恐ろ、お揃、おそるおそる-38話
..目を背けたい、兄が瓶ビール片手、美女を隣に連れている
黒いMA-1 赤と黒のボーダーのハイネック
兄の髪は黒く長い。身なりへの制限がなく
自由が売りの空海大学といえど、ここまで
ロングヘアーが様になる男などそうおらず
ましてや、背丈と身なりまでも
モデルのように立ち振る舞われたものであれば
..目立つ、兎にも角にも目立つ。
女子学生の格好の的だ
そして、兄よ?隣の美女は誰だ?
三つ編みに編んだ髪の束を両隣
フランネル素材 オレンジ色
のチェック柄のマキシ丈ワンピース
腰回りはレザーのベルトを締めていて
女性らしいメリハリとしたボディラインが
強調される、足元は見慣れたマーク
茶色のPUMAのスニーカー
暖かい色味の服に相対して白い肌..
そして..兎に角目を背けたいもう一つの要因
この美男美女の真上、見慣れた
—-黒い羽と青い砂
今現在、私は黒いコートを着ているのだが
全くお揃いのコートを【ヨルも着ている】
..度々、思うのだがヨルは
気に入っているであろう服を
繰り返し着続ける傾向がある。
..何度かヨルと出かけているが
「またそれ着てるの?」と思う事
幾度も幾度も..如何にも
発達障害
の特徴、兄もそうだ。
金髪に黒いコートを着た私、
私は現在..両隣
「お手手を繋いでいる」
右隣の手のひら 山中淳
左隣の手のひら 白木百合
真ん中は私
山中先輩は黒いウィンドブレーカー
百合ちゃんは学園祭の物販購入
生花がプリントされた黒いパーカー
私だけが衣装のような身なり..
芸能人とマネージャー、裏方の
ような形相に見えなくもない
私は俯き履いている白いブーツを見つめて歩く、
..3on3(スリーオンスリー)
目の前の美男美女と死神のような存在
ヨル達と対峙したく「ない」
ましてや、瓶ビールを片手に
既に酔っ払ていそうな兄に
絡まれたく「ない」
..決して..!! だが、無常にも三つ編みの美女
「あっ!!ゆりちゃーーん!」
えっ..知り合い..?だったけ?
「ふぇ?あっ..!あっ!!あー!」
PURPLE VANILLA (パープルバニラ)
の女性販売員 サクラさんだった
「パプバニの!お久しぶりです、
休暇とられたんですね!」
..山中淳は礼儀が正しい
目の前の美女、サクラさんは出勤の時と
プライベートで身なりの系統を大きく変える
..こはるもそうだ、何かスイッチが
あるのであろう、お洒落上級者達には
「あっゆりちゃん、もしかしてお兄ちゃん?」
「あっあっ..ふぇあっうん」
「さーちゃん!はぁ!本当に優しいね!
おい!金髪!お兄ちゃんも大学生になーりたぁーい!」
兄は..アルコール耐性が著しく弱いのに
お酒を飲む時は瓶ビールのラッパ飲み
ラムネを飲むかのように
ごくごくと飲むものだから回るのも早い
「なんでそうやって飲むの?」
と聞いたら「かっこいいから」と返す兄。
本当に分からん。
白木百合はジタバタしない
「ヒートくん?隣のお方は石北と買い物した
店員さん?」
「ゆーりは、頭キレるねぇヒュー」
人たらしのサクラさんが口を開いた
「みんなおもしろーい、ゆりちゃん
金髪似合う!大天才私が似合いそうって言ったら
すぐにしてくれるだなんて」
「あっあっ..!はっはい」
私は兄とサクラさんの真上にいる
ヨルに見つめられている
「おい!金髪!おてて繋いでかわいいね〜トイレどーこ!連れてって!」
..酔っ払っているように見えて
兄はヨルがいることを気遣ってくれている
「ゆりちゃのお友達?かなもしかして今日着て る花柄のパーカー大学のオリジナル?」
「どひやぁ鋭いですね、サクラさん?でしたよね
そして私も実は百合って名前です生花サークルのオリジナルです
案内しましょうか?」
「ねぇ翔太くん?ここの大学全体的にレベル高いよね?」
「ねー!さーちゃん!もレベル高すぎだよぉ!!ね!今度デートしてね!ね!ね!」
..兄がチャラい恥ずかしい怖い物知らず。己に羞恥心はないのか
「翔太くん、私彼氏いるから、さっき言ったでしょ?てかゆりちゃん
お兄ちゃんコート買ってるから借りたら良かったのに!」
..あーヨルが着ているのはそういう理由か
兄が着ていて気に入ったのだろう。
山中淳と白木百合、手を離す物販会場へと促し始めた頃
兄は上空のヨルと目配せをして
「トイレどーこ!ゆーりちゃん」
自然とフェードアウトした
「ゆり、ヨル、人いないとこ三人で手を繋ご」
昼下がり家系ラーメン屋台寸胴鍋を目の前
死神のようなヨルを真ん中
両手に岩永兄妹
三人仲良く手を繋ぐ
—-世界の認識から外れた3人
「ヨルっち外飛びたい」コクリと頷くヨル
えっ..?私達 空飛ぶの…??!
ゆっくりと身体が浮きだして
重力が身に降りかかる..
かなり怖い!!
「妹ー、ヨルっち健気でさー今日二人が着てるコート
サクラさんのとこで買ったけど、翼があるから
ヨルは破かないと着れなくてさ、だから
寂しそうにこの服見つめてたんだよ
俺も、もう1着買えば良かったな
そしたら3人お揃いで空飛べたのにな」
既に上空何メートルだろうか?
恐ろしくて私は唾を飲む。お揃いの理由は納得できたが
手を離したら死んでしまう




