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転生最強魔王の引退物語 ~最愛の部下と田舎でのんびり暮らしたい~  作者: 茶巾丸
第6章 ガンギルダ王国編

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58. リブラの秘密、魔王となる者の新たなる決意

迂闊だった。

俺自身の考えが浅かった、実戦経験が少ないリブラを四天王との戦いに連れて来てしまい、結果彼女は息を引き取った。


彼女の命を奪ったのは俺自身だ、どうして!リブラが死ななければならない、なぜ俺が替わりになれなかったんだ!


俺は既に一度死んで転生した人間だ、生まれて一年も経って無い、自由になれて数ヶ月も経過していない女の子なのに…どうしてなんだよ。


「リブラさん、なんで…なんでだよ!私の事を庇ってなんで死ぬなんて事を選んだんだよ」


ルコットの大粒の涙がリブラの顔に落ちて流れていく。

彼女もリブラの死を止められなかった自責の念で押し潰されそうな表情を見せ悲しんでいる。


能天気な雰囲気で明るく情熱的で元気な女の子。

彼女の声はもう聞くことが出来ない…憤怒の感情が爆発しそうな勢いだった。


クソッ!クソッ!クソッ!クソッ!クソッ!

地面に何度も自分の拳を打ち付けて悔しさを叩きつける。

何度も殴った手から血がにじみ出てきたが痛みを通り越して何も感じない。


何が最強魔王だ!自分のことを大好きだと想いを寄せてくれる大事な人すら守れないなんて、強者どころか最低の人間だ。


全て自分の思慮不足と慢心が招いた結果だ、自分の強さに溺れて他の人を思いやる心が不足していたんだ、皆を守るなんていって結局こんな事態を引き起こし、彼女の命を奪う結果を招く事になった。


悲しみからいつの間にか俺の目からも大量の涙が流れて頬を伝っていた。

流れ落ちた涙はリブラの顔に落ちて彼女の顔を濡らす。


「なんで…なんでなんだよ…返事を返してくれよ…」


悲しみに心が押し潰されそうな時どこからか声が聞こえた。


「…パルテ様、そんなに悲しまないでくださいよ。ボクも泣いちゃいそうです」


なんだ?幻聴か…リブラの声が聞こえる。

彼女は眼の前で静かに眠っているのに、旅立つ前の魂が俺に語りかけて来ているのだろうか。

声が聞こえたのは、ライラの方向だ…もしかして悲しまないように彼女が声を真似て出していたのだろうか。


「ライラ…リブラのモノマネでもして慰めようとしているのか、だったら止めてくれよ…」


「やだなあ、ボクはボクですよ、誰でもありません。パルテ様の従者リ・ブ・ラ!ですよ」


「えっ!?ど、どういう事だ!?リブラは今死んだのではないのか!?生きてるのか!?」


「な、なんですか一体どういう事ですか!?」


ルコットも涙ながらに声の主をみて問いかけている。

自分の頭を軽く掻きながら何故だか申し訳なさそうにもう一人が伝えてきた。


「え、えっと…ライラですけど…説明しましょうか?」


俺とルコット二人の声が揃ってライラに問いかけた。


「詳しく!!」


「えっと、私とリブラは元々一人になっていたのはご存知でしょう」


「う、うん…それで?」


「先程手に渡されたのはリブラの核となる魂の一部だったんです、体が分裂しても彼女と魂の回廊が繋がっていたようで、コアを受け取ったときに二人の魂が融合して…彼女の肉体が一旦死を迎えた時に、回廊から魂の全部が私に流れこんできてまた一体化したのです」


「いったいどうやって?魂を移しても死の呪法は消えないとか言ってたじゃないか」


「何をやったのかは、リブラ説明してあげて」


「はいはい!フォルマールに死の呪法を掛けられた時に呪いが魂へ侵食するタイプというのを見分けたんです、そこで以前ライラがやったのを真似して、自身の魂にあるコアを魔法障壁で封じ込めて防御して、コアを彼女に渡して魂同士を再接続して逃げ込む土台を作りました」


