29. 究極の選択、ドラゴンの親子を俺は助ける!
リブラの調査により、バルザード達は龍殺しの剣 (ドラゴンスレイヤー)による斬りつけにより死の呪いが掛けられていることが解った。
この呪いは龍の肉体にのみ作用し消すことが出来ないと解り、解決策として召喚した魔族にバルザード達を憑依させ新たな魔族として生まれ変わらせる方法を考えた、だがこれには相手の同意が必要だ。
バルザードに配下に入ることを進言し、相手の反応を見ることにした。
『我が貴様の支配下に入れだと!?この龍王バルザードが!!』
「順を追って説明するが、お主達は竜殺しの剣による死の呪いが体を蝕んでいる、このままでは命を落とすのは間違いない」
『死の呪いだと、そんな事が本当にあるのか?』
「実際に自分の体で感じでいるだろう、力が弱まっているのを、そこにいる赤龍の命もこのままでは消えゆくだろう」
『……』
「龍殺しの呪いは、龍の肉体であるかぎり解くことが出来ない、このままでは龍殺しの呪いで命を落とす、そこで一つだけ助かる可能性がある」
『…その可能性とは何だ?』
「私が召喚をした魔族の器に二人を肉体ごと憑依させ龍の魔族…さしずめ龍魔人とも言うべきか、新しい種族として生まれ変わらせて龍殺しの呪いを無効化させる、すなわちそれが配下になれという理由だ」
『そんな事が可能なのか?』
「我も試したことはない、だがこのままでは死を待つだけだ、一つでも可能性があるなら挑んでみるべきだろう?龍の姿を捨て新たな種族になる、龍族の誇りを捨てろということだ」
バルザードは考えているようだ、それはそうだ誇り高き龍王の姿を捨てて魔族になり、しかも他人の軍門に下る事、死ぬか新たな魔族になるか究極の選択を突きつけているようなものだ。
そう簡単には決められないだろうが、時間がないのも確かだ。
しばらく時間が経過した後、後ろの赤龍を見据え静かに答えを俺に伝えた。
『承知した、貴様に望みを託してみよう、我が娘ヴァレリアと共に救ってくれ』
なるほど、後ろの赤龍は娘だったのか、親が子を守りたい気持ちはなんとなくわかる。
これは何とかして助けてやりたい、そう思った。
「引き受けた、お主達の命我に預けよ」
彼らの意思を受け取り、俺は魔族召喚の儀式をやろうと思った。
だけど、あることに気付いたのでリブラに確認してみた。
「ところで肉体憑依ってどうやってやるんだ?」
リブラが俺の言葉を聞いて激しくズッコケた。
そういやアイデアを思いついだけど、どうやってやるのかさっぱり解ってなかった。
「バル様知らなかったんですか!?」
「あ、ああ…肉体憑依のアイデアは思いついたけど、そんな事出来るスキルとか無いんだよな」
「全くもう…解りました調べます…」
リブラは本をサーチして肉体憑依の手法について調べているようだ。
彼女の情報量は半端じゃないのできっと何か方法があるだろう、ずっと本のページが捲られている。
ある程度ページが進んだところで止まり、見つかったようだ。
「見つかりました、肉体転移のスキルとして霊肉転換という方法があります」
「それはどういったものだ?」
「このスキルは他社の肉体を霊体へと変化させるスキルです、その状態で魔族の肉体に転移させましょう」
「よし!それだ!リブラ、アシストしてくれ!」
「わかりました!」
魔族変換についてバルザードへ最終確認を行う。
「バルザード準備はいいか?」
『我の意思は変わらない、一度決めたのだお主に託すが一つ頼みがある』
「なんだ?」
『娘に付けられた傷を我が肉体に移すことは出来ないか?』
「リブラ、肉体転移時に他者の傷を移すことは出来るか?」
「え、魔族形成の時にバル様の意思で出来るかもしれませんが…」
「そうか、バルザードよ、出来るかわからんがやってみる」
『頼む、娘の肉体がかなり危ない状態なのだ』
「わかった、急ぐべきだな、いくぞ魔族召喚!男性と女性の肉体二人分だ」
