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夜は朝を知らない  作者: -1twelv2-


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24/30

死神ランデブー 急乃弐-24話


「スッキリしたお風呂入って寝る」

 

もう余計な事を考えたくない

携帯の電源を切ってシャワーを浴びる

 

 

「私が戻っていいよって言うまで

黙ってトイレの中にいて」


横着な台詞 脱衣所

下着まで全てを脱ぎ


シャワーを浴びるため

赤い方を捻る

身を委ねると熱すぎる

お湯が身にかかる

青い方も捻るが

今度は冷たい

ホテルのシャンプーとボディソープ

家のモノとは違うけれど

石鹸の類はどれも安らぐ

身体に泡を付着させ

次は赤と青を先に配合させ

今度のお湯は気持ち良かった


 

身体を拭いてバスローブに着替え

歯磨までも終えた後に

ヨルに話しかけた

 

「もう出てきていいから」


30分はかけて自分を清潔にした


ヨルはトイレから出る

私はベットに入る

「もう、電気消すから」

ラブホテルの間接照明様々な色に

セッティングできる


ベットの上でつまみを捻り

部屋の調光を白、緑、青、赤、ピンク

….紫の灯に差し掛かっていく

備え付けのライトばかり見つめていると


私の耳は綺麗な歌を拾った

..瞼が重くなる


「夢になれと願う夜….」

 

もう思い出せない歌詞だろう

部屋の灯は薄い紫


色褪せた灰色のシャツを着たヨル

値が張るであろう高い寝具に包まれている

微かに拾うメロディはが声が低い

金を払えば誰もが再現できる

幻想的な空間それに合わせて、

幻想そのものが

私と同じ場所にいる

 

景色は黒く、黒く、ゆらゆら揺れる

青い砂も見えたような

不安定な私の瞼


脳は今日の記憶から過去の記憶

曖昧に不規則に順番に整合され

気づけば意識が….

 ——黒..記憶

 

 【ゆりちゃんってさ〜】

 【私たちの事見下してるよね】

 【調子乗ってるあの子いつも服高そうだし】

 【でもいつも変じゃん】【おかしいよね】

 【猫に小判じゃない?】【猫被ってるし】

 【わかるわかる笑笑】【てか豚に真珠】

 【ゆりぶたゆりぶた】【ね、最近太いし】

 【やめてあげよー】

  【でもあいつ男といる時とあからさま

  に態度違うじゃん】  


 …..夕陽 放課後

 教室..椅子 スカート ランドセル 

番号 棚 黒 黒 黒 黒 赤 赤 赤 水色

ブス ブス ブス ブス….

 

——「じゃあお前ら、岩永さんみたいに

  立派なのかよ….. 」


黒 茶色 覚 光陽葉記憶…..——


-夢だ。

目覚めて起きた。


….記憶にない事のような

現実にあった事のような

ランダムな頭の映像

 

夢の中で庇ってくれたのは

小学3年の時と中学一年の時

一緒のクラスだった


お調子者【清水 龍太】だった


 ——岩永さんみたいに立派

小学生時代、清水龍太は私に

「Siri」というあだ名をつけた。

彼に対して現実でかっこいいと思った事

は一回もなかった


夢はいつも不思議だ

ただ現実はそれも同じ


清水は何故か

「目で追ってしまう」


154cmの私より少しだけ背が高い男


体育の授業が50m走の時期

茶色いブーツを履いて走る清水

….彼はタイムが遅い言い訳を

わざわざ履いた重たい

ブーツの名前を言い訳にした


「今日はティンバーだから」


….ずっと不思議な存在


けれど嫌いだと思った事はない


そしてカッコいいとも思った事もない


….なのに視界は彼ばかりを選ぶ事が多かった。

思い返すと彼の口から

「女の子への陰口」は聞く事がなかった

 

少しだけ私の中で憧れがあったのかも

「好き」だったんじゃない?とか言われたら


それはそれで

受け入れてもいいような?

気がしなくも….ない?


清水に対しての心持ちも

今が夜中なのか、朝なのか、

定かではない中


ヨルはベットで座ったまま寝ていた

 

黒く長い眉毛のすぐ下

また黒くて長いまつ毛、

閉じられて一本の線になった瞳

また真っ直、縦に長い鼻、

少し下の位置薄く小さな唇。

それら全てを

シャープな輪郭がまとめている


いつ見ても綺麗だと思うだろうな


..なのにこの綺麗な存在は

いつの時でも誇らしげにしない

起きていても眠っていても


憂いを帯びている


決して重くないであろうこの

存在の細い身体は

私にのしかからないような

体勢で眠ってくれていた。

 

….今、私は、喉の、痛みを、

認めたくない….

 

込み上げてきた目はあつい

なんで?嫌だ、なんで….?

何の仕打ちでもない

 

悲しい事があった訳でもない

嬉しい訳でもない

トラウマレベルの悪夢でもない

 

….なのに溢れてきそう

 

都合よく「女」になれる私に辟易とする

….私は、寝ていたヨルを後ろから抱きしめた


「大丈っ….」

私のせいで眠りから目覚めたこの存在は

何度も繰り返す台詞を言わなかった。

 

私は声を殺して泣いてしまった


どういう涙なの分からない

….きっとそれは彼も同じだろう


全てがうまくいっている私。

何もかも与えられている私。


だけど、最高位に特別という訳でもなく


劣等と競争に塗られた社会の中、

半端な特別者(とくべつもの)

の私は何を「誇らしげ」

に生きていけばいいのか

分からないまま息を吐いて

酸素を奪って、あからさまに凡庸的な存在を

自分から見ても分かる程に見下して


自分自身の醜さに辟易とする

 

この不自然な涙は

悔しさでも喜びでもない


この感情はなんと名をつければいいものか

 

一生かけて広大な地球の全ての言葉を

知れたとしても当てはめるべき

言葉がなんなのか分かりそうになかった

 

涙の意味の言葉の名前は

見つけられそうにないけど

 

神様というべき存在は

私にヨルを見つけさせてくれた。

 

最近の私は不明瞭な涙ばかりで

弱い自分が気持ち悪い

 

けれど本音をぶちまけてしまえば


世間の方が気持ちが悪いと思いながら

世間に愛されている私はとても醜い

強いてあげるこの現象の名称は

「懺悔」なのかと、


特別風(とくべつふう)

なただの大学生は

「天使」らしい台詞を考える

涙の訳を整合化させるために頭を回す

 

「お腹がさぁ….減ってぇ

 とても辛いけど、今日は

 命が可哀想な気分なの

 動物さん達が 可哀想でしょ」

 

まともに考えた事もない事を言い訳にした

 

————————————.

 

「貴女は優しい けれど

自分自身を大切に扱っていて欲しい

かけるべき言葉も、貴女がとるべき

正しさも私には分からない

ただ、何もかもを否定し出すと

人は皆、自分自身の否定に回る。

その果ては、自ら終わりを選ぶ

幾度なくその光景は見た

残された立場はずっと忘れられないものだ

自分自身に対してわがままでもいいんだ

強さも弱さも考えなくていい

そもそも、弱いから優しいのだ」

 

「だからさぁ….!本当お腹減ったって

言ってるじゃん!空気読んでよ!!

もう意味分かんない、事言わないで….!!」


嘘をついた。

言葉の意味はちゃんと分かる


「天使のふり」をいい事に

「悪魔のような」見た目の存在の前で

大きな声、泣いて喚いた。


こんなに優しい言葉の羅列を

今まで聞いた事がなかった。


私は、特別風(とくべつふう)

なただの女、

嫌気が指すほど都合がいいな

 



 


 


 

 

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