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実験分析という新たなる力の継承

「〈超電磁怪盗〉も、あの一件からシリーズ終了がカウントダウン状態だ。こうして天水晴那を呼び水にしてコラボするどころか、勝ってしまえばさらに御の字だろうよ」


「その可能性に一理あるが……」



 気持ちは乗りたい気でいる。だが、用心のために草薙さんが奥手の立場から慎重を促す。


 いくら有名になったとはいえ、まだファンよりも敵が多い立場だからそこ、普通のタレントのようにホイホイと顔を出すのは、いろいろと危険が伴うからだ。



「プロデューサー、その依頼受けましょう」



 私は勇作Pの傍に近寄り、画面に映るエマを見ながらオファーを受けることに賛成を示す。



「澄香、これは君が今までアイドルとして受けてきたオファーとはいろいろ違うんだぞ。それは、わかっているよな?」



 躊躇いなく依頼を引き受けようとする私に、草薙さんが心配を含めた警告を挟む。



「いくらこいつでも、元はQ-key.333の一桁ランカーだ。有名人レベルじゃあ、ジャリ番俳優よりも上だと思うぞ。そんな奴が有名人会いたさで引き受けるほど、馬鹿なやつじゃねぇって」



 ビャコがフォローを入れ、勇作Pも力強く頷く。



「それに、今の俺達がこのオファーを受けるべき理由が三つある。


 一つ、報酬に情報を提供してくれた曽場マキノ達〈超電磁怪盗〉の制作陣もまた、奴らとの賭けに負けたとはいえ被害者だ。番組を奪われた恨みから復讐のために、少ない情報を頼りに強引ながらこちらに接触したと考えられる。彼女達は信用していい。


 二つ、ビャコの言うとおり、そのスキャナーの構造が俺達の件に関わる情報なら見逃せない。おまけに、機密情報を餌にするという下手をすれば自分達の立場も危うくなるデメリットも内包しているなら、なおさら信憑性は高い。


 三つ、澄香が法王杯を制したところで、道中で負かせたアイドル共から有力な情報も得られず、現状はどん詰まり状態。今は些細な情報だけでも得られるなら十分だ」



 指を三本立てながら力説する勇作Pの意思を持って、天水晴那と超電磁怪盗インディ・オーラとの共演が、ここで決定した。



『にゅふふ、しかと聞いたぞ!


 正直、Q-key.333製のスキャナーに秘められた謎そのものには興味ないが、構造自体には興味があるぞ!

 特にプリズムストリームによる映写機能!


 デザイナーはどこまでギリギリを責めていいのか、その検証に役立つかもしれん!


 まさに好奇心はネコを逝かせ、タチが仁王立ちする!』



 既に手に入った気でいるのか、ダルダルな服からいろいろと見えそうなほど、画面の向こうで燦子が文字通り喜びで狂乱する。


 目が合わないどころか、既に逝っているようで怖い。


 自分が依頼主ではないのに、まるで当事者みたいな興奮をする彼女を見て、アクアクラウン側一同が、まったく同じタイミングで呆れた。



「――仲介の連絡を頼めるか? その依頼引き受ける。そのオファーで発生する金銭的報酬は、全部そっちが持っていってくれてもかまわない」


『OK、連絡しておくわ。送迎もこちらで、ついでに護衛として二人も同行させるわ。朔真だけじゃなく、天敵の刹那も連れて行けば、相手も流石に下手なことはしないでしょう。仕事の日程とか詳細がとれたら、またそっちに連絡するから』



 画面の中で独りマッドネスに狂う燦子を無視して、改めて受注する勇作P。


 それに応える様に、ウィンドウの隅からエマが、不適に笑い続ける燦子を無理矢理押しのけて承諾する。



『おお! そうだ、勇作くん!』



 話が一段落付いたところで、燦子が思い出したかのようにひょっこりと画面に映り込んだ。



『せっかくだ。君には私自慢の〈メイガナードワンピ〉を打ち破ったご褒美として、この衣装データをプレゼントしよう。役立ててくれたまえ、ついでに対戦データも頼むよ』



 受け取りの是非を尋ねることもなく、燦子はどこからかフラッシュメモリーを取り出しては、この端末の持ち主の許可を得ずに勝手にPCをいじり始める。


 隣でまた画面の主導権を取られたエマが、露骨に呆れた顔をしながら、こっちも見る。



「お前の自慢が負けたのに褒めてくれるのか? 変な奴、だから変態」



 無理矢理押しつけられる賞賛を素直に受け取れない皆を代弁して、ビャコがひねることも無くストレートな悪態をつく。



 燦子は何も返すこと無く顔を上げること無く淡々とキーボードをたたく。



『私にとっては敗北も重要な検証結果だ。


 次に作る衣装の参考になる。


 それに、ここ最近は刹那が敗北どころか仕事にすら恵まれてなかったからねぇ、こちとらデータ不足だったのだよ』


 勝敗よりも結果そのものをポジティブに受け取る研究者らしい燦子の返事と共に、こちらの端末画面にフッとウィンドウが勝手に立ち上がった。


 勇作Pがマウスを動かしてアイコンを起こすと、黒い背景に一目では全く分からない文字の配列がびっしり並んだ緑文字の群れが表示された。



「なるほど……使わせてもらおう」

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「いいから早く決闘しろよ」


と思った方は、下にあります☆☆☆☆☆から、作品の応援をよろしくお願いいたします。

また、誤字脱字、設定の矛盾点の報告など何でもかまいませんので、

思ったことがあれば遠慮無く言っていただけると幸いです。


あとブックマークもいただけるとうれしいです。


細々と続きを重ねて行きますので、今後ともよろしくお願いします!

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