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浮上無上の攻防戦

「な、なんだと……これは……」



 今度はこちらが不意を突いたことで、突如襲いかかる押圧に仰天する。



「〈サブマリンイエローヘアアクセ〉は、フルコーデ状態の時、相手の場の〈RDティアーズ〉ブランド以外のコスチュームに同名ブランドがアンダーとして重なっている場合、そのAPは0となる。さらにその状態になったコスチュームに対して、あんたはさらにアンダーを重ねられず、そしてパージすることもできない!」



 サブマリンの性能通り、深海の水圧がかかったかの様に衣装が重くなって無力化されているのだ。


 今の詩弓は、衣装を着ているのに、手を出すことができない状態に等しい。



「ふッ……そういうことか……」



 膝が屈したままだが、何かを察した詩弓は突然澄ましたように小さく笑い、目先に向かって手をかざした。



「ならば……アクシデント発生〈デフラグデクンダ〉!」



 立ち上げたのは、先に伏せていたもう一枚のアクシデントカード。


 そのイラストには、棒立ちになったアイドル型のシルエットを包み込む、バリアのような薄い球体の膜が砕けている絵があった。



「相手のAPがこちらより優勢の場合、手札を一枚捨てることで、次の相手のメインフェイズまで、相手から受けた効果を全て帳消しにし、さらに自分の場から指定されたブランド以外のコスチュームを退場させる!」


「クッ……!」


「んなぁ! リセット効果! ついでの効果でこっちのトークンも消してんじゃねぇよ!」



 ビャコの悲痛な突っ込みすら優雅にスルーしながら、あんなに重たそうに膝を曲げているのに涼しい顔のまま詩弓が手札一枚をランドリーに飲み込ませる。



「私が選ぶのは当然〈トランクルディバイド〉!」



 重圧がリアルにのしかかっても、なんともないと言わんばかりに詩弓がニヤリと笑みを浮かべると、カードのイラストと同じように、彼女を包んでいた球体の膜がパリンと音を立てて砕けた。


 その演出によって、詩弓の纏っていた衣装に色が戻り、ついでに鼈甲の飾りまで消えてしまった。


 こちらの効果の源であるトークンも消えたことで、解放された【煌閃天】が再び屹立した。


 ついでに、ワンピの背部で力尽きた花みたいにしなっていた腕翼も活気を取り戻し、人間みたいにうんと背伸びの仕草をしながら光の羽を生やし直してまた舞い始めた。



「なんてこった! 奴にはバーストどころか封殺も通じねぇのかよ!」


「次のターンまで耐え忍ぶしかない! カードを2枚伏せて、ターンをチェンジ!」




 天水晴那 AP 1775 VS 蓁原詩弓 AP0



「私のターン、ドロー!」



 二度目に来る詩弓のドローフェイズ。


 こちらの侵攻など者ともせず、文字通り着の身着のままターンを迎えさせてしまった。


 奴にはもう、場を整える手順など必要ない。



「〈パレティナ・ホワイトワンピ〉の効果! ヴァイクンタ!」



 静かに佇む詩弓とは反対に、背中でせわしなく舞っていた翼腕が、いきなり踊るのをやめて空を切りながら光波を再び飛ばしてくる。


 リアルダメージまで与えてくる演出を超えたその飛ぶ光波には、こちらの着ている衣装のAPを半減させ、当たり所が悪ければ効果を無効にされる能力まで秘めている。



「あんなのまた食らって、今度こそシューズが封じられちまったら勝ち目ねぇぞ!」


「わかっている! アクシデント発生! 〈アクアトランポリン〉!」



 私はすかさず伏せていたアクシデントを一枚を立ち上げて、とっさにその後ろに隠れた。



「〈RDティアーズ〉ブランドのコスチューム一着を手札に戻す! その効果で戻すのは〈ヴァルナーガシューズ〉!」



 光波が迫る寸前のところで、靴がカードに変化して私の脚から離れる。


 だが、私の身を着ている衣装は効果から逃れる事が出来ず、棒立ちのまま光波を受けるしかなかった。



「うぐうううううううッ!」



 身に受けた衝撃は二度。


 だが今回は吹っ飛ばされないように脚を踏みしめる。


 激突する勢いにおされて、踏み張る脚から土埃に変わって水しぶきが踵から舞い上がる。



「シューズを守ったか……だが、トップスとアクセサリーの効果は封じられた。これで貴公から封殺の効果を使うことはできまい」


「へん! いくらお前のせいで石にされちまっても、シューズさえあれば無駄にはならねぇ!」



 余裕の笑みを浮かべた詩弓がこちらの状況を代弁するも、ビャコがけなげに吠え返す。



「そう来なくてはな……私はカードを一枚伏せてターンをチェンジする。さぁ、どんどん次の手を見せてもらおうか。貴公の魂が尽きるまで!」



 天水晴那 AP725 VS 蓁原詩弓 Ap2900

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「いいから早く決闘しろよ」


と思った方は、下にあります☆☆☆☆☆から、作品の応援をよろしくお願いいたします。

また、誤字脱字、設定の矛盾点の報告など何でもかまいませんので、

思ったことがあれば遠慮無く言っていただけると幸いです。


あとブックマークもいただけるとうれしいです。


細々と続きを重ねて行きますので、今後ともよろしくお願いします!

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