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夜は朝を知らない  作者: -1twelv2-


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37/39

空海祭-37話

「お兄ちゃん髭あると35だけど

 剃ると19歳だね」

「んっ..まぁ、ほら怖いだろうからさ」


兄の髪は刈り上げも伸びて長さは耳たぶを覆う

ほど黒くダラダラとしている。

 

今日の兄の服は光沢と丸みがある黒いMA 1ジャケットに赤と黒のボーダーのハイネック

短い上着の丈は長い足が映える

 

ズボンは、

「それ、ヨルの?」指をさした

「うん、借りてる」

 

同じズボンなのに、丈のおさまり方も

全く同じだった。


その後は、大学まで各々視点を真っ直ぐに

無言で歩いた。..兄は私の半歩後を歩く

方向音痴だからしれっと私をナビにしている事は、言われなくても気づく


—-2026. 空海祭 DAY CONCEPT

FLOWER CARNIVAL &NEVER MEMORY

                ———

PCで作成され英語文字の看板

さらにその上に直接筆で墨字を重ねる

コンピュータの文字と習字のMIX(ミックス)

デザインの監修は石北海斗であろう。

 

今回の文化祭は山中淳が主軸に

動いた。例年随一の空間デザイン

で間違いないであろう。


空海大学に並ぶ、暖簾の色味がガチャガチャとなると視覚的に疲れるため、

暖簾の色味さえもグラデーションに配列させ

その上で導線も意識したとの事だ。


室外、敷地内

青、緑、黄色、赤の暖簾が軽食や

スイーツのバザー ポップな字体のフォント

でサークル名や飲食物の名前が連なり

若い学生、がわいわいとしていて

女の子のはしゃぎ声が目立つ。


そららのエリアから外れて 

茶色 抹茶色 紺色 えんじ色の暖簾

 

和食、酒、ラーメン、スープ物

味自慢の食のバザー 料理研究サークル

らの出店は重厚な色味で統一され

食べ歩き目的の人間には居心地が良く

各々の売り上げ上昇も見込める


そして物販やお化け屋敷などの

催しは室内のみに固める

 

物販のポップは全てモノクロの

看板でロゴを石北海斗が

グラフィックデザインを作成

そして各々の出展のイメージに合わせて

森内界斗監修でドライフラワーを添える

森内は迫力のある見た目に反して

アレンジは繊細で、優しさが滲む。


人が溢れる学内であるが、

各々の目的 ストレスなく過ごせるように

デザインされた空間

 

主軸となり動いた-山中淳、

彼の身なりは古臭いものの

他者や空間のプロデュースに長けていると

山中の評判はうなぎ登りになった


2年留年していた学生に

教員は皆呆れていたが、この日を境に

見る目が変わった。

山中淳へのアドバイザーは

私と下の名前が同じ-白木百合


….だが、彼女が携わっている事は

多くの人間には知られ渡る事はないだろう。

 

人知れず、程よい距離感で

文化祭設営に貢献していたからだ

 

百合ちゃんは、全てがうまい。


「すげぇ、看板のコンセプト、書いてること

 クソだせぇけどデザインいいな」

 

兄は、ウォレットチェーンに繋いだ財布を

お尻のポケットに入れたまま、たこ焼きを

買いに出かけた


ロゴのデザインは石北海斗.

福沢全一.全(ゼン)としての存在は

 

絵やデザインのセンスがとてつもなく高い。

だが、彼の自身の洋服の

コーディネートはとてつもなく評判が悪い。

 

「ハイティー!それはダサいって!」

….学内、何度聞いたであろうこの台詞

この台詞を聞くたび実のところ

石北のヴィジュアルにときめいてる

 

….私は悔しいし、感性がおかしい。


….たこ焼きを買いに出た兄。

待ちぼうけ、暇だ。


バンドサークルの演奏も含め

ステージでの催しは体育館で行うとの事

 

ステージ発表のある学生の体育館への集合は

10:00 現在、9:20 リハーサルはバンドの発表が多く時間を取るため 私たちは

「ぶっつけ本番」との事

 

….だが、音源をかけて歌うだけだ

必要ない。と、私「は」思っている。

 

そして、発表は私達が「最後(トリ)」との事だ。

 

理由も察している。「バンド演奏形態」が基本

「DJセットの私達」は転換の兼ね合い

都合がいいだけだ。

トップバッターで下手をこかれるよりは

「最後(トリ)」の方がマシなのであろう。


私はようやくここで、たまったグループラインを開いた。通知62

 

「きめぇ….」そうぼそっと呟いていた。

縦になぞる「えっ」


…..どういう事??目を疑った。

 

——前の演奏するはずだったバンドが

 インフルエンザで辞退。私達の時間が

 伸びて 持ち時間65分に延長且つ——

 生花トータルサークル合同パフォーマンス

 になります———

 

 え?これで?ぶっつけ..?


