94. アビスゲートと鍵
俺は魔王軍統括参謀シエルとの戦いに勝利し飛翔魔法を使い皆の元へ戻る。
四天王エビルパレスと戦った二人は過酷な戦いでボロボロになっていた。
全員の無事を安堵して声をかけて様子を伺う。
「マチュアさん、大丈夫ですか?」
「はい、相手は恐ろしく強かったです。攻撃を防ぎ切るのがやっとでした」
「見たらなんとなくわかります…無事で何よりです」
「エビルパレスが突然戦闘を止めてそちらに飛んでいきましたが平気でしたか?」
「こちらに来ましたよ。魔王軍統括を瀕死の状態まで追い込んだんですが、相手に奪われて逃げられました」
「魔王軍統括を倒したんですか?凄いですね…」
「いや、相手が油断しているのを逆手に取って高火力で吹き飛ばしたんですよ。恐らく二回目は通用しないですね」
同じく共に戦ったアトレシアを見て労いの言葉をかける。
「アトレシアは大丈夫?」
「はい、カトレアさんに回復してもらって戦いに参戦しましたが流石四天王最強を名乗るだけあります。かなり手強かったです」
「まあ、生きて無事なら問題ないよ。ご苦労さま」
アトレシアは回復魔法で助けられたカトレアに礼を伝える。
「カトレアさん助けて貰い感謝します、何かお礼が出来ればよいですが…」
「お礼してくれるの?じゃあ今夜ワタシと一夜を共にしてくれればチャラにしてあげるわよ~」
「一夜を共に過ごせばよいのですか?それならお安い御用ですが…」
「ウフフ~、約束したからね~」
あ…これアトレシアは一夜を共にするという意味がわかってないやつだ。
カトレアさんはアトレシアとの約束を取り付けて上機嫌だ。
なんだか面白そうだから放っておいて翌日に感想を聞いてみよう。
「それでは、魔法都市に戻りましょうか、激戦で疲れました」
「ワタシも回復魔法かなり使ったからもう魔力空っぽよ~、早く戻りましょ~」
二人に促され全員で魔法都市国家に戻ることにした。
全員が疲労困憊であったが特に敵も現れず無事国に帰投して休憩へ入る。
今日も以前に宿泊した部屋でアトレシアと二人泊まる事になった。
用意された食事を軽く食べて、風呂を浴びて疲れを取りサッパリしたところでベットの上で横になりリラックスして過ごす。
夜になりアトレシアはカトレアさんとの約束があるので部屋を出ていった。
明日どうなったか聞くのが楽しみだ、そう考えていたら疲労で直ぐ寝てしまった。
──都市国家謁見室
女王の前でマチュアが神滅の秘宝で起きた出来事を報告していた。
「ご報告いたします、パルテ様は鍵の守護者で間違いありません」
「予想通りね、どうやら風向きが変わって来たかしら」
「はい、あとはパルテ様の側でライラという天使が仲間となり手助けをしているようです」
「天使が魔族の味方に?もしかすると繋がっている…鍵の守護者の可能性もありますね…」
「神滅の秘宝も同じ考えのようで、その者を連れて来るよう伝えておりました」
「もし、その娘が鍵であれば、大司教フレミア様を救い出すことで鍵の守護者全員が揃うことになるわね」
「では、神降ろしは全員がここに揃ってから始めますか?」
「そうね、準備は万全にしておいて、明日パルテさん達にも事情を話しましょう」
「承知いたしました」
──翌日
激戦で疲れた体を休めるため泥のように眠っていた。
誰かが静かに扉を開けて部屋に戻ってきた気配がして目を覚ます。
朝が来たのかと思い体を起こして見みると何故かアトレシアが体の大事な部分が透けて見えてしまいそうな物凄く色気に溢れる下着姿で戻ってきていた。
「おはようアトレシア…どうしたのその格好?」
「あ…おはようございます、その…下着がなかったのでカトレアさんからいただきました」
「そ、そうなのね。ところでカトレアさんとの一夜はどうだった?」
