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夜は朝を知らない  作者: -1twelv2-


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27/30

かいかい、ゆりゆり-27話

「こはるちゃん,今日はバイト?」

「いや、明日です、8時間働きます」

「どひゃーすげー」

兄とこはるはお互いに尊敬しあってる

——-

7月.こはるから

「pay payダウンロードしたから

 福沢って書いてある服屋行きたい!」

と連絡が来た、Instagramにて

こはるちゃんと伺いたいですとメッセージを送ったら 「承知しました」と返ってきた

 

この場所には福沢全一(ふくざわぜんいち)

が立つべきだ、なのに7月の日曜

朝11時 暖簾を潜ると

….兄がいた。


兄妹(きょうだい)

「あっ」と見つめ合うや否や

 

こはるは私に「他のスタッフ?さん」

と 投げられて、私は

どう切り抜けるか頭を回すと


兄は「いらっしゃいませ」

….一呼吸置いて

「オーナーの全一さん、他の仕事で

長い期間留守にしてます

全一さんとは昔からの知り合いです

妹のゆりがたまたまサブスク入ったから

笑っちゃった、初めまして 岩永翔太です

ゆりの兄です、もしかしてこはるちゃん?」


金髪になったこはるは

「えっ!ゆり!えっ!あっあっえっと

 その、佐伯こはるです なんで

 ここにお兄様いるの、てか!

 顔….似てるかも?イメージと違う」


私より頭が回る兄はゆっくりと喋る

 

誰からも説明を受けていない兄は


「いらっしゃいませとか言ったけど

ここ別にお店?じゃないよゴミを並べてる

だけだからね、ゆり6000円払ったんでしょ?

こはるちゃんはマジでちゃんとしたとこで

服買ったがいいよゆりと違って

可愛いもん勿体無い」

 

こはるは

「あっ私、服は正直ピンと来なかったけど

この場所好きでなんか雰囲気があっあっ

QRあった!」

 

あたふたした、こはるは カウンターの上に

置いてあるQRコードを読み取って

【6000】円振り込んだ ♫PayPay


「え!こはる!何してんの」

「あっいや、ほらさ、場所代!

 服も正直欲しいけど月500円で

 ここに来れるだけでも安すぎるから」


兄はじたばたしなかった

 

「お金はね、使う為にある。いいと思って

払ったお金は、提供してくれる人の

お給料になるそういう意味でさ、ゆりにも良いものにはお金をかけなさいって言ってるだけど

こいつチマチマ使うからな」

 

兄のこの説明で

「良いものにはお金をかけなさい」

の本質が見えた、そのまま兄は優しい声で


「ゆりの友達だから慌てん坊だね

この場所が好きなのは、分からなくもない

けどさ、こはるちゃん?今欲しい服あった?」

 

見渡すと以前と同じように安そうな布しかなかった。


「あっごめんなさい、えっとあ、えっと」

 

こはるが緊張してるのは言われなくて

も分かる。昔からだから

 

「謝らなくては、いいんだけどさ

てか暑くない?ゆりしかここ使ってないから

留守番する義理、俺もないよ、ご飯行こ」


と二人を連れだして

近くのインド料理家で

3人は食事をした

少しずつ話せるように

なっていくこはるに丁寧に相槌を打つ兄

お会計は3人で5000円もいかなかった

 

だが兄は、

「あっ….ごめん俺、手持ち1000円しかなかった」


は?何コイツ


「あっ私お金あるので」

「ごめんね、ゆりと割り勘して貰える?」

イラつきながら会計をして解散した


「ありえなくない?妹と女子大生

にお金出させるの?あいつから誘ったじゃん」

「いや、お札ない時くらい誰でもあるし

 お兄様めちゃめちゃ良い人だったよ」


——ピロン

こはるの車の中、通知が鳴った

「ゆりのPayPayのリンク教えて」

 

….ムカつく

そのままリンクを送ったら

【20,000円】送られてきた

 

「金額見てなかったけど、会計それくらいだったでしょ?半分こはるちゃんに送っておいて

こはるちゃん6000円払ったから

いつでも福沢おいでって言っててね」

 

