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転生最強魔王の引退物語 ~最愛の部下と田舎でのんびり暮らしたい~  作者: 茶巾丸
第3章 魔王受難編

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21. ガンギルダ近衛騎士団への魔王討伐依頼

村に移住してきてくれたルコット達は、一週間程で木材工房を立ち上げて木の加工を始めた、

流石は熟練職人達の集まりだ、仕事が早いのは職人冥利に尽きる。

準備ができたところでルコットが必要な建物について確認をしに来た。


「それで、魔王様はどんな建物が必要なんだい?」


俺は考えていた、今の作物を収穫している保管庫が小さくてこれから作物の収穫が増えると収まらない。

まずは、今後の食料増産計画にむけて大きい食料倉庫の作成依頼だ。


「まずは、収穫した作物を蓄える倉庫が欲しい、箱に収納して大量に保管できるような地下室もあるとありがたい」


「わかった、今後の食料増産も含めて大型の倉庫を設計するよ」


「あとは住居が欲しいな、これから人員をどんどん増やしていく予定なんだがそろそろ空き家も少なくなってきたし、沢山の人が住める住居の建築をまかせたい」


「最後に製粉所と蒸留酒を作る工房かな、ドワーフ達にお酒を作る約束してたから少しずつ進めていきたい」


「承った!私たちに任せておきなさい、住居はお手の物だ」


ルコットは、工房にある図面台に線を引き建物の構造を考えているようだ。

彼女に新しい建物の件を頼み、今度はリブラと打ち合わせだ。


「バル様、要件とはなんでしょうか?」


「実はな、村が豊かになるのはいいんだが、ここの作物が順調に育っている事がわかると野生動物や、人間が盗みに来る可能性がある、そこで村全体を防衛する障壁みたいなものが作れないか?」


「バル様…正直に申しますが、私の今の魔力では村全体を守れるような防御障壁はつくれません」


「そうか、確かに広いから全体を守るのは厳しいよなあ、何かいいアイデアはないか?」


「私のスキルで生物を感知出来る千里眼の瞳(アイ・オブ・アルゴス)というのがあります、これは目に見えない細い糸のようなものを張り巡らせて、こちらに触れたものを私に通知するというものです」


「そんな便利なスキルがあるのか?」


「はい、ただ一つ問題が…これは全ての触れた生物を通知するので私が煩くなってしまいます」


「なるほど、それは確かに鬱陶しいな…例えばそれは特定の生物だけに絞れないのか?」


「あ、そういえば絞ることができます、どうすればよいでしょうか」


「とりあえず、人間と魔族のみ感知できるようにしてくれ、当面はそれで大丈夫だ」


「わかりました、確かにそれなら見つける範囲が絞られますので煩くもないですね、では今から張ってきます!」


「すまん!よろしく頼む!」


リブラは手を振ってドイラム村の異入口付近に向かっていった。

村にそんな差し迫って敵が来るとは思っていないので、当面は魔族と人間だけで大丈夫だろう。

この件はリブラに任せて農作物の出来高を見るため農場へ向かうことにしよう。


だが、俺はまさかガンギルダが討伐隊を向かわせる事など考えもしていなかった。


──場所は代わりガンギルダ王国


王国の最奥にあるガンギルダ王城内、天を突くほどに高い天井を誇る「謁見の間」では、周囲から光が差し込み深紅の絨毯の上に、複雑な幾何学模様の影を落としている。

その中心を、白金の鎧に身を包んだ一団が、規律正しく跪いていた。


玉座に深く腰掛けた国王は、老練な眼差しで眼下の女傑たちを見下ろしていた。

眼前の女性騎士隊へ、威厳を持ちながらガンギルダ王バルトスは彼女たちへ面を上げるよう伝えた。


「面を上げよ、皇女親衛隊たちよ」


騎士隊の中心、茶髪を短く刈り込んだボーイッシュな騎士、凛とした美貌には迷いがない眼差しは備える女性は、騎士隊長のクラリス。その右隣には、一際目を引く華やかな金髪の縦ロールを揺らす女性騎士、貴族的な気品と気高さをその巻き髪に湛えている女性は、騎士隊の一人リィン。


