死神ランデブー序之二-20話
割と似合う服がある
ワンピースだ。母が中3の頃
プレゼントしてくれた紺色のワンピース
光沢のある生地は青く
灰色で表現された花柄になっている
丈は少し長めに取られていて、
スカートの裾は脹脛の
位置まで来てくれている
普段メイクはしないが、私は
死神様をデートに誘ったのだから
お化粧をした。
昨日家で寝たのは20:00
携帯の電源は消して寝た。
6:30に目が覚めて
8:30くらいまでに朝食を済ませた
目玉焼きと、お茶。
携帯を開くと昨日の
むしゃくしゃとした余韻は
哀れな呆れになってくれた
確認した
LINEの通知内容の一つ
トーク内容
【福屋でのサブスクサービス
オーナーが男磨きをするため
土日のみの営業となるそうです
現在、サブスクの利用、岩永ゆり様
一人のご利用のためご容赦くださいと
全一様よりご連絡を承りました】
プロフィールアイコン
内カメラで撮ったであろう
金髪短髪の白いアロハシャツを着た男の
斜め上の画角の自撮り
ホーム画面は白い百合の花。
名前 石北 海斗
プロフィールの一言
【男磨きます。愛した女を何度泣かせた】
自分の部屋で
「しねっ」って言ってしまったっ..
一人でも、人にも極力言わないように
してる言葉だ 。この言葉は意外にも
兄の口からもあまり聞かない。
自分で口にした言葉に
少し罪悪感が出たような気もしたけど
【あいつが死ぬわけない、神が
死んだらニーチェはとても正しい】
と勝手に正当化してやった
手を加えてメイクをした
紺色のワンピースを着て
髪の毛は内巻きに、ヘアアイロンを通すと
必需品等が入った白い鞄を肩にかけて
白いDr.Martin
のブーツを履いて出る
10:25 外は雨が降っていた。
ヨルは家の前で傘を刺して
小鳥を穏やかな顔で見ていた。
..ガチャン スチャッ
ドアを閉める音がして、
ヨルは私の存在に気づいた
「大丈夫か?」
いつもこの存在は大丈夫か?と聞いてくる
【何が?】は募るが、神様の思考は
理解できる筈がない、だから振り切る。
私は天使に振り切るのだ。
「えぇ、大丈夫よ問題ないわ。
やっぱり人間の身体の方が
風が気持ちいいわ、ヨル?
貴方もずっと強そうでいると
疲れちゃうわよ?」
歩みよる、死神の様な存在。
ヨルは曇り空から落ちる雨の雫が
私に触れないように
黒い傘を私へと差し出だしてくれた。
「私は貴女が遊びに誘って
くれた事がとても嬉しかったんだ。
この姿でいる理由は
人としての姿は
あまりじろじろと見られたくないから
少しだけ、その姿は醜い..すまない。
こういったことも
あまり、言うべきではないな
人は皆、それぞれ外見に悩みを抱えてる」
返答に戸惑う。
全が言ったようにとても優しい
だが、コイツは次の発言で
私の心情をぶち壊す。
「それに、人の姿でいると」
……
「貴女を差し置いて、私は排便に夢中に
なってしまいそうだからな」
儚げな笑顔で私に傘を差し出してくれた。
左手にはねこじゃらしを持っていた。
…..こんな生命体いる?
「ヨルって、天然とかよく言われる?」
少し考えた、ヨル。
「….全には、前は愚か者とよく
言われていたが、今は全は私を
可愛い等と茶化す。
正直意味がわからない
本来可愛いとはああいう
存在を指すのだろう?」と
ヨルは猫じゃらしを持った左手を
あくびをしていた野良猫に向けた。
ヨルはいつも同じ服の様で
少しずつ会うたびに違う。
基本的に上から黒の羽織物
インナーは白かグレー時に
黒を着て真っ黒、ズボンは毎日黒。
みたいなファッション
髪型は黒の長髪で、ザクザクとした
レイヤーが入ってて清潔感のある
ぼさぼさとした髪だ
最初ヨルを見た時は服がズタボロだったが
今日は柔らかい素材の
黒のカーディガン
グレーのボタンシャツ
パンツはフレアになった黒のデニムを
履いていた。
ズボンとシャツだけは
少し褪せているが、
今日は服に穴やほつれはない。
一貫して服のシルエットは
毎日ピッタリだ。
ヨルの細く長い指をよく見ると、
水色の石の指輪だけ
右手の人差し指につけていた。
何か彼の中のこだわりを感じた。
そして、話を戻してあげよう
【正直、猫と同等に可愛い】
「それがヨルの個性でしょうね、
ところでさ。貴方のその姿、
人には見えないのでしょう?」
ただ、首を縦に振る、ヨル
「それじゃあその傘は人からは
浮いて見えてるのかしら?
