな」
真っ青になってソウヘイが逃げようとしてくれたんだけど、どんな敵に相対しても平然としているソウヘイが怖がることなどめったにないことだった。
私達はアオイとアラレをほっておくことにしてナニワ城の後始末をすることにした。
ナニワ城にいたのはナニワの配下が四万五千。帝国軍が五千人いて捕虜は四万くらいになった。
ナニワの親衛隊と帝国軍以外はそのまま国軍として組織することにした。
私達がナニワを倒したと知ると近隣諸国の者達は慌てて私の元に集まってきた。
本当に現金な奴らだ。
今頃来ても遅いわ!
余程叫びそうになったが、
「まあ、姫様、まだエドがございますから」
ヒロトが私を抑えてくれた。
そうエドには我が神聖ヤマト王国の領地を租借した帝国のボドインがいるのよ。
こいつも両親とシンノジョウ殺しの下手人だ。
そのためにはここは我慢だった。
でも、エドを攻めるにはこのキョウの地を安定して治めないといけない。
誰に任せるかだ。
武に特化した私の配下には中々適した人材がいなかった。
「おお、キチノスケ、よく来てくれたな」
そんな中、私が無理矢理連れてこさせた男がきた。
キチノスケ・オオツ。ヒロトの祖父だ。
文官として財務畑を長く勤めていた男で王がナニワになってから引退していたのだ。
「姫様、お久しぶりでございます。この老いぼれにどのようなご用でしょうか?」
迷惑そうにキチノスケが私を見た。
今は悠々自適に畑を耕しているとヒロトからは聞いていた。一筋縄ではいかないだろうと。
「実はキチノスケ。その方に頼みがある」
私はキチノスケを見た。
この男には引き受けさせたい仕事があった。
知識欲が旺盛で、准男爵位で財務の1部門の局長まで務めた男だ。
能力はあるはずだ。
「頼みと申されても、この老いぼれ既に引退した身でございます」
「そこを頼みたいのだ。その方には宰相をやってもらいたい」
「はああああ! 姫様血迷われましたか? 私は財務省の徴税局長しかしていない者ですぞ。それも地位は准男爵。そんな者が宰相など務められるわけは無いでしょう」
キチノスケは反論してきた。
「多くの者が帝国とナニワにさからって殺されたのだ。無理を承知で頼んでいる」
この国難に人材が出尽くしているのよ。私は武に特化しているし、私の配下も大半はそうだ。
貴族に任せると言ってもその能力のある者はほとんどいなかった。
「無理をさせるならもっと若手にさせた方がよろしかろうに」
確かにキチノスケの言うとおりだった。
人がいればそうしている。私の部下では文官のヒロトが最適だったが、こいつは軍師としてこれからの作戦に必要なのよ。帝国を追い出して、この国への未練を断ち切るまではヒロトを私の手元から離すわけにはいかなかった。
そんな中、このキチノスケは財務にかつての部下も多く残っている。他の部署も文官の多くは昔からの人間だ。古株のキチノスケは知己も多いはずだ。そいつらを上手くまとめていってくれれば良いのよ。
財務の元一局長を財務の長官を乗り越えて一国の長官に持ってくるのは確かに無理があったが、ナニワについた長官をそのままにするわけにもいかなかった。まあ、反革命の反動でそれくらいの無理は押し通せるはずよ。
「何を申しておる。その方は人生は60になってからが旬だと私に小さい頃教えてくれたではないか」
「いえ、それは戦国時代のソウウンの事でしょう。今とは事情が異なります」
「何が異なるものか! 帝国は虎視眈々とこの地を狙っておる。このヤマトの地は危急存亡の時を迎えておる。私はこれからエドに向かい帝国軍をこのヤマトの地から叩き出すつもりだが、帝国はこれで諦めはしないであろう。早急に国力を整えて帝国の蛮行を防がねばなるまい。ヤマトの為じゃ。なんとしてもその方には受けて欲しい」
「しかし、姫様」
「この通りだ」
私はキチノスケを拝んでみた。
ヒロトがキチノスケが言うことを聞かない時はお地蔵様にお祈りするように拝めば良いと言っていたのをやってみた。
「ひ、姫様。そのような。私に祈るなど……」
「そうは言ってももはやその方に頼むしかないのだ。サツマにさせろという意見もあるのだが、サツマは軍事国家にするなら最適だが、国民皆兵制度を導入するとかね畑を軍事鍛錬所に供出せよとか言い出しかねないからな。キチノスケ。この通りだ」
私は再度お地蔵様に向かってお祈りした。
別に前世の記憶の甦った私は人に頭を下げるのはなんともなかった。
特に年上には……
「判りました。このキチノスケ、誠心誠意務めさせていただきます」
キチノスケは頷いてくれた。
これで後顧の憂いを払えた。
後はナニワと並ぶもう一人仇、総督ボドインを討つだけだ。
あのカバ、絶対に許さん。
シンノジョウが処刑されたと言う中庭に花を手向けつつ心に誓ったのだった。
次は帝国からの使者です。
誰が来るのか?
お楽しみに!