更に中心から左隣で静かに目を伏せているのは、流れるような青い髪を高い位置でポニーテールに結った娘。その優しげな面差しは、騎士隊の慈愛の存在女性騎士ミラ。続いて、その右隣には銀髪の長髪を後ろで一つに束ねた、怜悧な印象の騎士、歴戦の戦士を感じさせるその娘は騎士隊ユーニ。


一番左端、首元までの長さの桃色の髪を揺らしているのは、隊の中で最も幼さの残る顔立ちをした少女騎士イザベラだ。


隊長のクラリスが顔を上げると、その凛とした瞳が王の視線を真っ向から受け止める。


「急な召集、大義である。集まって貰ったのも他ではない、実は我が王都より離れた地にあるドイラム村に、『魔王』を名乗るものが現れた」


王の言葉に、騎士たちの間で緊張が走った。

近隣に出現するような単なる魔物ではない。世界を混沌に陥れる災厄の化身と言われる魔王が現れたと知らせにのだ。


「ただ、その物は魔王を名乗っているが、実際に目にした騎士たちは生き残って帰ってきた。もし本当に魔王なら全ての人間を殺戮するであろうがそうではない、恐らく魔王の名を騙った魔族の類だろうと推察される」


王は立ち上がり、杖を掲げた全員に命じた。


「皇女近衛騎士隊長クラリスよ、そなた達全員の力を持って魔王を名乗るものを討伐、そしてドイラム村の奪還を命ずる」


クラリスは力強く胸に拳を当て、誓いの言葉を口にした。


「御意!我ら皇女近衛騎士隊は、見事魔族を討伐し、王国の安寧を取り戻してご覧にいれます。全員出陣だ!」


彼女の号令と共に、騎士たちは一斉に立ち上がり、力強い足音を響かせながら謁見の間を後にした

ただ、一人残ったクラリスは、国王に対してひとつ願いを申し出た。


「国王様、この任務が終えた曉には、皇女様との面会についてご考慮いただけますでしょうか?」


だが国王のそばにいた司祭が直訴に対して声を荒げる。


「無礼だぞ!国王様に直接歎願と何事だ!」


だが国王は左手で司祭を静止するようにたしなめ答える。


「よい、解った、考慮しよう」


「ありがたき幸せ、それでは失礼いたします」


謁見室の扉が閉じられ国王の側にいる、大臣の側にいる司祭がニヤリと笑いながら国王へ話しかける。


「これで皇女派閥の厄介払いが出来ますな、全員死ねばそれでよし、仮に討伐してきてもまた色々理由を付けてまた拒否すればいい、皇女は大切な贄なのだからな」


「そうだな、貴殿の言う通りだ、娘には我が目的の実現に不可欠だからな」


廊下に出てしばらくした後、クラリスは廊下の壁に拳を打ち付け悔しそうな表情を見せる。


「たかが司祭ごときが、増長しおって今にみておれ…」


──場所は騎士団詰所の会議室


先ほどの皇女近衛騎士達の元へ隊長のクラリスが戻ってきた。

騎士達は先ほどの命令に異論があるのか隊長に対して意見を進言してくる。


口火を切ったのはリィンだった。


「隊長!このまま国王の名に従いドイラム村に向かうのですか!?」


「国王の命だ、逆らえないことは解るだろう」


「ですが!我々の使命は皇女殿下の護衛が任務のはず、ただの討伐隊のような命など到底承服できかねます!」


二人のやり取りの中、ミラが嗜めるようにリィンをおさえる。


「まあ、そう言うな隊長も何か目的があっての事なんだろう」


「この任務が終わったら、皇女殿下と面会できるよう約束を国王様に取り付けた」


皇女との面会を話すと全員が驚きを見せた。


「本当ですか!?」


「ああ、だから何としてもこの任務を成し遂げて皇女殿下の幽閉先にて面会させてもらう!皇女様は我らガンギルダの唯一の光だからだ」


「では、ドイラム村出発に向けて準備して参ります!」


こうしてガンギルダ国の皇女騎士隊は、ドイラム村の魔王討伐に向けて動き出した。


隔日(火、木、土) の21時頃更新予定、筆が乗ったら他の日も投稿します。

月曜日は投稿お休みです。

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