私も、貴方と喋っていると
大きい一人言のように写ってしまうわ?」
「私が身につけたり、物を持つと
その存在は認識されなくなる。
だから、何かを買いたい時と
大きな荷物を運ぶ時は
人の姿になっている」
ルールは把握した。大学と逆方向で
3駅離れた町で遊ぼう。
だが、懸念が産まれる
「じゃあさ〜傘を貴方が持っていたら
私は傘をささずに濡れる事のない
怪奇現象になるんじゃない?」
目がまん丸になる、ヨル
「すまない..私は愚かっ」
私から手を握った
「これで、世界で二人きりだね
二人触れていれば
二人は誰にも見えないんでしょ?」
穏やかな顔を見せてくれた。儚げな顔で笑うヨル
「貴女は優しいな..だが人前で手を離したら
貴女は突然現れる。人前で握ったら
突然貴女は消えてしまう」
…..キョロキョロと人を見渡す。
人も驚いた人もいなくてよかった
そして、手の離し時が分からない。
「私…天然だからぁ」
キャラぶれぶれだ…
「今日がこの身で本当に良かった」
ヨルは空を見上げた
「尿を出す喜びよりも貴女が隣に
いてくれる事が私は嬉しい」
【おしっこをエモくしないで?】
….だが手の離し時は困った物だ
人前で握ると消えてしまう。
握らずにいると話せない..安牌に行こう
「そうね一先ずお散歩しましょ
ヨル」ヨルはずっとニコニコになった。
「こんなに嬉しい気持ちはいつぶり
だろうか ぶりぶりっぶりぶりっ
うふふ…歌を歌いたいなぁ..」
嫌な予感がしてきた。
「ううう、うんいいじゃない」
ヨルはオリジナルソングを歌い出した
「ゆけ!ゆけ!雨の中を
轟く竜の背中に乗って
気持ちは前に
キラキラ出てる
尿より旅路
ゆけ!ゆけ!
貴女との旅は銀河の海へ
二人で泳ぐ形は
バタフライ
貴女のララバイ
聞かせて欲しい
星屑の中でお昼寝するぞ
どんどん!ゆくぞ!
お散歩するの〜」
声が低音でオリジナルなのに
下手くそな歌だった。そして
満面の笑みを見せてくれた
「あぁもう叫びたい気分だ…
こんなに嬉しいことはない」
「叫ぶのはやめて」
…嬉しそうに黙って
「うん、分かった」
と満面の笑みを見せた。
続け様、
「ゆけ!ゆけ!雨の中を
轟く竜の背中に乗って
気持ちは前に
キラキラ出てる
尿より旅路
ゆけ!ゆけ!….
覚悟をした、コイツずっと歌う…
手を離す隙は今しかなかった…!!
「あっ靴紐、!!ごめん」
人がいないタイミングを見計らった
大学と逆方向を500歩くらい歩いてた
靴紐が解けたふりをして結んだ。
ヨルの顔を見ると
あからさまに寂しそうな顔になっていた
手をまた繋ぐか迷った私だが、
そんな顔されたら、流石に..可哀想だったから
「行きましょ」と手を伸ばす
「あぁ、ゆけっ!ゆっ」
「歌うのは、!やめて
そのっさ..せっかくだし、
カラオケ行かない?」
鬱陶しいからすぐ提案した
「カラオケか…人の姿の時に
行くのだが..この姿だと
どうしたらいいのだ?」
ちょっと考えたが、もうテキトーだった。
「貴方が歌う時私が
口パクしてたり、一緒に歌えばいいのよ
低い声の女の子だってたくさんいるし
貴方が男の子の歌を歌えば
備え付けのビデオと歌ってるようにしか
側からは見えないわ」
コイツ絶対歌下手だけどもう知らん。
人がポツポツと見え始めたので
多動症のヨルと手を繋ぎ40分間
カラオケまで歩く羽目になる
電車を使えば、10分もかからずいけたのに、




