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転生最強魔王の引退物語 ~最愛の部下と田舎でのんびり暮らしたい~  作者: 茶巾丸
第6章 ガンギルダ王国編

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62. 聖教国家司祭討滅戦 (VERY HARD) フェーズ 1

 国王との面会で罠にかかるフリをして、聖教国家の司祭を追い詰めたが元勇者パーティの魔法使い『マルガリータ』と僧侶『ヒルダ』が現れた。

 二人は勇者セレネが生きてたことに全く動揺した様子がない。


「死の呪法発動したのにどうやって生きてたのかしら」


 セレネの姿を見てヒルダが納得したように何が起きたのか分析していた。


「なるほど…その姿は魔族に堕ちたのか、勇者とも言われた人物が地に落ちたものねえ」


 セレネは元仲間との再会について冷静に自身の気持ちを語る。


「司祭のいいなりでしかない単なる駒のお前たちに言われたくない、用済みとなれば簡単に切り捨て処分する、そんな奴らと共に行動した自分に恥じる事はあれど、命を助けてくれたパルテ様を侮辱することは許さん」


「言ってくれるねえ、自分だって駒だったクセに」


「私はパルテ様に助けられて本当の自由を手に入れた、駒として使われる存在ではない、私の事を大事にしてくれる人の元でお前たちと戦う!」


「貴方が私達に勝てると?ただ後方支援していただけと思っていたら大間違いよ」


 セレネは腰の剣を抜き片足を下げ、攻撃態勢を取る。

 瞬間周囲の空気を切り裂き司祭へと自身の剣を正面に構え切りかかった。


「防御境界(プロテクションフィールド)」


 ヒルダの呪文により光る防御壁が現れ司祭の眼前で、セレネが放つ一撃が止められ剣と共に弾かれてしまう。


「なにっ!?」


 自身がもつ全力の一撃が弾かれて驚きの表情を見せるセレネ。


「驚いた?貴方の攻撃なんて余裕で防御出来るのよ、私達は貴方と一緒に組んでた時には楽するために手を抜いてたの、知らなかったよねえ?」


 セレネの攻撃力は魔族になって更に向上していたが、それを安々と防御出来るって事は相当な実力を隠していたのか。

 ヴァレリアが二人を倒した時は油断していた相手に、不意打ちで気絶させたと言ってたし実力が見えていなかったのが失敗したな。


「だけど対策済みだ!ヴァレリア!」


「あいよっ!」


 続けてヴァレリアが司祭へと突撃を開始し魔法防御壁に正拳を叩き込む。

 セレネの攻撃を塞いだ魔法防壁は彼女の攻撃を防いだように見えたが、徐々に亀裂が入り強力な衝撃を与えたガラスのように粉々に砕け散った。


「私の防御壁を破るとは、その手は魔法破壊の能力があるのか!?」


 そうだ、司祭との戦いで魔法戦となるのを見込んで、ヴァレリアにアルカナハンマーと同じ魔法破壊能力を備えたドラゴンクローをルコット達に作成してもらった。

 突貫工事だったが流石ドワーフ職人達だ、能力の凄さはお墨付きだな。一瞬のスキを付きヴァレリアは司祭に対して追撃を加えるべく動き出す。


「貰った!!」


 全身を使って相手の胴体を貫くほどの手刀を司祭に向けて攻撃を繰り出す。

 司祭の腹部を狙った攻撃が奴の体に届こうとした時、地面より巨大な手が現れヴァレリアの攻撃を受け止め司祭を守る程の存在が地面から出現する。


 全長八メートルはあるだろうか、背中に羽がありガーゴイルのような姿をした巨大石像(ゴーレム)とも言える存在が、地面の空間から姿をみせて司祭が高笑いしながら勝ち誇ったように叫ぶ。


