↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
128/154

最後のデステニードロー

 天水晴那 AP725 VS 蓁原詩弓 Ap2900



「こっちは二度も戦略を変えて追い詰めようとしたのに【煌閃天】は結局無傷。大してこちらは、自らフルコーデを崩した上に、着ている衣装のAPは半分。そしてトップスとアクセの効果が無効かされ、生きているのはスカートのみ。〈ヴァルナーガワンピ〉も〈コーラルワンピ〉もランドリーで眠っている。おまけに手札もさっき避難させたシューズを除くと実質ゼロで、スキルも使い切っちまった。万策が尽きてるな……」



 言ったとおり、なんとか全裸を免れるほど耐え忍んで、こちらにターンを回したものの、状況分析ではかなり追い詰められていることをビャコが改まって伝えた。


 Q-key.333を壊滅させる以上、私はいずれ、こいつとこうして真っ正面から戦って勝つ使命を背負っている。


 そのために、勇作Pも草薙さんも尽力をつくして衣装と音楽を作り、私がデッキとして練り上げた。


 無念と執念、そして怨念。


 あらゆる思いが念として具現化されたカードが集ったこのデッキなら、必ず応えてくれる。



「このドローに全てが掛っている。これが私のデステニードローだ! 私のターン、ドロー!」



 デッキに指と一緒に万感の思いを乗せ、私は覚悟を決めて退いた。


 デッキから剣の如く抜かれたその一枚は、今までで一番綺麗な光の尾を引いて見えた。


 最後に加わった一枚を見る。


 ミュージックカード〈水の繭〉。


 よし、このカードなら!



「私は〈ヴァルナーガスカート〉の効果を発動し、〈サブマリンイエローヘアアクセ〉に〈シェルベッコチャーム・トークン〉を付ける!」



 本来は黄色なのに、死んだように灰色になった潜水艦のヘアピンに、茶色い鼈甲の飾りが虚しくぶら下がる。



「そして手札から〈水の繭〉を発動!」



 今のドローで加わった一枚を発動させ、私の前にも同じ等身大のカードがそびえる。



「自分の場のコスチューム二着をコストにすることで、ランドリーに置かれたコスチューム一着を復活させる!」


「つまり、ランドリーに干渉できる疑似的なリンケージコーデってことさ!」


「私はトップスとボトムスの二着と、ランドリーの〈コーラルワンピ〉と交代させる!」



 沈黙した〈ヴァルナーガジャケット〉と〈ヴァルナーガスカート〉の二着をコストに指定すると、それまで壁のように立っていた〈水の繭〉が突然宙に昇りはじめる。


 すると、私の傘になるように浮いたまま倒れると、そのまま私の頭上にゆっくりと降りてくる。


 カードが身体を通り抜けきった時には、私の衣装が真っ赤なワンピに変化していた。



「さらにその効果でコストにした衣装と蘇った衣装がどちらも〈RDティアーズ〉の場合、カードを一枚ドローできる!」



 条件は厳しいが達成したらボーナス効果。


 その恩恵によって、私は戦力の回復と同時に補強としてつなげる事が出来た。


 新たに引き加えたカードは〈ブルーマグノリア〉。


 草薙さんと璃玖さんの魂がさらに参戦したかのような引きだった。



「よし! そのカードならまだ戦える! さぁて、一気にまき直しちまおうぜ!」



 ビャコが押し、私が応える。



「私は手札に戻した〈ヴァルナーガシューズ〉を、もう一度通常コーデ!」



 洗い直したワンピースに続いて、災厄から逃したシューズも元のAPのままはき直す。


 さらにこちらもコーラルワンピの持つ永続効果によって、APが100ポイントずつアップしている。



「〈ヴァルナーガワンピ〉の効果! 一ターン一度、コスチュームの下に〈シェルベッコチャーム・トークン〉をアンダーとして追加コーデさせる! 私はシューズにチャームを付ける!」


