安泰すぎる-29話
白い壁、白い床、ペイズリー柄の赤い絨毯
井草のマットの上に紺色の布団
被さっているのは灰色のタオルケット
福沢の暖簾——-あの場所に地下室があった
私達は全く驚かなった。
福沢の家に寝泊まりしている兄
夏休み「ゆり、ちょっと来て」と畳の上で
寛ぐ私を促した
うまい棒が生けられた花瓶が置いてある棚を
「ひょいっ」と兄はどかす、
すると上から「滑り台」の滑る部分
を目視した。
棚が無駄にデカい理由はコイツを覆うためだ、
滑り台は見るからに固い金属と分かるが
色が黄色だから気持ちが悪かった
黙って滑り落ちた兄に続き、私も滑り落ちると
着地した場所は寝室になっていた
内装の趣味はヨルではないだろうとすぐに
決めつる、絶対全の趣味だ。
何故なら白い壁に、大きな額縁が一枚
【これでもかと言うほど丁寧に描かれた
よく見るあの形のアート】が飾ってあるから
ソフトクリームのような形をした
茶色い具象画など繊細な死神が好む訳がない
「ヨルうんこすきだからなぁ」
….っ!そうだった..あいつの生きがいは排泄だ。
「もしかしてヨルが描いた?」
「いや、ヨルが全さんに描いてって
ねだったって、めっちゃ喜んだらしいよ」
デフォルメされた繊細な色使いのうんこは
とても儚げなアートだった。
井草のマットの上に布団は二つある
ヨルと兄は一緒の部屋でに寝てるという
兄とヨルが並んでいるとこを私は見たが
背丈が全くもって一緒だった。
ヨルと兄は定期的に見るが
二人が一緒にいる光景は中々レアだ
「でさ、ゆりちゃん」
兄は地下の寝室の白い箪笥へ赴く
一段目を引いた
….お札が乱雑にどっさりと敷き詰められていて
二段目を引くと
….今度は小銭がどっさり入ってた
1万〜千円札 、500円〜1円玉はまばらに大量….
「全一さんどうやってこの金作ってると
思う?」
「詐欺」
「….師から盗んでる」
「..どうやって?」
「力技、詐欺師とか裏金引いてる政治家や反社の人間が寝てる時、あの人姿を消して財布に入ってるカード盗んでATM から引いてカードは元に戻してるって、ああいう人間って引き落とし多いから気づかないんだって、あとさ….」
「まぬけなADHDからも盗んで遊んでるらしい、俺高校生の頃5000円抜かれてたっぽい」
…. 私は大仏のようにお金を見つめる
「お罰でも与えてるつもりなの?あれは」
「いや、ただの収集癖でこの金で変な服買い集めたり、石北の体で、ご飯食べて
うんこしたいだけだって人として終わってるけどアイツは物理的に人じゃない」
箪笥に500万は「くだらない」金がある
「一撃で引いたのマックスで3万らしいよ」
「….それでこの量?」
「しかも小銭もこの量だよ?」
「どんだけ盗んで、どんだけ
テキトーにお札使ってるの?アレ」
兄の顔が大仏のように目が細くなる
「俺、朝を知らないの雇用契約、
手続き全くされてなくてさ給料なんだけど..」
….私はすぐに察した
「これ、好きに使っていいよって」
黙ってまた 金を見つめる
….
「ゆりは手を出せる?このお金」
「….怖いよね」
二人は神が盗んだ金に立ち尽くす
「お兄ちゃん思いついたこと言うね
剥奪の-はく-って書いて
剥利多売
神様の気まぐれに警戒」
こはるの影響で好きになった
(sic)boyのHeaven’sDriveを携帯から、かけた
♫Let’get in heaven’s drive 眠くない街
光るneon sign 〜
「ゆりちゃんなんでそんな頭の回転はやいの?
ラッパーになって」
私は箪笥から5000円札を取る
「これは元はお兄ちゃんのお金だから
これでフレックスしてくる」
「ゆり、ちょっと使い方と使い道が違う」
FLEX—フレックス 実力をつけ、稼ぎ
お金や高級な服、煌びやかな生活を
「見せつける」という意味だと私は解釈してる
ちょっと、というかだいぶ意味合いが違う
….テキトーに言の葉をぶつけた。
スゥゥゥン ….
