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霜降と積雪のブランド〈ニヴリティースノー〉

天水晴那 AP0 VS  古奈アーシャ AP0


 初夏の湿気と氷の混じる寒風が入り乱れて、余計に肌に当たる冷気が痛い。


 そんな季節感を失った夜の芝生公園に私と、同じく蒼いアイドルが対峙する。


 対戦モードが起動したスキャナーのシステムが、私が先攻であることを告げる。



「私のターン、ドロー!」



 加えた一枚と、初期手札の四枚と見合わせるが、目的のカードはまだ届いていない。


 いや、デッキ側も逆にまだそのときではないと諭しているようだ。


アーシャ自身は、佇まいから対戦姿勢こそ冷静に見えるが、実際はまだパニックであることには変わりない。


 ここは時間をかけて落ち着かせる他ない。



「手札から、〈RD(アールディー)ティアーズ サーフフェイスワンピ〉をコーデ!」



 初手から呼び出したのは、浜のビーチで水壁の如く聳え立つ波を意匠に取り込んだワンピ。


水色と白といった波とサーフィンを思わせる、ビーチバケーション風の明るい衣装だ。



「――APが0?」



 アーシャが数値に反応して首を傾げる。


だが、鼻で笑いもしなければ、挑発だとも思わず、冷静にこちらの意図や効果を読み取ろうとしている。


 あんなに情緒が乱れていたはずなのに、【蒼極天】の二つ名は伊達じゃないほど、戦況に対しては沈着すぎるほど澄ました精神をしている。



「私はこれで、ターンをチェンジする」



天水晴那 AP0 VS 古奈アーシャ AP0



「わたしのターン、ドロー」



 ターンを譲られたアーシャの番。


ゆっくりとスキャナーを持ち上げ、デッキから一枚のカードをすっと引き抜いてドローフェイズを過ごす。



「まずは……【シュニャバティ・トリガー】のスキルを発動」



 引き加えた五枚目のカードをまとめた後でアーシャがまず行ったのは、スキルの発動だった。



「んええ? もう発動させちゃうの?」



 実質後攻一ターン目、しかもメインフェイズへ進んだ直後にスキルを発動させるアーシャのプレイングにビャコが驚いた。


 たしかに今まで対戦していた相手……朔真や刹那も含めると、逆境に追い込まれたり、コンボの完成の後押しという中盤から使う相手が多かった。


 私はずっと傍に居て活動していたから、これがパターンだと思っていたが、そうでない者から見れば、確かに異質で珍しい戦術なのだろう。



「このスキルによって、わたしはBG(バクグラウンド)M(ミュージック)〈カイラスフリーザー〉を手札に加える!」



 スキルの詳細を口にしながら、アーシャは手のひらを上にむけて視線の先においた。


その動作に呼応して、青白いプリズムストリームがアーシャの手の中に集まり、あっという間に一枚のカードを作り上げさせた。



「生成系のスキルだと!?」



 一連のスキル演出の流れを目の当たりにした途端、ビャコがいつにもなく驚愕の声を上げた。



「――手札からBGM〈カイラスフリーザー〉を発動!」



 手にしてもなお青白く光るカードを、アーシャは早速スキャナーに読み込ませる。


 アーシャの傍に、真っ白な雪が乗った高山のみというシンプルなジャケットが描かれた等身大のミュージックカードが立ち上がった。


 スキャナーからなのか、それともカードの立体映像からなのか、まるで公園のスピーカーとも繋がっているかのように、なぜか周囲から微かながら音楽らしい何かが聞こえてくる。


 凍った空気に響く、透明な単音のリズム。


 冬を連想させる調べ。


 それの音量が徐々に増していく度に、アーシャの足下を中心に、六月の芝広場が徐々に霜の被った冬景色へと変わっていく。



「しかも、この演出密度……すさまじいな」


「言うほど、そんなにすごいの?」



 浸食する霜がこっちの靴にまで及ぶ。


思わず足を上げると、靴底についた霜の塊がポロリと落ちる。


こんなの現役時代に何度も体感してきたはずだが、一応歴戦といっても過言ではないビャコが驚くということは、かなり特殊なのか。



「〈カイラスフリーザー〉が発動された時、このカードにアイスカウンターを一つおく」


 効果処理として、ビャコの映し出すモニター側に、拡大されたBGMの上に、「ACE(アイス) COUNTER(カウンター) 01」と書かれたウィンドウが表示される。


「アイスカウンター……配置系か!」



 突然カードの効果で出現した要素に、ビャコが即座に反応する。



「そして手札から、〈ニヴリティースノー パールヴァスノウシューズ〉をコーデ!」



 改めて手札の中の一枚を読み込ませ、アーシャのシューズが変化する。


 薄い桃色をしたブーツみたいに丈のある靴。


ただ雪を踏みしめる分厚さは無く、スマートに振り切ったデザイン。


そのAPは500。



「〈ニヴリティースノー パールヴァスノウシューズ〉の効果! このカードがコーデ、追加コーデされた時、このカードにアイスカウンターを一つ置く」



 今度はシューズのカード画像がモニターに拡大され、同じく「ACE COUNTER 01」と書かれたウィンドウが出る。


同時に、アーシャのAP表記の上に追加で現れた「ACE COUNTER」の文字の隣にある数字が「02」に増えていた。



「さらに、BGM〈カイラスフリーザー〉の効果! 〈ニヴリティースノー〉ブランドのコスチュームが出る度に、このカードにアイスカウンターを一つ乗せる!」



 これでアーシャの持つカウンターが合計三つに増える。



「そしてアイスカウンターが二個以上あるとき、〈ニヴリティースノー ヒマーシェルトップス〉は手札から追加コーデできる!」



 来たか、と私は身構える。


ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「いいから早く決闘しろよ」


と思った方は、下にあります☆☆☆☆☆から、作品の応援をよろしくお願いいたします。

また、誤字脱字、設定の矛盾点の報告など何でもかまいませんので、

思ったことがあれば遠慮無く言っていただけると幸いです。


あとブックマークもいただけるとうれしいです。


細々と続きを重ねて行きますので、今後ともよろしくお願いします!

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