83. 魔王様貞操の危機!?
俺は遠く飛ばされた異国の地で裁判にかけられた後、突如現れた女王様に来賓として歓迎される事になった。
それから深夜遅くベットの上で眠りについていたところで、何故か突然現れた女王に女性好きを公言され襲われていた。
彼女はその手で数多の女性を自身が望む快楽へ導いてきたのか、恐ろしいほどのテクニックで全身のあらゆる快感を目覚めさせていく。
それに何だかいつもと違って体が物凄く熱い。
熱があるとかではなく、体全身の感覚がとても鋭敏になっていてほんの少し触れられるだけで快楽神経が反応する感じで、怒涛の波が何度も押し寄せてくる。
「なにこれ、体がめちゃくちゃ熱い…」
「ウフフ…先程のお酒には体の感度が向上する媚薬を入れていたんです。だから、全身の性感帯が鋭敏になっていると思いますよ…」
「媚薬ですって…毒物反応は無かったのに」
「媚薬は毒ではありませんからね、毒物感知には反応しませんよ…さあ私に全てを委ねて一緒に気持ちよくなりましょう…」
女王はこちらの口に指を入れて、唾液がついた指を自身の舌で舐める。
彼女が体の上で指を滑らせていくだけで男の時では出ないような、女性の喘ぎ声が漏れ出てしまう。
「…ッ…あっ…ダメ…」
彼女が繰り広げる指技で全身の快楽神経が喜びを上げる。
いつのまにか服を脱がされてこちらの裸が顕になり、その姿を見て女王も薄布を肩から滑り落とす。
布の上からはわからなかったがかなり豊満な二つの果実が眼の前に現れる。
二人共全裸になった状態でそのまま肌と胸を重ねて全身の感触を楽しむようにゆっくり動かす。
全身が敏感になっているせいなのか、初めて女性として性的な感覚が目覚めたせいか、全身が紅潮して人生で初めて味わう快感に抗えない。
強大な波が浅瀬の砂を深い場所に引き込むように、全身が快楽の波に深く飲みこまれていくような初めての感覚。
このまま女王が繰り広げる快楽に身を任せようかと諦めかけた時、脳裏にある人物の怒っている顔が浮かんできた。
それは、自身と結婚の約束をしたリブラとライラだ。
まだ二人ともこの様な深い肉体の関係に進んでいない。
彼女たちを差し置いて、自分ひとりが流されるままになっていいのか?
このままでは、ある意味彼女たちとの約束を裏切ることになる。
それに他の女性もそうだ、あれだけ二人以外を拒んできたのに異国の地で快楽に飲まれるだけで、簡単に自分の決めたことを覆すのか?
駄目だ、ここは絶対に拒否しなければならない。
そう思った俺は荒い息遣いの中で、必死に抵抗しようと命令をだす。
「闇の手よ…女王をベッドの上から下ろせ!」
体から現れた闇の手は女王を掴み、ベットの上から床に降ろす。
呆気に取られた女王はこちらが繰り出した闇の手という秘術に驚きの顔を見せながら、抵抗した事に驚きの声をあげた。
「こんな隠し技を持っていたなんて予想外でしたわ…」
俺は息を荒げたままの状態から呼吸を落ち着かせ、なんとか声を絞り出し女王に告げる。
「女王様…私には婚約者がいます。その人とはまだ体の関係を持っていません。だから貴方と先に契を結ぶわけにはいきません…どうぞお引き取りください…」
操を立てたこちらの意志の強さを見て若干不満そうな表情を見せながら、あっさりと諦めたよう素振りをみせた。
「んもう…イケズですね。せっかくいい雰囲気だったのに…」
女王は床から立ち上がり、ベットの上に落ちていた薄布を拾い上げて羽織る。
部屋に入ってきた状態に整えたところで大声で人を呼ぶ。
「マチュア!聞こえている?直ぐに来て頂戴」
女王が呼びかけてから、概ね十秒程度だろうか。
部屋をノックして、彼女が入ってきた。
なんだか彼女の顔が以前見た時と違って紅潮しているように見える。
下の衣服も少し乱れている感じが見て取れた。
もしかして、二人の情事を聞きながら一人慰めていたのだろうか。
恐らく彼女も男性ではなく女性が好きなのだろうと確信した。
「マチュア、今日は貴方がお相手して頂戴…このままじゃ眠れないわ」
「承知いたしました…仰せのままに」
マチュアは女王をお姫様抱っこの体制で抱えあげ連れて行く。
女王の秘書二人も彼女のお手つきだったのか。
しかしあんな強そうな女性が逆らえないという事は相当な性技をお持ちなのだろう。