俺の言葉を聞いてアトレシアの顔が一瞬で真っ赤に染まる。
両手の人差し指を自身の胸の前でせわしなく絡め合わせ、恥ずかしそうに答えた。
「そ…その…とてもよかったです…」
あー、これはカトレアさんとの一夜で完全に堕ちたな。
堅物の騎士様かと思ったけど意外と女性との関係もいける口だったのか。
夜の情事を根掘り葉掘り聞きたいとこだが、それは野暮ってものだ。
二人で雑談しながら朝食を終え着替えていたら、マチュアさんが部屋に女王様との謁見があると言うことで迎えにやってきた。
アトレシアには部屋で待ってもらい、俺だけで女王様との面会に向かう。
一日ぶりの女王様を見て、何故か以前会った時より凛々しい感じに溢れてる。
「パルテ様、貴方は神滅の秘宝に選ばれた人です。約束通りこの世界の理についてお話しましょう」
「はい、お願いします」
「まず、魔法都市国家の役割と私たちの目的についてご説明しましょう」
女王様から伝えられた話は、とても驚くべき内容だった。
魔法都市国家は遥か天空に存在する神を地上へ降ろす施設を兼ねた防衛拠点。
本来の目的は神を地上へと降ろし魔界の門の場所を知るため。
魔界の門は、魔界とこの世界を繋ぐ入口で、開くためには鍵の守護者三人が必要、自分がその一人である事。
「ちょ、ちょっと待ってください!情報量が多すぎて理解ができません。それに世界と魔界を繋ぐって危険な行為じゃないんですか!?」
「魔界の門を開くのは人類救済のためです、貴方は魔界へと趣き、この世界の成り立ちを知る必要があります」
魔界の門を開くことで人類を救う?
普通逆じゃないか?
魔界から色んな魔物がなだれ込んで来て人類を滅ぼすのがファンタジー世界の王道みたいな感じだけど、全く理解できない。
「魔界の門を開く事が人類救済と言うだけでは、信じられません。納得の行くご説明いただけないでしょうか?」
「今ここで貴方に全てを説明しても恐らく理解も納得もできないでしょう。貴方はある人物を救い出すことで更なる真実へと近づけます」
「救い出す?誰をですか」
「貴方に非常に強い関わりを持つ人物、聖教国家大司教フレミア様です。現在はディス・パテール領地内の何処かに幽閉されております」
聖教国家大司教が俺と強い関わりを持っている?
司教に知り合いなんていないがどういう事だろう。
「聖教国家大司教は、マリウスという人物ではないのですか?」
「マリウスは聖教国家で内乱を起こし、大司教の座を奪った堕天使です。彼らの排除も重要ですが、まずはフレミア様の救出が第一目的です」
「よく解らないですが、フレミアさんと言う人を救い出せば答えに近づくという事ですか?」
「そうです、フレミア様とお会いすれば貴方にとって重要な人だと解るでしょう。私たちの事を信頼していただくには順を追って進めて貰うしかありません」
女王様の真っ直ぐな瞳を見て嘘は言ってないと感じた。
この国で沢山の人達を救い平和と安定をもたらしている人物の言葉。
彼女の言葉には人類を救う指名に満ちた重みがある。
それなら、順を追ってこの世界を理解していくしか無いのかも知れない。
「わかりました、答えは自分で見つけに行きます」
「了承いただけて、少しホッといたしましたわ。それでは、大司教フレミア様の救出とライラという貴方の側にいる方の招致をよろしくお願いいたします」
女王との謁見が終了して旅立ちの準備を始める。
当面の目標は国に帰り、ライラと話し合い大司教フレミアを救出する事
俺達は渡航に必要な費用を女王に融資して貰い『港町バルジャンテ』へ向かうことにした。
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月曜日は投稿お休みです。




