56. 四天王フォルマール討滅戦、リブラの危機
──ルコット視点
私、ルコットとリブラさんで四天王フォルマールが隠れていると思われるドルイムの塔へ乗り込んだ、入口周辺からアンデッドが待ち構えていたが次々と撃破して最上階まで向かう。
どうやらここは周辺確認用の展望塔で完全な一本道だ。
アンデッドが配置されているという事は恐らく読みは間違っていないだろう。
頂上まで後少しまで近づいた所でリブラさんが突如と何かを叫んだ。
「封止境界防壁!」
彼女の叫びと共に塔全体が一瞬輝いたように見えた。
何をしたのか塔の上階へと向かいながら先ほど発動したスキルについて、私は問いかけてみた。
「今の技は何ですかリブラさん!」
「一本道の塔ですから、追い込まれると外に逃げる可能性があります、だから結界を貼って逃げられないようにしました」
「なるほど、逃走ルートを塞いだという事ですか」
「だけど、この結界は私達も逃げられないので、自分たちの首を締めかねない罠でもあります」
「え?自分の意思で解除できないの?」
「はい、目的とした敵を倒すまでは、私達も含めしばらくは誰も外に出られません」
「なんでそんな重大な事相談してくれないの!?こちらも追い込まれてるじゃない!」
「だって、敵を逃がしたくなかったから…そうそう、死中に活ありですよ!」
ダメだこの子、先程は感心したけどパーティの連携が全く取れてない。
自分の判断だけで独断で動く事を戒めないと今後の戦いでも問題を起こす。
彼女の行動を改めさせられる人物、それは一人しかいない。
「ああもう!あとでパルテ様に報告して叱ってもらいますからね!」
「え…そ、それだけは勘弁してください!!お願いします!!」
パルテ様に報告すると言われてリブラは激しく動揺している。
余程、怒られることが嫌なのだろう、ここは一つ条件を出してやる気を出させるとしよう。
「フォルマールを倒せたら一考します、頑張ってください」
「わかりました!絶対に退治します!!」
塔の最上階へ近づいた所で大柄な騎士のアンデッド二体が待ち構えていた。
恐らくフォルマールの親衛隊みたいな物だろう。
「さて、リブラさん、この状況どうする?」
「え?強行突破ではないんですか?」
「いや、明らかに今までの敵とは違う相手です、ここまで登ってくる間に私も体力をかなり消耗しました、残りは温存してフォルマールと対峙したい思惑もあります」
「万物溶解のリキャストは出来ましたけど使います?」
「いえ、それは切り札に取っておきましょう、他に使える魔法やスキルであの敵を倒せそうなものは使えないですか?」
リブラさんは顎に手を当てて何かを考えているようだ。
ここで楽に倒せる手段があれば体力も温存できるし、フォルマールとの決戦に全力で挑める。
だが彼女の口から出た言葉は驚く内容であった。
「何もないですね、強行突破しましょう」
私は思わず膝から崩れ落ちそうになった。
期待してみたけど、こうなったら強行突破しかないのか。
「あ、ちょっと効果あるか解りませんが、ひとつ思いつきました。呪縛解体」
リブラさんが私の武器に何かのスキルを付与してきた。
「これは?」
「魔法を解体するその武器に術者の呪縛を解体する能力を付与してみました、もしかするとアンデッドにも効くかもしれません」
「わかった、やってみるよ」
こうなったら待ち構えている敵に奇襲攻撃だ。
私は並んでいる二体の内一体に全力で懐に飛び込む。
敵がこちらに対して振るう剣を避けながら相手の腹部にアルカナハンマーの強烈な一撃をお見舞いして効果を見極める。
攻撃が直撃したアンデッドは動きを止めた、これは術者からの不死状態として召喚された術式を破壊して能力を無くすのか?