「えっ….あっ!」

「そのため、リハーサル開始9:00になります」

 

えっとぉ….

そしてまた、疑問が産まれる

 

「えっ..?なんで誰も

 個人で連絡してこないの?」


あたふたとしだす..!

兄といえどたこ焼きを買って

待たせてしまう事になる

 

..とりあえず早歩きで向かおう

お兄ちゃんは後..!

「おねぇさん!めちゃめちゃ可愛い

 自分、風林大学なんですけど

 遊びません!か!」

 

男の子、2.3人絡まれた..!

嫌なわけじゃない..!よくある話..

だけどタイミングが違う


またあたふたとするが、冷静に

「ごめんなさい!私

 ヒップホップサークルでラップあって

 リハーサルこれから!

 あれ、サークルのインスタあるから

 フォローくれたら返します!」

振り返らず、走った


「大人になったな」

兄の通る声が聞こえた….

なんで、このタイミングでおつかいが

無駄にはやいのだろうか….

 

「あ!彼氏さんですか?ごめんなさい!」

「いいえ、兄貴です。性欲お化けだから

 お前ら後でいってこい」


くそっ、こんな台詞まで聞こえてしまう

耳の良さをどうにかしたい。


「ごめんなさい!みんな!」

体育館館に着いた….先ずは確認だ。

 

HIP HOPサークル….佐伯こはる

大崎咲 川崎花子 霧島凛

みんな衣装に着替える前のラフ着で平然

としてた。

 

「おー、お疲れさまー」と4人の声は揃う

 

「まー、ゆりなら大丈夫でしょ、うまいし」

 

また4人は揃えた。


….心配しろよ!!

 

「てか、もう着替えてんの?気合い入り

 すぎじゃない?」

逆だよ..



大崎咲は黒髪センターパートボブカットになった私は今現在、金髪ロング


「髪型、交換したみたいだね」

佐伯こはるの目が線になる


その後マイクを通した透き通る声—

「えー以上で合同の打ち合わせになるけど

 大きく変わる点はみなさん抑えてますねー

 要約、HIPHOPのサークルの女の子の

 パフォーマンスに石北君の弾き語り

 くっつくだけですね、おっけい!

 では本番よろしくお願いしまーす」


司会.MCを務めるのは「白木百合」

この時初めて知った。


「ゆり!本番任せたよ!

 あんたはなんも心配してないけど」

「えっしてよ、寂しい喉痛い、

 知らない、グループ見てなかった」

「うん、知ってる知ってる」

「咲返しはやっ」

「ゆり殿、風邪は大丈夫ですか?

 無理しないでね」

「ゆりりん!後で、ラーメン食べようね!」


動揺する中、次の刹那

—ときめきが駆ける———

「えー!!本番よろしくお願いします!

 皆様、肌寒い時期といえど

 パフォーマンス時 水分補給

 忘れず、練習の成果思う存分出して

 頂けたらと思います!

 私も楽しみにしてますので

 本番、一緒に頑張りましょう!」


黒いナイロンのジャージのセットアップ

サイズ感が緩く ミズノのマークだけが白い


前髪はドライヤーで立ち上げられたであろう

痕跡、耳元は刈り上げ 目こそ細いものの

鼻は細く、長く美しい。ホームベース型の

フェイスラインは男性的で、私には

待ち合わせない魅力で見惚れてしまった。

とても、紳士的だ


——こんなに、爽やかなしっかりモノの

先輩が学内にいたのか


そして、またその次の刹那

「淳、気合い入りすぎウケる」


「え??」 口を開けたまま私の体は固まった。

—————私の感性は兄よりも異質だ。


〜〜〜… スチャ スゥ..—

「淳殿….」

 


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