88. 魔王軍四天王 暗滅のクロバイアとの戦い
深淵の迷宮最深部に辿り着いたが大量の敵を倒すと魔王軍四天王の一人『暗滅のクロバイア』が現れた。
こちらはマチュアさんとカトレアさんを呼び出して三人での討伐となる。
「三人で我と戦うか…よかろう全力で掛かってこい!」
俺は何故コイツに魔法が効いてないのか疑問に思っていた。
とりあえず試しに魔法攻撃を繰り出してみて効果を試してみよう。
「くらえ!爆裂雷!」
「うおおおおおっ!?」
俺の魔法攻撃がでクロバイアに直撃して全身に電撃が駆け巡り相手が大声で叫んで耐えている。
魔法を直撃させて何となくわかった、コイツが纏ってる鎧にどうやら強力な魔法耐性があるみたいだ。
これだと俺の魔法攻撃だと分が悪いな、マチュアさん達に頼るしかないかもしれない。
そんな事を考えていたらクロバイアが怒りながらこちらに文句を叫んできた。
「おい!いきなり攻撃してくるな!」
「いや、かかってこいっ!て言ったからとりあえず魔法撃ってみたんだけど何か問題ある?」
「このような場面なら不意打ちなどせず、堂々と戦いを挑むのが当然だろ!」
「命を賭けた戦いなら卑怯も何もないでしょ?ましてや貴方は四天王だって名乗ったし、そんな強い奴ならこっちも容赦なく攻撃するのが作法じゃないのか?」
「戦いの中にも礼儀があるだろう!これだから空気を読まない魔法職は嫌いなんだ…」
コイツ…今まで戦ってきた四天王となんだか雰囲気が違うな。
面倒くさい性格なのか戦いの作法に煩いのか、なんかイジってて面白くなってきた。
もう少し言葉遊びで楽しんでみるとするか。
「でもさあ、正々堂々の戦いとか言っててさ、ガチガチの魔法耐性が付いた鎧着てるのは卑怯じゃないの?」
「う…うるさい!我が装備は肉体と同一だ!これ以外にはない!」
「じゃあ、私が貴方と正々堂々戦いたいと言った時に魔法耐性の鎧着たまま戦うのは卑怯じゃない!?せっかく一対一で戦おうかと思ったけどなんかやる気無くしてきちゃった」
俺は両手でヤレヤレと言った振りを見せながら、やる気を無くしたような雰囲気を見せて相手の様子を伺う。
「しょうがない…貴様が一対一で我と戦うというなら魔法耐性を落としてやろう」
クロバイアの鎧から放たれていた青白いオーラが弱まり魔法耐性が下がったように見えたので俺は間髪入れず、魔法を叩き込んでみた。
「くらえ!爆裂雷!!」
「うおおおおおっ!?」
魔法耐性が落ちたとこで全身に爆裂雷を食らったクロバイアは片足を地面についてこちらに大声で叫んで不満をぶちまけてくる。
「貴様ぁ!!卑怯だぞ!正々堂々と戦うんじゃないのか!?」
チラッと後ろを見るとマチュアさんとカトレアさんが顔を隠して笑いを堪えてるように見えた。
そりゃ強敵と思える相手と漫才みたいなやり取りしてたら面白いよな。
こちらも釣られて少し笑いそうになってしまう。
「え?一対一で戦うとは言ったけど、正々堂々と戦うなんて言ってないよ?」
「この卑怯者が!なんだ貴様はさっきから揚げ足ばっかりとって!騎士の誇りは無いのか!?」
なんだろう、魔王軍なのに正々堂々と戦いたい気持ちが強すぎて絶妙なおバカ感を醸し出してるのは。
恐らくまともに戦ったらめちゃくちゃ強そうだけど、なんか愛すべきおバカって感じなキャラだな。
「じゃあ、聞くけど正々堂々と戦いたい四天王様が何でこんな場所で壁を攻撃するような事をやってたの?」
「そんな事を答えるわけ無いだろう!本来ならこんな面倒くさい作業は断りたいところだが、命令されたから仕方なくやっているだけだ…」
時々漏れる本音で丸わかりだな。
恐らく魔王軍統括から命令されて渋々ここで何かをやっていたのか。
コイツなんか魔王軍に居た時の俺に似ているなあ。
本人は強者と戦いたいけど、雑用ばかりやらされてるとかかな?