「フハハハハ!何も対策していないと思っていたか?貴様らの攻撃は事前調査済みだ!魔獣オブシディアン・ガーゴイルよ!コイツらを皆殺しにせよ!」


 こちらの二人が目の前に現れたガーゴイルは、口から火炎を吐き二人を攻撃する。

 相手の攻撃を掻い潜り、左右に分かれた二人は攻撃を仕掛けセレネの剣撃で右腕を落としヴァレリアが左腕を破壊して両腕の能力を使用できなくした。

 だが、後方に控えているマルガリータとヒルダが魔法力を送り込み、あっという間に体を復元させ元の状態に戻す。


「無駄よ、無駄。貴方たちがいくら攻撃しても無限に再生できるわ」


 二人が何度も攻撃するがガーゴイルは無限に再生してキリがない。

 どうする?杖の力を使えばこの程度の魔獣吹き飛ばせるが、味方がいるから破壊力を制御できない攻撃は出来ない。


 となると俺が魔法使いを攻撃して二人の魔力を枯渇させるか…いや不確実だ。

 思考を巡らせていた所で突然リブラが余裕有りげに俺に攻撃について確認してくる。


「パルテ様、こいつ倒せばいいんですか?」


「え?リブラ倒せるのか?」


「前回、ルコットさんとの戦いで単独先行しないようキツく言われたので自分勝手に攻撃しないようにしたのです」


「それならやってくれ!ちょっと二人に伝える」


「(セレネ、ヴァレリア!リブラが攻撃するから敵から離れてくれ)」


 二人は俺の思念通話を聞き、こちらの元へ戻ってきてくれた。

 相手はこちらが手を拱いている余裕の表情で見ているがリブラに期待だ!


「いきますよ!万物融解(メルトシュタイナー)!」


 リブラが放った魔法によりオブシディアン・ガーゴイルの全体が溶け始め全身の動きが鈍くなりやがて行動を停止してしまい、肉体は粉々の石に変化して崩壊してしまう。

 後方で控えていたリブラの攻撃に相手側三人は驚きマルガリータが叫ぶ。


「な、なんだ!?その魔法は、ガーゴイルが再生できない!!」


「ボクの万物融解(メルトシュタイナー)は魔法が掛けられた物体の事象を全て融解することが出来る対物理魔法破壊の最強呪文なのですよ!」


 俺は驚いた、リブラの魔法にここまでの威力があったとは。

 メルトシュタイナーは相手を溶かす魔法で、連発出来ないとは聞いていたがここまでの攻撃力とは思ってもいなかった。


「こうなったら、しょうが無い。貴様らの切り札である天使は我々が既に拘束済だ!二人とも堕天の力を解放せよ!」


「わかったわ」


「しょうがないわね」


 司祭の言葉により二人が普通の冒険者とは違う雰囲気を醸し出すと、同時に背中から漆黒の翼を生やし闇のオーラに全身を包む。


「何が堕天使だ!全て打ち砕いてやる!」


 セレネは自身の決意と共に相手へと飛び出し、二人の魔法使いに対して脇腹と左足へと斬りかかり深手を追わせた。」

 だが傷を追った二人は涼し気な表情で冷静にセレネへと告げる。


「この期に及んで、まだ手加減してくるとは関心だわ」


「無駄よ、私達は魔族の物理と魔法攻撃に対して絶対的な防御を持つのよ、貴方たちの攻撃は通じないわ」


 二人が負った切り傷は瞬時に復元して元の状態へと戻り、全くダメージを受けていないようだ。

 これか…ライラが言っていた魔族は堕天使に勝てないと言っていた理由は。

 相手が明かしたように物理と魔法攻撃が防御され自動的に復元されてしまうのでは、こちらが何をやっても無駄になってしまう。

 司祭は堕天使の能力を見せてはいないが、恐らく同じだろう。


 今までの相手が繰り出してきた攻撃や行動について違和感を感じた。ちょっと待て…そんな力があるなら何故最初から使わないんだ?

 ゴーレムに攻撃させたり、魔法使いの能力を使わずとも最初から堕天使になって全力で攻撃してくればいいじゃないか。


 追い込まれて堕天使の能力を解放してきたという事は、この攻撃無効化の力を使う時に何かの制限がありそうだな。


 そういえば、ライラがリブラに乗り移っていた時はリブラの能力を行使出来ていたが分身してからは元の力は覚えてるものしか使えないと言っていた。

 つまり、堕天使の力を解放するという事は、この魔法使いと僧侶は本来の主が別に居てこいつらに乗り移って魔法を行使しているのか?


 それでも攻撃が全く効かない相手に戦うのは苦戦するのが目に見えている。

こうなったらライラが授けてくれたアレに頼るしか無いな。

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