「元々バーストを狙うためのワンピースで、一体何を仕掛けてくる気だ?」



 これまで狙っていたと想定外の展開をしまくる私に、詩弓が怪訝な顔をしながら観察する。



「〈ヴァルナーガシューズ〉の効果! 〈サブマリンイエローヘアアクセ〉とトークンを素材に、デッキから〈メリフヴァルナーガホン〉をリンケージコーデ!」



 効果によって溶けてしまった沈没した潜水艦と碇の様に下がった鼈甲の飾りを受け止める。


 そして瞬く間に、手の中でオレンジ色のメガホン型へと形を変えた。



「何をする気だ……」


 眉間に皺を寄せて、詩弓がいっそう訝しむ。 


 実際に、今のリンケージコーデによって、詩弓の効果によって半壊したコスチュームから、綺麗なままの衣装との着替えを完遂させた。


 それでも、APそのものは詩弓に追いついていないが。



「まだお前達にお見せしてない夏の新作を出す準備さ」



 余裕ぶったビャコが憎たらしい語勢で煽る。



「さらに手札から〈ブルーマグノリア〉の効果発動! 自分のランドリーに置かれた〈RDティアーズ〉コスチュームを6枚までデッキに戻し、戻した枚数三枚につき、デッキから二枚ドローする!」


「さっきのリンケージコーデによって、ランドリーで待機している〈RDティアーズ〉は七枚! 六枚戻して一気に二枚もドローさせてもらうぜ!」



 半球モニターを点滅させてまで興奮するビャコのテンションに併せて、ランドリーの挿入口から六枚のカードが光を帯びながら飛び出して、勝手にデッキの中へと戻る。


 シャカシャカと景気よくシャッフルを終えると、ビャコの気分が乗り移ったかのようにデッキトップから二枚差し出す。



「そしてアクシデント発生! 〈マグネティックリアクション:反発〉!」


「――そのカードは!」



 立ち上げた最後の伏せカードを見せた途端、詩弓は目を丸くしたまま険しくなった。


 あの詩弓を不快にゆがめたカードには、同じ極同士の磁石が反発しあって距離をとるイラストが。



「自分の着ている衣装一着を手札に戻すことで、相手の場にある同じカテゴリーの衣装も道連れに手札へ戻すことができる!」


「天水晴那。これを狙っていたのか!」



 あの蓁原詩弓が思わず一歩だけ後ずさった。



「私が選ぶのは当然〈ヴァルナーガコーラルワンピ〉! カテゴリーはワンピース! よって、あんたが戻すカードは同じワンピースの〈パレティナ・ホワイトワンピ〉だ!」



 バチンと電気が弾けるような音を立て、私と詩弓のスキャナーから、カードが一枚跳ねた。


 読み取り版からカードが離れたことで、私と詩弓の衣装が元の服装に戻った。


 つまり、〈トランクルディバイド パレティナ・ホワイトワンピ〉を蓁原詩弓から脱がせることが叶った。


 おそらく、他の【ディーヴァス神姫】どころか鼎先輩ですらなしえなかった快挙。


 破壊もバーストも沈黙も叶わないなら、残された手段は手札帰還。


 そして、それによって新たな勝ち筋が見えた。



「手札からミュージックカード〈シンデレラリトライ〉を発動! ランドリーからコスチュームを一着追加コーデさせる! 蘇れ! 〈ヴァルナーガワンピ〉!」



 〈ブルーマグノリア〉が繋げた二枚のカードのうち一枚のカード。


 それは、どんなカードも蘇らせる汎用ミュージックカード。


 ガラスの靴が一度割れても、自身の持っていた片方でもう一回王子の前で履くことでチャンスを得たシンデレラの童話をモチーフにした歌。


 その童話の通り、再び〈ヴァルナーガワンピ〉が表舞台に帰ってくる。



「そうは行くか! この瞬間! アクシデント発生〈激流の洗濯〉! コスチュームが場に出たとき、お互いの場の衣装を全て退場させる!」



 寸前で詩弓が割り込ませたアクシデントは、同じく汎用性が高い一斉リセット効果を持つカード。


 壊れた洗濯機から、洗剤の混ざった水が濁流の様に流れたイラストは、何度も見てきた。


 詩弓の背後から、そびえたつ光り輝く宮殿を隠してしまうほどの高く水量をました洗濯排水の壁が、全てを飲み込まんと迫ってくる。


ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「いいから早く決闘しろよ」


と思った方は、下にあります☆☆☆☆☆から、作品の応援をよろしくお願いいたします。

また、誤字脱字、設定の矛盾点の報告など何でもかまいませんので、

思ったことがあれば遠慮無く言っていただけると幸いです。


あとブックマークもいただけるとうれしいです。


細々と続きを重ねて行きますので、今後ともよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。