自分もあのまま流されたらどうなっていたことかと震えが止まらなかった。
「わたくしはまだ諦めませんわよ…パルテ様」
女王が部屋から出ていく時にそう聞こえたような気がした。
誰も居なくなった部屋で一人寝ようと試みたが媚薬による体の火照りがあまりにも強く全く収まらなかった。
そのままでは耐えられそうになかったので、俺は生まれて初めて自身の身体を女性として何度も慰めてしまう。
何度絶頂を迎えただろうか、体の火照りがある程度落ち着いたところで力尽きてそのまま泥のように眠ってしまった。
──翌日
朝日の光が顔を照らして余りの眩しさで目を覚ます。
昨夜の情事はなんとやら、衣服が乱れた状態でベットの上でいろいろな出来事がフラッシュバックして頭の中を駆け巡る。
自分自身の魂は男性で、肉体が女性になっても普段は男っぽく過ごしていた。公の場では女性として立ち振る舞っていたが、昨日の出来事で心身ともに女性になりかけているのを痛感し心の呟きが漏れた。
「俺、もう男に戻れないのかな…」
そんな事を思っていたら扉をノックする音が聞こえる。
乱れていた衣服を整えて外にいる人物に対して入室を促す。
「どうぞ」
「失礼いたします」
部屋に入ってきたのは、マチュアと四名のメイドであった。
「朝のお食事と身の回り品のご用意させていただきます」
簡単にそう伝えメイドたちは慣れた手つきで清掃を始めベットのシーツを入れ替え、浴室もお湯を張り直して綺麗に清掃を終わらせていく。
清掃が終わったところでマチュアがテーブルの上に食事と水を用意してくれた。
彼女が部屋を立ち去ろうとした時に少し疑問が浮かび呼び止める。
「マチュアさん、少しだけお時間いただけないでしょうか?」
「はい、なんでしょうか?」
ここは雑談から単刀直入に女王の話に持っていこう。
「今回の食事には媚薬とか入ってないですよね?」
「え、はい…特にそのような指示は出ておりません」
ということは、昨日の媚薬混入は女王の指示だったのか。
規律高い女王と思っていたが好みの女性を落とす時はいつもあんな事するんだろうか。
「ところで話は変わりますが、女王はいつも夜あんな事を?」
雑談から話題の核心に突然ぶっ込んで見た。
凛々しい顔が赤く染まり少し恥ずかしそうに女王が行っている行為について教えてくれる。
「あの…はい。女王様は好みの女性を見かけると自身と寝室を共にして快楽の虜にしてしまうのです」
「そうなんですか…大変そうですね」
「この国では女王様が決めた法で、女性同士は自由にその…体の関係を持って良いのです」
「は、はあ?それはまた凄い法律ですね…身内で争いとか起きないんですか?」
「この国で女王様に仕える者達は、私も含め非常に忠誠心が高いです。争いなどは全く起きません」
魔族が国を治めてるけど、簡単に言えば自分好みの女性を集めたある意味ハーレムじゃないか。
身辺にいる者たちを全員を手籠めにすることで国や王への忠誠心を高める、というのも一つの方法なのだろう。
なんとなくだが、何故この国の成り立ちを明かさなかったか少し解ってきたような気がする。
「私も許されるなら…その…パルテ様と、関係を持ちたかったです。好みの女性でしたので…」
おいおいおい、この娘は突然何を言い出すんだ。
もしかして、昨日一人で慰めてたのって俺が襲われている声聞いて興奮してたってことなのだろうか。
ここは、トゲが立たないように丁重にお断りしておこう。
「申し訳ないけど、私には決めた人がいるので貴方とは関係を持つことはできないです」
「そうですか…残念です」
駄目だ、この国に長くいたら毎日が貞操の危機になりそうだ。
少し話題を変えて今日の事について問いかけよう。
「えっと…本日の予定はどのようになっているのでしょうか」
「はい、お食事が済みましたら女王様との面会と依頼がございます。お時間になりましたらお呼びいたします」
「わかりました、ありがとうございます」
話が終わりマチュアは軽く一礼をして部屋から出ていった。
彼女が教えてくれた女王からの依頼ってなんだろうか?
あんな事があった後なので少し気恥ずかしいが早々に食事を終わらせて、軽くお風呂浴びて呼び出しに備えることにした。
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