Siriが知るべきHipがHop-26話
ジリジリと陽が照りイヤホンで塞がれた私の耳
——
「StackするYEN 満たされん頭ん中に死ぬまで書き上げてく曼荼羅」….Ralphの
音は重たい、私は金を作る
ホテルへと向かっている。
もう慣れた、仕事だ….片付けるか
ビジネスホテルの清掃バイトに勤しむ夏休み
清掃バイトを6月半ばから始めた。
朝5時〜7時までという勤務も可能な為
仮に月〜金曜、全て出勤していたとしても
大学生活に支障が出ることはない
私は月曜と金曜、早朝だけ働いている
学生を理由に曜日を固定させて頂いたが
即採用、「もっと入ってくれる?」と
言われる事もないだろう。
人件費がかからない上シフト制作も楽だと思う
人が足りてるから週一だけのシフトもしばしば
だ。だがそれくらいで良い。
6月半ばから始め、今は8月
二ヶ月分のお給料を既に頂いている。
私はアングラ HIP HOP 「drill」を聴きながら
文字通りのメイクマニーの為に
30分程歩き,仕事場へと向かっている
クリーンである事この上ない。
なんのやましさもなく
HIP HOPばかりを聴いている私、
嫌、聴かざるを得ない状況なのだ
仕事終わりの夏休み、現在こはるは福屋にいる
福屋は福沢全一の家であり服屋だ。
私もそこへと向かう到着予定は朝11時
11時6分、慣れたように紺の暖簾を潜る
茶髪ウルフカットのこはるはAirPodsで、
耳を塞ぎ畳の上スマホを触っていた
私は今中途半端に髪が長く中途半端に襟足の
裏は黄色い
中2から高校まではずっと黒髪のボブカット
大学に上がりインナーカラーのウルフカット
にしてはみたが半端に伸びて
なんと呼べばいいか分からない髪型だ
「世界で1番お姫様、いらっしゃい」
….この声は全一ではない、兄だ。
「おつーゆりー石北やばいね、マジきらい」
蝉の音やかましいがこはるの音はいつも
丁度いい。
彼女は黒の無地の半袖に履いてる
長ズボンは迷彩柄
私は肌を焼きたくないから
迷彩の長T を着て黒い短パンを履いている。
誰もツッコまないほど
自然に逆転している夏の装い
6月 石北は
「生花トータルビューティーサークル」
こはるは
「HIP HOP Rap愛好サークル」を設立した。
一年生、二人が立ち上げたこのサークルは
見事に男女で派閥ができた
花に男が集まって….Rapに女が集まった。
6月から
「あいつらはフェイク」
「ヒップホップ語るなポーザー」
「所詮女だろ」と男の声ばかりを
地獄耳は拾う、だが私は清水に惹かれて
購入したTimberland
に守られている。
この靴を履いていると男はギリギリ
私を認めてくれた
「まぁ岩永さんはいっか」と
けれど私はなどが守られててもしょうがない、
——川崎花子
Rapサークルに入った声優オタクの女の子だ。
Instagram に余計なことばかり
ストーリーに上げるから
彼女は男ウケが最悪だ。
そして空海大学、輩の宗教は
——石北海斗 (いしきたかいと)
輩は、花を生ける石北ばかりを投稿する
「意識高いね」と文字を添えてストーリーの
赤い点はまるで
切り取り線のように何個も何個も増えていく
兄はこはるに話かける
「こはるちゃん今、何聞いてんの?」
イヤホンをつけたこはるは
「プレイボイカルティです」と答えた
「カーティはやばい」
「高2からプレイボイカルティ好きで
でもラップはずっとにわかです。
それ以外はアニソンばかり聴いてたので」
「えーどういうJK…ゆりは
こはるちゃんに出会えて幸せ者だべ
羨ましいよ、俺も高校の時いて欲しかった」
こはるは、にわかとか言いながら
国内外のHIP HOPアーティストを
幅広く聴いていてジャンルの名称等
好き好んで熟知していた。
高校生の頃からだった
女子校でこの話題を出さなかったのは
空気を読んでいたというのは言われなくても
分かる。
共学になった今現在、
HIP HOPというジャンルは
聴く立場でさえも専門用語を間違って
使ってはいけないと痛感した。
言葉で知らしめる音楽は聴く身分でさえも、
言葉の知ったかぶりはタブーなのだ
「花子ちゃんねっ可愛いんだけど世知辛いね」
こはるは花子ちゃんのInstagramを見せた
声優さんやアニメキャラやVtuberでさえも
ラップをする現在、花子ちゃんは
イケメンアニメキャラがラップをしている
映像をストーリーに載せていた
——
「サグすぎて尊い供給助かる」
「蘭くんのラップ ブロウがエグい」
———
….よりにもよって二次元のイケメンラップを
間違った専門用語を添えてストーリー
に載せるのだ。花子ちゃんは
学内の男にめちゃめちゃ嫌われている。
私は今 苦手な横文字にひたすら向っているのだ
変な使い方をするとHIP HOPが好きな人間に
殺されてしまいそうだから
福沢全一はサブスク服屋を放棄した、
石北として大学の男と遊ぶのに夢中だからだ。
福沢の家に寝泊まりをしている兄は元々服を
買っていた一階に中古で買った机を
置いてただの溜まり場
にしてくれた。うっかりこはるも
会員になってしまった手前、兄は留守番係だ
「こはるちゃん、花子ちゃんは、絶対ここには
いれないで」と続け様
「てか、ゆりちゃんさぁ俺、サークル入ったら
っては言ったけど なんでわざわざ作った訳….? ゆりちゃん俺よりバカなの?」
「俺は子供の頃からずっと天才でいる」
「ゆり、都合よくTohjiの真似しないで」
私は歌を真似した、こはると兄の言葉は揃った
「てか声似せるのやめて」
私は耳がいいから声真似が無駄に上手いという
いらない特技を持っていた。
「ゆりちゃんラッパーになって
お兄ちゃん応援するから」
「私からもお願い」
「え、じゃあビート作ってくれるの?」
また二人は口を揃えた
「そういうのは自分でやってお前ならできる」
みんな冗談だ、間に受けないし
勿論やらない。
HIP HOP Rap愛好サークルとは名ばかりで私達は文字通り「何もしていない」
一方、輩だと私が揶揄する男達は
学内「えぐい!えぐい!えぐい!」
と声を撒き散らすが学校の空いた一室で
真剣に花と向き合っている
輩ばかりに生花をさせる石北は
輩達を変な古着屋へと連れ回し
Instagramにはその光景ばかり流れる
学内、輩の間で謎の柄のズボンと
花柄アロハシャツが大流行
石北も「えぐい!えぐい!えぐい!」
と学校で声を撒き散らすから
女の子はみんな石北軍団が嫌いだ。
だが、教員からは輩達を更生させているように
見えるようで石北は教員の中でも
宗教になった
「石北くんは素晴らしい」
….対をなして何もしてない私達は教員からも
嫌われた「あの子達、大学を舐めている」
….元凶は全て私なのだ。




