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チートスキルで生成した新たな力

 天水晴那 AP1100 VS 古奈アーシャ AP2700



「くっそぉ、なんて引きの悪さだ……もう最終ターンだぞッ!」


 確かに、気がついたら絶体絶命だ。


 カードを出せば簡単に説得できると豪語してものの、当のカードが引き込めないようでは、本当に「話」にならない。



「このターンに、全てを賭けるしかない。今ある手札の中で、ドロー効果を持っているのは〈ブルーマグノリア〉だけ……」


「だが、発動させるには最低三枚の〈RDティアーズ〉がランドリーにないといけない。現状、出来ないことはないが……もう一声欲しいところだ」


「でも、そう運ぼうにも、私の衣装は全部氷漬けになって動かすことができない。……なんとか、凍結状態を解除させないと」



 改めて自分の着ている服を見下ろす。


 立体映像の服だから、本当に氷に触れているわけではないが、見るだけで肌が凍傷になりほうなど、衣装達に氷が貼ってガチガチになっていた。



「一か八かだが、仕方が無い。まずは、この状況を打破するためにも、貴重なドローフェイズを削ってでも、プリズムドローにかけるしかない!」


「行くわよ、ビャコ! スキル発動!」



 強く握りしめたスキャナーを構え、私の意思に応じてビャコがモニターを光らせる。


 すると、囲っていた風が私の足下で渦を巻きはじめ、足下の芝に被っていた霜達が氷の粒となって舞い上がりだした。


 キラキラと外灯の光に照らされて風が煌めいているうちに、徐々に色を帯びていき、やがて夜の芝広場に虹色の竜巻がそびえ立った。



「希望を掴め! 天水晴那!」



 アーシャが見えなくなるほど、視界いっぱいに虹色の奔流が広がりきると、ビャコの合図と共に、私は躊躇いなく手を突っ込んだ。



「プリズムストリームに相手へ思いを伝える力があるなら! アーシャに届けたい私の思いをカードにしてみせろ!」



 願うのでは無く命じる様に、風の中で翳した手の中で、確かな感触が構築されてゆく。


 今までのよりも白く、そして暖かい光りが、手の中に収縮していくのが分かる。



「完成だ! 思ったよりも早いぞ!」


「――プリズムドロー!」



 できあがって掴んだそれで空を切ると、竜巻が縦に裂けながら消滅した。



「今のが、天水晴那のスキル……」



 風の向こうで突然の竜巻を前にアーシャがおびえていたかと思ったが、風に煽られた服や髪をただすことも無く毅然と佇んでいた。



「私のターン!」



 ドローフェイズをスキルで生成したカードでひき加え、全ての命運がかかったラストターンが始まった。



「私は手札から、トゥルーワードミュージック〈緩暖の白海デクンダビーチ〉を発動!」



 まだ青白い光りと出来たての温もりを帯びているカードをスキャナーに叩き付ける。


 読み取ったスキャナー内部がモーターのような音を立てながら稼働音を鳴らし始めると、再びほんのりと色をつけて一帯に漂い始めたプリズムストリームが天へ上り、それまで夜だった黒い空を雲一つ無い快晴の空へと一変させた。



「よ、夜がお昼になっちゃった!」



 太陽まで輝きはじめた空に、アーシャが思わず仰ぎ見て目を丸くする。


 今回のトゥルーワードミュージックは、さっきまで霜が生えた芝の広場を、透き通るほど蒼く穏やかな海と、偽の陽光が反射するほど真っ白な浜の広がる無人のビーチに変えた。


 肌寒いくらい季節外れの寒波から一変して、肌を焼きそうなほど眩しい太陽の照り具合は、気分が悪くなりそうなほどの温度差を感じる。


 白浜に立つ私とは反対に、アーシャは臑まで浸かるほどの海水側に立っていた。


 実際に濡れているわけではないが、足下が綺麗な海になったことに驚いたアーシャが、思わず脚をあげると、本当の海に触れているかのような水しぶきがあがる。



「こんなすごいカードを作れるなんて!」



 まるで遊園地によくある仮想映像のアトラクションに踏み込んだように、ほんの少しだけ緊張が緩んで楽しそうな顔を見せるアーシャ。



「これが生成系スキルの神髄だ!」



 プライドがビャコを叫ばせた。


 私も納得しちゃうほど、のめり込みそうなこの映像美は、まさにこいつの矜持そのものだ。



「〈緩暖の白海デクンダビーチ〉は、封じられた自分のコスチュームの無効化を解除させる!」


「な、なにっ!」



 月に変わって天に現れた太陽が燦々と光を降り注がせ、凍結していた私の衣装に張り付く氷を全て溶かした。


 とけて水になって衣装を濡らす前に、蒸し暑い蒸気を放って乾き終わった。



「その後、解除されたコスチュームの数だけ、相手のコスチュームの下に〈シェルベッコチャーム・トークン〉を追加コーデさせる! 復活したコスチュームは三着! よって、アーシャの着ている三着の衣装にチャームを一つずつ乗せる!」



 それまで穏やかに水を押していた海が、突然一気に波を引かせたかと思いきや、溜めたぶんを押すように、アーシャの後ろから高波が覆い被さった。


 本当に背後から波を被って、肩をすくめて驚くアーシャ。


 そんな仮想の高波が通り過ぎると、いつのまにかアーシャの服の各部に、鼈甲のチャームがぶら下げられていた。



「晴那の着ている衣装の効果無効が溶けて、わたしにチャームがつけられた……ってことは!」


「その通りよぉ~ん、やられたらやりかえしちゃうんだから!」



 ビャコが勝ち誇ったように、気色の悪い声色で煽る。


 やられたらやり返す……つまり、封殺効果をもつ〈ヴァルナーガジャケット〉が復活した状態で生み出された〈シェルベッコチャーム・トークン〉には、自らをアンダーにすることで〈RDティアーズ〉以外のコスチューム効果を封じる無効化能力を搭載している。


 氷漬けにこそしないが、ぶら下がったチャームを起点に、アーシャの着ている衣装が徐々に色を失って灰色になってゆく。


 その様を、アーシャは体に毒を流し込まれたかのように歯をきしませながら見下ろしていた。


 同時にアーシャの保持していたアイスカウンターが、効果無効の押し付け合いの拍子に失って、残り6個まで減っていた。



「永続アクシデント! 〈雪玉アイスの補填〉!」



 苦肉の策でアーシャが立ち上げたのは、一パック二個しか入っていない雪玉型のアイスを巡る問題のあれこれをコミカルにイラスト化したアクシデントカードだ。


 このカードを立ち上げたということは、隣のもう一枚は……。



「このターン中に無くなった全てのアイスカウンターを、チェンジ・スタンバイフェイズまで、このカードの上に置く! 失ったアイスカウンターは合計六個!」


 これで半分まで減っていたのが、元の一二個に回復してしまった。


 だが、今はそのパターンは問題ではない。

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「いいから早く決闘しろよ」


と思った方は、下にあります☆☆☆☆☆から、作品の応援をよろしくお願いいたします。

また、誤字脱字、設定の矛盾点の報告など何でもかまいませんので、

思ったことがあれば遠慮無く言っていただけると幸いです。


あとブックマークもいただけるとうれしいです。


細々と続きを重ねて行きますので、今後ともよろしくお願いします!

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