55. ルコットとリブラが大苦戦!フォルマールの正体を探せ!
俺達が地下で魔王軍統括のシエルと戦っていた間、地上でも戦いが繰り広げられていた。
──ルコット視点
パルテ様に魔王軍四天王と戦ってくれと言われ、スタインブッケ領地へ連れてこられた。
お願いを断わりづらく承諾したが、私自身の力が四天王と渡りあえる程の実力が無いと感じていたからだ。
そして今現在、四天王と戦おうとしている。
果たしてどこまで私の攻撃が通じるか解らないがやるしかない。
「クックック…たかが小娘二人で吾輩と戦おうとは、二人まとめて氷漬けにしてくれる」
フォルマールは圧倒的強者が余裕で相手を屠れるような態度を取っている。
余程自分の力に自身があるのであろう、初手はどうするこちらから仕掛けるか?
戦略をどうするか考えていたホンの数秒間で突然リブラさんが叫びだす。
「ボクの魔法で溶けてしまいなさい、万物融解!!」
え?リブラさん何も打ち合わせなしに単独攻撃開始!?
開幕攻撃連携の打ち合わせしようと考えていたが、彼女は有無を言わさず攻撃を初めてしまう。
「なんだ!?この攻撃…ぐあああああああ!」
リブラさんの魔法が四天王フォルマールを直撃して一瞬で肉体が融かされ敵は消滅してしまった。
もしかしてこれで終わり?私の出番全くなしで終了なの?
というか連携も決めずに攻撃始めるのはよくないでしょ!
リブラに行動の真意を問うため攻撃について窘めた。
「リブラさん!いきなり攻撃するのはダメですよ!」
「何でですか?相手にスキがあったから攻撃するのは定石ではないのですか?」
「いやいや、相手の攻撃や戦術を見極めずに戦いを始めるなんて無謀過ぎますよ!」
「その考えついては、ボクは賛同できかねます。僅かな油断から戦いの勝敗を決する事もあります、一瞬の判断が出来ず足踏みして相手の行動を待つのは敗北の確率を高めるだけです」
私は彼女の言葉を聞いて驚く。
リブラとライラが二人に分裂してからは、元からいた彼女の事を見誤っていた。
日々パルテ様と睦み合うだけで彼女は何も考えていないと思っていたがここまで戦いに対する戦術を考察していたとは。
何も考えずに単純に攻撃しただけではない。
相手が油断している時に先手を撃つ、一瞬の判断が勝敗を決める事がある、確かにその通りだ。
自分は何時も慎重に事を運び過ぎているのではないのか、こんな判断の遅さでリーダーとしての役目が務まるのだろうか。
彼女の指摘に私は何も言えなかった、反論する言葉が思いつかなかったのだ。
「まあ、今の攻撃は何も考えてませんでしたが」
リブラさんの言葉を聞いて私は激しくひっくり返りそうになった。
あまりの突拍子もない告白に全力で突っ込まざるを得なかった。
「何も考えてなかったんかい!!先程の一手にそこまで考察していたのかと感心して損したよ!」
「でも慎重なだけではダメですよ。時には大胆に行動しないと、そう…パルテ様に熱烈なキスを求めるような大胆さを!」
リブラは何かを思い出したのか自分自身に腕を絡めて何かを抱きしめてるような雰囲気で体をクネクネとさせている。
「よくわからないな…貴方という人は…」
「解っていることはありますよ、ボクがパルテ様を猛烈に愛しているという事が!あの方の命令ならどんな困難でも乗り越えて見せます!」
「いや、そういう事ではないんだけど…」
二人で他愛もない会話を続けていたが突如として周辺に不気味な声が響き渡る。
「クックック…まさか我が分身体を瞬時に消滅させるとは、だがこれはどうだ!」
掛け声とともに新たにフォルマール四体分裂して正面に現れた。
強さも敵の雰囲気も変わらない、全くの同一体に見える。
どうする?こちらから攻撃をしかけるべきか、リブラさんが行った先程の言葉が胸に刺さる。
ダメだ、迷っている場合ではないここは先に攻撃するべきだ。
彼女の魔法でもう一度消滅させてもらい、次の一手を考えよう。
「リブラさん魔法よろしく!」
「あ、万物融解は、魔力の蓄積に時間がかかるので連発出来ないです、他の方法で行きましょう」
「そんな切り札を開幕で使っちゃったの!?」
二人で攻撃の問答をやり取りしている間にフォルマールが先手を打ってきた。
「我が魔法にて氷漬けになるがいい!!くらえ氷結牢獄!」
相手が繰り出した魔法により私とリブラさんが氷の部屋に閉じ込められた。
まずい!このままでは氷漬けにされる!そう判断した私は咄嗟に体が動きだす。
「砕けよ!魔力崩壊!!」
私は、魔法を打ち砕くアルカナハンマーの一撃を氷結牢獄へ放った。
周囲を固めていた氷は全体に亀裂が広がり、あっという間に粉々に砕け散る。
相手は、自身が放った氷結牢獄を軽々と打ち砕かれ驚愕していた。
「なんだと!?我が氷結牢獄を打ち破るとは…その武器、魔法を破壊するのか!?」
いける!そうだ、私はアルカナハンマーで魔法を砕けるんだ。
魔法使い相手には攻撃手段としてかなり有効打なのは間違いない。
「これなら相手の魔法相手に戦える!」
四天王相手に戦えると感じていた私だが、隣にいるリブラさんは冷静に状況分析を始めていた。
「いえ、これは楽に勝つだけの魔法で実際にはもっと他の手もあるでしょう、四天王と呼ばれる人物がこれだけの攻撃しか持っていないとは思えません」
彼女の指摘ももっともだ、これだけで四天王と呼ばれるはずはない。
「なかなかやるな…ではこれではどうだ!幻影氷槍激」
フォルマールは全員で氷の槍生み出し私達に撃ってきた。
アルカナハンマーを使って撃ち落とすが終わりがなく次々と繰り出される槍に対してこちらの体力が削られていく。
このままではマズイ、そう感じた時リブラさんが動き出した。
「絶対防壁!」
彼女の防壁により魔法の槍が全て飲み込まれて消えていく。
「リブラさん!助かる」
「絶対防壁は、全ての攻撃を防ぎますが効果時間が短いのです、時間にして二分程度です」
「このままじゃジリ貧になるのね、何か逆転劇はない!?」
「フォルマールの分身体は、実体のように見せかけていますが恐らく全て偽物です、どこかに心臓となる実体があるはずです、それを見つけないと勝てません」
「実体は、この近くにいるの!?」
「ここまで強力な魔法を繰り出せるから、近くに存在していないわけがないです」
探せ!どこだ実体は、相手が繰り出した分身体の出現法則、周囲一体に響き渡る声から導き出せ!
地中から?いやそれだと声が聞こえない、この辺り一帯を見回せる場所。
高い場所…解った!あの塔の上だ!
「リブラさん!敵の場所は恐らくあの塔の上です!」
「わかりました!向かうため一時的に敵の魔法を止めます!魔力妨害!」
リブラさんのスキルにより周囲一体に対して魔力が乱れ始める。
妨害効果によりフォルマールの全員の動きが止まり、スキが生まれた。
「行こうリブラさん!」
「わかりました!」
私達二人でフォルマールが潜伏していると思われる、ドルイムの塔へ乗り込んだ。
今週は木曜日、土曜日更新予定。
もしかすると金曜日もかも、第一部完結まで残り7話予定です。