「それでどうやって逃げたんだ?」


「死の呪法は肉体と魂が死を迎えないと呪いが消滅しないのが解ったので、呪いが魂を消滅させたと勘違いさせるため、一旦体だけ仮死状態にして呪いが目的を達成したと認識させて、私は魂の回廊を使ってライラの中に逃げ込み呪いを消しました、初めての挑戦で危険な賭けでしたが、彼女が魂の引き込みを補助してくれたおかげで上手くいきました」


「リブラがよくこんな方法を考えついたなと関心しましたよ」


「二人で一緒に過ごしたおかげかライラはボクが狙っている事を直ぐに察してくれたので、魂の移譲がすんなりできました。だからボクは生きてます!というか紛らわしいので、そろそろボクの体に魂を戻してくれますか?貴方天使だから魂を操作するのくらい簡単でしょ」


「確かに紛らわしいですね…それじゃあ!天上帰魂ヘヴンズ・リコネクト!」


ライラの叫びとともに体から飛び出した魂の球体が、リブラの体へと戻っていく。

彼女は静かに目を開けて何事もなかったように起き上がる。


「ふう、ボクはやっぱりこの体が馴染む…ライラの中は居心地が悪いんだよね」


俺はリブラの前に立ち、彼女を鬼の形相で睨みつけていた。

強烈なプレッシャーと視線を感じたリブラは、両手を前に構えて逃げるような態勢で後退りを始める。


「あ、アレッ…パルテ様…なんだか怒ってます…?」


俺は逃げるリブラに両腕を伸ばして背中に手を回し彼女を強く抱きしめて耳元で静かに囁く。


「バカ…本当に死んだと思ったんだぞ、二度と俺にこんな悲しい思いさせるんじゃないぞ…絶対に約束だ」


優しく語りかけた声を聞いてリブラは大粒の涙を頬に伝わせながら声を震わせて謝罪の言葉を大声で叫ぶ。


「ぱ…パルテさばああああぁ、ごめんなざああああいいいぃぃ!」


続けてルコットもリブラに抱きついて、喜びの言葉を彼女へ伝えた。


「リブラさん…生きてて本当によかった…よかったよ…」


三人で涙を流しているそばで、ライラは後ろを向き何かを耐えているような雰囲気を見せている。

恐らく彼女も涙を流しているのを我慢しているのだろう。


「ライラ…泣きたい時は泣いていいんだぞ、我慢するなよ」


「泣いでなんかいないでずよ!」


彼女の声が震えていたので察した、恥ずかしいのかも知れないが、リブラとは姉妹みたいな関係になっていたし、例え知っていたとしても今回の行動が相当危険をはらんでいたんだろう。


しばらく抱き合った所で皆が落ち着きを取り戻し、俺はある決意を彼女たちに告げる。


「ライラ、リブラ、ルコットに頼みがある」


「なんでしょう?」


「頼むから命を無駄にするような事はするな、絶対にだ!危険になるのは俺だけでいい、皆は俺より先に死ぬことを許さない」


三人は揃って答えてくれた。


「わかりました」


「リブラとライラには、もう一つお願いがある」


「はいはい!なんでしょう?」


「お伺いしますよ」


「俺は魔王の力を持つことで強大な強さを手に入れたと思っていた、だがそれは違った。自分が大事に思う人達、愛する人達…守りたいと思う人々を助けることも出来ないこんな力なんて全く意味を成さない」


「何が魔王だ!俺は思い上がっていた!自分たちの周りにいる大事な人達を守り抜ける力を手に入れたい!!だから俺を更に強くするために手助けをしてくれ、そして皆を守るため俺は正教国家と魔王軍を倒す!」


俺の言葉を聞いてライラはある宣言を告げてきた。


「その言葉を待っていました。では、真の魔王覚醒フェーズ2へ移行しましょう」

第一部完結まで毎日更新予定です。(月曜日は休み予定)

残り5話予定ですが、もしかしたらもう少し話数増えるかも?

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