なんだか面白そうなので少しカマかけて聞いてみるとするか。
「もしかして魔王軍でも正々堂々の戦いを連呼して存在が浮いていて、こんな僻地に飛ばされて単純作業やらされてるとかじゃないの?」
「そそそそ…そんな事はないぞ!これも立派な任務だ!」
この慌てぶりから見て恐らく図星だな。
なんだかコイツ悪いやつには見えなくなってきた。
魔王軍にいる理由はわからないけど、今の立場に満足してないんじゃないか。
それだったら、一つちょっと交渉してみるか。
「どころで、突然だけど聞いてもいい?」
「何だ小娘?もう我は騙されんぞ」
「貴方さ、私の部下にならない?」
「……はあ!?四天王の我が貴様みたいな小娘の部下になれだと!?笑わせるな!我が従うのは魔王様と魔王軍統括殿のみだ」
なるほど騎士だから忠誠心は高いという事か。
あれ?でも魔王だった俺が逃亡した事は知ってるはずだよな。
もしかして逃げたことは、外部には絶対に秘密で喋らないように言われているのか。
「じゃあ、今から衝撃的な事実を言うけど驚かないでよ?」
「なんだ?小娘の戯言などで我は動揺などせんぞ」
「私は、魔王バルテオスその人だ」
俺の言葉を聞いて、ちょっとした沈黙が流れる。
クロバイアは、突如驚いたようにこちらに再度問いかけてきた。
「はあぁ!?なんだって!!貴様がバルテオス様だと!?嘘を述べるな!!」
「いやー、信じられないだろうけど間違いなく本人だよ」
「貴様がバルテオス様だと言うなら証拠を述べてみよ」
「んー、それじゃあ証拠としてここ最近の出来事を証言してみるよ」
「ああ、どうせ嘘偽りだろうがな」
「魔王として復活して一週間で部下連れて魔王城の玉座に辞表残して逃げ出した。四天王のヴァラクとフォルマールは既に私が倒した。魔王軍統括参謀の名前はシエル、そしてさっき貴方に使った魔法はレベルランク9の魔法で魔王クラスにしか使えないってとこでどう?」
魔王軍の上位幹部しか知らないような情報を与えてみた。
特に四天王が二人やられてるってのは恐らく知っているだろう。
クロバイアはしばらく考えた後、念の為こちらに再度問いかけてきた。
「貴様…本当に魔王様なのか…?」
「だから言ってるじゃない、嘘じゃないよ」
「何故魔王様がこんなところにいる!?我を倒しに来たのか」
「いやー、話すと長いんだけど私が魔王軍から逃げたのも待遇に不満があったからなのよ。ここに来たのはちょっとした偶然だよ」
「だが貴殿は魔王軍を既に抜けたのだろう?だったらもう我の上官ではないではないか」
「えー?でも騎士としての忠誠心が本物なら、最上位存在の元魔王が仲間になれって言ってるんだから従うべきじゃないの?」
「そ、それは確かにそうだが…」
お、クロバイアの心が結構揺らいでるな。
やっぱり今の魔王軍に不満があったんだろう。
だったらもう一押しして仲間にするよう仕向けるべきだ。
「騎士道を重んじるなら、上官への忠誠心は絶対でしょ?それにクロバイアも魔王軍の所業に不満があるんでしょ?雑用を命令されるだけの魔王軍でずっとこのまま働くの?私だったらイヤですぐ辞めちゃうなあ~」
「や…辞めても本当にいいんだろうか?」
俺はクロバイアの眼の前に近づいて耳元で悪魔の囁きのように相手へ伝えた。
「辛かったら…辞めてもいいんだよ?嫌な命令に従わなくて自由を謳歌してみないか…?」
俺の囁きを聞いてしばしの沈黙が流れる。
完全に固まったような感じだが、恐らくどうするか悩んでいるのだろう。
しばらく間を置いてグロバイアは答えを出した。
「……わかった!魔王軍辞めた!魔王様の配下になります!」
こうして魔王軍で元配下だった、暗滅のクロバイアが突如として自分の仲間になる事になった。
必死の戦いを覚悟していたが楽に攻略出来たのでまあよしとしよう。
一日置き(隔日)の19時から21時頃で更新予定。
月曜日は投稿お休みです。