….完敗だ。事情を伝えずにお金を送る訳にも

行かないから履歴を見せるも「沼だね」 と

こはるは、兄を尊敬した

 

私は「多すぎる」と、LINEを返すが

「えっあそこのカレー不死鳥の肉使ってる

からめっちゃ高いよ」と、とぼける

 

律儀なこはるは4000円分のプレゼントを兄

に送った 【高級生ハム】

 

兄の翔太もこはるを尊敬した


兄はバターチキンカレーを選んだから

肉が好きだと思ったらしい

無論、兄は生ハム大好きだ

            ———


夏休み私は毎日のように福沢の家で暇を潰した


石北として生花サークルを設立した

「神」は家をあけて遊んでばかり


石北海斗の親友は同学年。

——森内界斗(もりうちかいと)


….私が誤って啖呵をきった大きな輩

彼も名前が【かいと】だった


海斗と界斗は、同じ空海の先輩


山中淳(やまなかあつし)を慕っている


….同学年に嫌われているチャラい2年生だ

 

【生花 トータルビューティーサークル】

設立は石北 カリスマは(あつし)

二人に痺れた森内と3人、今日も歓楽街へ

ナンパと古着とアツい夏

 

どうでもよすぎて距離とる私


ここは福屋、

兄は後ろを刈り上げ、前髪伸ばして

顎に髭今日は青いTシャツ、下はエスニック?というのか、黒地の不思議な模様のズボンに下駄を履く


駄菓子屋のような居心地のいい

福沢暖簾の福屋にブラウン管

繋いだファミコンのゲーム

こはるは遊ぶ

兄と妹はただ、見るだけだ


夕暮れ—-夏の夜へと差し掛かり

蚊取り線香の匂いが香る


「….ここに7時間もいたのか」

体感は2時間くらい

「ね、翔太さん、すみません遅くまで」

「いやいや、ここは俺らの別荘だから

母ちゃん心配するからお前は、はよ帰れ」


兄は客がほとんどこないお店

「朝をしらない」で働く為

福沢の家と実家を行ったり来たり


「ゆり明後日また、例の決起集会、サイゼで」

「めんどくせー」

「ちゃんとしろラッパー」

翌日、私だけパチンコを打ちに行った

 

….次の日のサークルの打ち合せ?

が凄く嫌だった、だから今日は現実逃避


石北海斗だの、福沢全一だの、ゼンだのが

どこで姿を消して私を見てるか分からない


「ゼンは呆けている」

というヨルの台詞を思い出す

「今日もどうせ遊んでいるだろう」と呟いて

見られることはないと思い大学と逆方向

電車に乗って知らない地域のパチ屋に来た


よく分からない場所よく分からないアニメ

の台にドカっと座ると隣の人が

ビクッとしたから

「ごめんなさい!」と二人の声が重なった

 

「えっ」 ….お互いが驚いた


「天使がいる….」と久々の台詞

 

白木百合(しらきゆり)だった


【ゆり】がパチンコを打っていた


空海で異様な空気を産んでしまった

サークル設立、その1番の犠牲者は

….白木百合 彼女だ

 

「天使がいる」というこの台詞、

今度の声は元気がなかった

 

「石北うぜー」とパチンコを打つ百合

「世知辛いね」私は返す

  ———ガガガガ

まともに話すのは入学式以来

….気まずい事に


「私だけ勝ってしまった」

私は4千円増え

百合ちゃんは2万円失った

 

「ギャンブルやめたいなぁ」

パチ屋のベンチ、鬱陶しいほどの水色の夏の空

蝉の音をBGMに二人の声が揃う

「今日暇ですか?」

….変な流れで初めて遊ぶ事になった

 

「どこ、いきます?」と私が言うと

「バッセンがいいな」

「ん?バッセンって何」

「あっバッティングセンターです」


あーそういう略ね、私横文字が苦手だ

「私、実はカタカナ苦手で」

「そんなにお洒落なのに?」


….私は今日、猫が女をはべらせ

葉巻を吸ってるTシャツを着てる

——お洒落の意味が分からない





 

 

 



 

 


 


 


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