スゥゥゥゥン…. 全とヨルが滑り落ちた
〈概念〉達はいつも通り同じような
ファッション。ヨルはいつも、モノトーン
全は今日も「蕎麦」と書かれたTシャツ
全の半袖Tシャツは今日は赤だ
「こら!泥棒 !」 と全が怒る
兄が兄の財布から5000円を全に渡す
「いや、返さなくていいでしょ」
「んや、この金で全さんに飯作ってもらう」
….考えた
福沢全一がずっとこの場所に住み続け
兄がここに寄生し続ければ 文字通り
岩永翔太は「一生安泰」
….私はまた考える
友達達との約束の時間はもう過ぎてる
滑るり落ちるまで結構時間かかった
そう、滑り台が無駄に長いのだ。
【あがるのだるくね?】
「あっゆり、金属にしてる理由
裸足だと上がりやすいからだって靴下脱げ」
急がなきゃ行けない時間だから
受け入れるしかない
….よりにもよって今日はスカート
苦労を受け入れ、羞恥心を手放した。
「ゆり、よりも、ぶり、パンチラ
これ、パンチライン yeah yeah」
福沢全一としての存在の声はとても渋い
意味の分からないラップを聴かされた
スカートを履いた私は
下着をFLEXながら滑り台を登る
「趣味が悪いな」とヨルが呟いた
….視界は前方
絶対、全に言いつた台詞なのに私は今日履いた下着がどんなんだったか
と、どぎまぎとするが
——コイツらに見られてもどうでもいいな
「ゆり、大人になったな」
….最悪だ兄に見られた
ギャルの影響で今日は際どいのを履いていた。
登るのは、身体的には意外と楽だ
だが精神的なダメージが重い。
なので、くすねた5000円でチャラ
にしてやる
約束の時間までもう間も無く
神から金もくすねたのでタクシーに乗った
目には目を、歯には歯を
くだらない金には、くだらない使い道を
と思ったがなんだかんだ神様の
お金だから怖い。今日、遊んだ後うまい棒を
5000円分買ってあげたら
それでいいかと頭の中で解決させた
こはるはリサイクルショップでバイト中
今現在、オタクとオタクとギャルの3人を
待たせてしまっている
ご察しの通りサークルメンバー
向かう先はバイキング
…. タクシーから降りて目的地手前
3人の女の子を目視したがすぐに、
3人の人間に絡まれた
「あっ…」 と最初に口に出したのは
「白木百合」 手前二人は男
「森内海斗」と「山中淳」
「ヒューウッ」 と山中淳が口笛を吹く
もう既に
「ゆりりーーん!」と女の子3人が
私を呼んでいるなか「山中」は空気を読まない
「あっ岩永さん」
….森内は意外と人見知り
「ゆりちゃん..お疲れ、色んな意味で」
….白木は気を遣ってくれてる
山中淳は私に話かけた
「君もゆりだったね、ユーリもいるしややこしいけどちょっとツラかしてよ?子猫ちゃん」
小ぶりの黒いハットにデニムの半袖シャツ
黒いベストに えんじ色のズボン
数珠のブレスレットにとんがった靴を履いた
山中は「医者の息子」 ——山中 淳
….学費はおろか高額のお小遣いを貰っていて
親のお金で気前よく
「石北」と「森内」に奢り散らかす
….挙げ句の果て2年留年してる2年生の先輩だ
「ハイティーの事どうしたいの?想ってるの?どうなの?君には気持ちをぶつけて欲しいな
じゃなきゃアイツ可哀想だろ?魂の会話したいからちょっと2人になろうよ」
2年生の中で1番有名な存在が
私に話を持ちかけていて
大学で知り合った人間計7人が
現在、同じ場所にいる
山中と岩永、岩永は山中に促されるまま
外れのコンビニに連れて行かれた
….グループは2つ
残り5人は強制的な待ちぼうけ。
2人きり うざい暑さとうざい奴
コンビニ煙草を吸わない私達は
備え付け、外の灰皿の前に立っている
「で?ハイティーの事どう思ってるわけ?」
….
(だからハイティーってなんだよ)




