39. 魔王様覚醒!?イケおじ魔王は蘇る!?
俺の体は色んな人達を助けるために魔族召喚を使いすぎたため闇の体が消滅しようとしている。
俺の肉体を覚醒して復活させるために、五大精霊の加護を受けた人物を探すべく全員を集めて会合を開いた結果偶然にも全員揃っていることが解った。
風のリア、水のティナ、火のヴァレリア、土のルコット、雷のセレネとまるで神々の采配だな。
復活の儀式を行うために事前準備と打ち合わせをリブラが始めてくれた。
リアとティナを大樹の近くに呼んできて全員に復活の儀式について説明を始めている様子が伺える。
聞いた所によるとやり直しが効かない一発勝負なので、全員で入念な事前リハーサルが必要だそうだ。
森の大樹近くに儀式を行うため精霊魔法陣と復活魔法陣を構築済みなのだが、各人の適性をさぐるため一人ひとりの精霊力を使ってもらい調整するようだ。
「魔法陣の中で、陣に手を置いて魔法を使う時のように送ってみてください、そう…そうです」
皆に魔法陣で精霊力を使う様子を見て、リブラが何かをメモしながら呟いている。
「他の人達に比べて土の魔法力が少し弱いですね…」
リブラの言葉を聞いてルコットが若干不満げにリブラに問いかける。
「私の力が弱いってこと!?」
「いえ、ルコットさんが弱いわけではないんです、ただ他の人達の力が段違いに強すぎるので、ノームの力が押されて弱くなってしまうのです、大丈夫!私の方で補助できるように調整します」
「そんなに違うの?」
「二人は精霊で、もう二人は龍魔人と勇者ですよ?下限が高すぎるんです」
「そうか、今度手合わせして貰おう」
などと会話しながら淡々とリブラは復活の準備を進めている。
魔法陣に何かを刻んだりして、力の調整をしていたりしているようだ。
これから復活の儀式を始める前にひとつ疑問に思った事があり、リブラに問いかけてみた。
「そういや魔王バルテオスの肉体を取り戻した姿って誰か見たこと無いのか?絵とかで写したような画像とかないのかな?」
「バル様のお姿ですか?図書に近影の自画像が保管してありますので魔導書に映す事ができます、お見せしましょうか?」
「ああ、復活した姿がわからないと困るだろう、見せてくれないか?」
二人のやり取りを聞いていた皆が集まり、魔王の姿を一目見ようと周囲一同が集まってきた。
「えー!私も見たいです!」
「アタシも見たいぞ」
「見せて見せて!」
周りに居た女性陣が一斉に円陣を組むような形でリブラを取り囲んできた。
皆からの要望でリブラは魔導書を開き魔王バルテオスの姿を本に投影してくれた。
投影された姿を見て俺は思った、モノクロ画像だけど顔の輪郭や眉毛の力強さ、紙は肩まである長髪だが中々渋いイケメンというかイケおじみたいな感じじゃないか、今からこの姿で俺は復活するのか。
「へえ…結構いい男じゃない」
「シブい感じですね、私は好きです」
「いいですね!これなら子作りも捗りそう!」
何か一人とんでもないこと言ってるエルフが居るが気にしないことにしておこう。
こんなのは彼女の平常運転だし、気にしていたらリブラの反感を生むだけだ。
復活した姿はわかった、後は儀式の準備が完了するまでだな。
何度も何度も練習をしてやっと全員のタイミングが合ってきた。
このまま上手く行けばそろそろ儀式の実施だろうか。
「ではみなさん、精霊魔法陣の上に立ってください、発動のタイミングは私が合図します、バル様は私の正面に立ってください」
指示された通り、リブラがいる魔法陣の中に入り彼女の前に立つ。
「ここでいいか?」
「はい、大丈夫です」
全員が準備できたのを見届けて、リブラが最終確認として全員に決を取る。
「みなさんいきますよ!準備はいいですか?」
「風、大丈夫です」
「水、わらわも行けるぞ」
「火、アタシもいけるぜ!」
「土、私も大丈夫です!」
「雷、問題ない、大丈夫だ」
「では始めます!大樹のマナよ地に落ちて五大精霊の力を持つ全員の中に力を宿せ!」
リブラの掛け声と共に大樹のマナ結晶から一筋の光が地上へと流れ、続いて五人が立っている魔法陣に向かっていく。
まるで花火の導火線を伝っていくような綺麗な五本線となり待ち構えている皆の元へと進んでいき全員の体に流れ込む。
「くっ!」
ルコットは体に浸透するマナの力で若干苦痛を秘めた声を出す。
それと比較して他の四人は余裕そうだ、これも潜在能力の高さによる差なのだろうか。
充分にマナの力が渡りきったところで、リブラが合図を出す。
「今です!精霊力を私の方に送ってください!」
全員が一斉に地面に描画された魔法陣へ手のひらを打ち付け、体に流れているマナの力を精霊力にしてリブラへと送り出す。
全ての精霊力を体に受け止めたリブラを眼の前で凝視しながら彼女が起こす行動を待ち構える。
「それではいきます!双極反転!」
リブラの掛け声と共に掌を広げ両手を俺の体に重ねて力を送り込む。
圧倒的なエネルギーが両手を通して高い滝から落下する水のような勢いで流し込まれてくる感覚についうめき声のような大声をあげてしまう。
「うおおおおおおおお!!」
圧倒的な量の力が自分自身の体に流れ込み手足の先まで震えるよう感じる。
体が出来ているような不思議な感覚を全身で感じながら俺の意識は飛んでしまい何もわからなくなった。
──ここからは皆に聞いた話を纏めた回想だ。
リブラが両手を当てて力を流し込み魔王の体が大きな光に包まれて人の形を作り出す。
実体を取り戻そうとした肉体が地面に倒れ込んで光が徐々に消えていく。
時間が経過し全身を覆っていた光が徐々に薄れながら魔王が実体化した姿を表す。
出現した人物を見て、その場に居た一同はアルタイルの大森林全土に響くくらいの大きな叫び声を挙げて一斉に驚いた。
「えええーーーーーーーーーーーーーっ!?」
いったい、復活した体はどうなったのか、次回に続く。
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