「次だ!」
考えてる暇はない瞬間的に考えてもう一体にも振り返りアルカナハンマーの一撃を喰らわせる。
先ほどと同様に術者に掛けられた呪縛を解き、アンデッドの動きを止めた。
「リブラさん、これ使えるよ!」
「そうですか、ぶっつけ本番でしたが上手くいってよかったです」
護衛として構えていた二体を倒し塔の最上部にある展望台ヘ向かう。
開けた場所に到着すると漆黒のローブを纏い、手に赤い宝珠を抱えた暗黒のオーラを放つ魔道士が待ち構えていた。
「クックック…まさかここが見つかるとはな、何者だ貴様ら?」
相手の問いかけに何も隠さずに右手を左下に向け立派な立ちポーズを構え大声でリブラさんが叫んだ。
「ボクはパルテ様の第一側近リブラです!そしてこちらはルコットさんです!」
「いや、少しは隠しましょうよ…」
「貴様がフォルマールか!?探したぞ大人しくボク達に討伐されなさい」
「貴様らごときにに我を倒すことは出来まい、かかってくるがよい!」
相手は怪しい妖気を放ちながらこちらを威圧している。
だが、私は違和感を感じていた、それは以前見た四天王のヴァラクほど敵からの重圧や威圧感を感じない。
何故だ?明らかに今までの姿とは異なるし、こちらが本体と思えるが実体では無いのかも知れない。
相手が油断している間に、先手必勝と考えた私は、風を切りフォルマールの肉体へ一撃を打ち付けた。
相手は魔法防御にて攻撃を防ぐが、私のアルカナハンマーは容易に破壊して本体に攻撃をヒットさせる。
「グアッ…こ、この攻撃は…なんだ!?」
相手が苦しむ声とともにフォルマールの動きが止まり、手に持っていた水晶体が地面に落ちて部屋の片隅に転がっていく。
「これは、遠隔操作の分身体!?本体はどこ?」
先程の分身体が崩壊して新しいフォルマールの体が出現する。
「なんだ、その武器は…?我が分身の動きを止めるとは…」
私の思った通りこのフォルマールやはり分身体だ。
このままでは…無限に現れる敵と相手をするだけで体力を消耗してしまう。
本体を見つけないと負ける、一体どこに隠れている?
そんな中、一つだけ違和感を感じていた…私は壁際に転がっていた赤い水晶体に目をつける、もしかすると…。
「これが本体か!?」
体を翻し、眼の前の分身体を無視して赤い水晶体に向けてアルカナハンマーの強烈な一撃を食らわせた。
「なにっ、貴様あああああああ!」
赤い水晶体に大きなヒビが入り、相手の叫び声と共に闇のオーラが吹き出して私に襲いかかってきた。
その瞬間、突然誰かが私の体を強い力で突き飛ばした。
──ドンッ
突き飛ばされた状態で見えた、フォルマールの結晶体から暗黒の塊がリブラさんへと襲いかかり彼女へ憑依してしまった。
リブラさんは何らかの攻撃を受けてその場に倒れ込んでしまう。
「リブラさん!!しっかり!この術は…貴様何をした!?」
自身の結晶体にヒビが入り崩壊していく中、フォルマールは私達に告げる。
「クックック…この術は私の死とともに発動する、相手の命を奪い取る呪法だ…絶対に解除不能な死の呪い、我ら魔族は滅んでもまだ替わりはいる、共に死ぬがよい…グハァ!」
断末魔と共にフォルマールの結晶体は粉々に砕け散った。
なんだって!?解除不能な死の呪法だって!?
「リブラさん!しっかりして!」
「初めて仲間の役に立ちましたよ…これでバルテ様に誇れます…」
私の油断を見抜いてリブラさんが身代わりに死の呪いを受けてしまった。
どうする?本当に解除方法はないのか!?いやライラさんの元へ連れて行くしかない!
私は、彼女を背中に担ぎ全速力で儀式場まで全速力で走り出す。
彼女を絶対に助けたい、その必死な思いが披露した体に力を与えてくれた。
筆が乗ったので金曜日投稿、土曜日も投稿予定です。
今週は土、月、水、金、日更新予定です。