俺のスキルを発動させ、魔族召喚を発動させる。
魔族召喚で出現した二つの魔法陣に俺の身体から闇の力が流れ込み徐々に肉体の器を形成していく。
完全に肉体の形が出来上がった状態でリブラに合図を送る。
「リブラ出来たぞ!」
「ではいきます!霊肉転換!」
リブラの掛け声と共に龍の下に巨大な魔法陣が現れる。
巨大な龍の体全体が光に包まれる、そのまま徐々に収縮して球体に変化していく。
二人の肉体が魂の状態に転換されてのか、リブラが合図を送る。
「バル様出来ました!二人を肉体へ移します」
二つの巨大な光の玉は、闇で出来た肉体の器へ憑依していく。
固着が完了する前にリブラが教えてくれた傷を移す方法を試してみる。
「娘ヴァレリアにある、数々の傷をバルザードの器へと転移せよ!」
闇で出来た肉体からバルザードが憑依した体に光の一部が移る。
上手くいったかわからないが出来た可能性は高い。
よし、これで最後の仕上げだ。
「新たな魔族として生まれ変われ!龍魔人バルザードとヴァレリア!」
俺の掛け声と共に二人の肉体に色が形作られて新たな魔族が出現した。
バルザードは銀髪の渋いオジサン、ニヒルな顔をして背中に巨大な龍族の羽を備えて全身が筋肉質でいかにも強そうな魔族だ。
もう一人の娘は、首下より長い赤髪で獅子のように感じさせる、顔は少し大人っぽい感じで気の強そうな表情をした美人な女性そんな雰囲気を感じさせる、肉体は出るとこは出てとてもグラマーな感じだ。
衣装は一瞬に中世鎧のように見えるが、胸部は水着のビキニみたい露出多め、下はパレオを着たような感じでアーマーがついている、こちらも結構露出度が高い。
なんでこんな衣装になるのか謎だが、俺の意思が反映されているのだろうか?
完全に肉体が出来上がったところで、龍魔人バルザードが目を覚まし立ち上がった。
だが何か様子がおかしい、フラフラとして力がはいらないような感じだ。
突如としてバルザードは叫び声をあげる。
「ぐあああああああぁっ!」
大きな声と共に全身に切り傷が現れ血を吹き出してその場に倒れた。
娘の傷を全身で受けてしまったため、二人分の怪我を全身に受けたも同然だ。
「これはヤバイな…ティナ!回復魔法は使えないか」
「遣えるぞ、やってみようかの…水浄再生!」
ウンディーネのティナがバルザードのそばに寄り回復魔法をかける。
しかし、回復魔法が発動したが一瞬で消えてしまう。
「どうした?ダメなのか」
「そうじゃな、肉体が変わっても龍族の火精霊による加護で水魔法に対する耐性があるようじゃ、わらわの回復魔法ではコヤツの回復はできんな」
「他に回復手段はないか?」
「あるには、あるが恐らく断られるじゃろうて」
「断られる?どういう事だ」
「リアの風精霊による回復魔法であれば、治療できるじゃろう。だがなリアとバルザードに確執があるのじゃ」
「何があったんだ?その確執とは」
「今から千五百年前に、バルザードがアルタイルの大森林を燃やし大被害を被ったのじゃ、リアとわらわの力で大樹のみを何とか防御したが、奴の力は強大で森は完全に失われた、彼女はバルザードを許していないので手を貸さないだろう」
過去にそんな出来事があったのか、ということは森を復元するのに相当な年月がかかったのだろう。
森が復元するのに千年程とか言ってたのはこの事を暗示していたのか。
だが何もしないわけにはいかない、俺はこの二人を助けると約束したからだ。
「リアの元へ向かう、リブラもう一人のヴァレリアは村に連れて行くから皆の力を借りてどこかに寝かせておいてくれ」
「わかりました、おまかせください」
ティナの言うとおり断られるかもしれない、ダメ元だがリアの元に向かい頼み込んでみよう。
そう思った俺は魔王の手を使い、二人を抱え上げドイラム村とアルタイルの大森林に向かうことにした。
隔日(火、木、土) の21時頃更新予定、筆が乗ったら他の日も投稿します。
月曜日は投稿お休みです。




