19. ドワーフ国と交易について交渉しよう
俺はドワーフ達に借りた変な杖に隠された能力により苦戦しながらも四天王ヴァラクを討伐できた。
討伐後にドワーフの街へ戻ったところ皆が拍手で大喝采してくれた。
──ウオオオオオオオオオ!!
称賛してくれる皆に対して俺は手を上げて応えた。
今までずっと魔王軍に苦戦していた彼らにとって非常に喜ばしい出来事なのであろう。
俺が魔王軍を討伐したことにより全員の士気が上がっている気がする。
そんな中、真っ先に駆けつけてくれた騎士隊長のルコットが俺の勝利を称賛してくれた。
「すごいぞ!貴方は英雄だ!」
彼女は俺の手を強く握り飛び切りの笑顔で喜んでいる。
なんだろう、後ろにいるリブラの視線が若干鋭くなっている気がする。
闇のオーラを強く感じる…うん、気のせいだろう多分な…。
街に戻った俺達は、ルコットに連れられて再度七賢人の元へ報告に向かう。今回は、直ぐに会談が始まりドワーフ国と今後について話し合うことになった。
最初に会談したリーダーである、政治のボーマンがまずはこちらを称えてきてくれた。
「よくぞ魔王軍を撃退してくれた、バルテオス殿」
「かなり苦戦したがな、こちらの杖を貸してくれたことで四天王を討伐できた」
「それは五槍の杖か、まさか使いこなせる者がいるとはな…」
「この杖について知っているようだが、誰が作ったんだ?皆知らないとか言われていたが」
ボーマンは自身の髭を伸ばしながら思い出すように語りだした。
「その五槍の杖は、昔この国で随一の名工『伝説の鍛冶師バルガス』が作ったものだ、彼はとても変わり者でな…この国で様々な物を生み出し貢献してくれたのだが、賢人会に推薦したら国に仕えることを拒否してここを去ってしまったのだ、故に彼の名前は除名され我々しか知らない」
なるほど、伝説の名工と呼ばれる鍛冶師が作ったのか、それなら色んな機能が含まれているのもなんとなく納得した、だけどこの杖がもつ本来の力はあれだけではないだろう、もっと色々調べたくなってきた。
俺の武器として今後も使いたいから交渉してみるか。
「この五槍の杖を我に譲渡していただけないだろうか、今後の脅威に対抗するため必要だ」
「この国に伝わる伝説の杖をか?しかし売れ残りとは言え国宝物の武器だからな…」
「無論、無料とは言わない、今後またドワーフ国に脅威が迫った時に我が戦いに加勢する、その条件でどうだ?」
七賢人は俺の言葉を聞いて議論を始めた、伝説の武器を譲渡するかこの国の安泰を掛けて強力な助っ人の後ろ盾を手に入れるか、報酬としては大きいが全員が選ぶべき選択は明らかだ。
「解った、その杖を貴殿に譲渡しよう、そしてこの国の後ろ盾になって欲しい」
「相わかった、この件については交渉成立だ、約束は守ろう」
ひとまず武器を手に入れる件では両方合意できた。
次にドイラム村との交易について交渉しよう。
「次は最初に交渉をした三つの要求だ、まずは我がいるドイラム村とドワーフ国で交易を結んで欲しい」
「交易については問題ないが、どんな物が提供出来るのだ?」
「今は村で新しい農作物を育てている、今後作物の種類も増やし手広くやって生産数も増やす予定だ、更に作物が順調に育ったらこの国で誰も飲んだことがない、とても美味い酒を提供出来るようになるだろう、どうだ?」
「誰も飲んだこと無い、美味い酒だと…?そんな物があるのか」
「ああ、今は村の復興が大事でな、まだまだ酒を作る余裕や道具がないのだ、まだまだ先にはなるが農作物で金を稼ぎ道具を揃えたところで酒を作る予定だ」
七賢人は美味い酒という話を聞き騒ぎ出した、ドワーフはお酒が大好きだから騒ぎになるのも当然だ。
幸い俺の記憶には日本で作ってた日本酒や様々な酒を作る知識だけはある、大学の時に酒造りに関して色々研究したからな今でも作り方は覚えている」
「わかった、もし酒を作る時になったら言ってくれ、こちらも協力しよう、そして本当に美味しかったらこの国専売で売って欲しいその条件でどうだ?」
「わかった、ではこの件についても合意したと言うことで決まりだな」
交渉事の三つのうち一つは合意できた、次は二つ目と三つ目だな。
「では、次だが我が村へ道具を譲ってほしい、主に木材を加工する道具類だ」
「それは何ゆえだ?」
「実はな、精霊ドリアードが住んでいたアルタイルの大森林が酷い状態になっているのだ、我は森の復興に助力しており枯れた木を大量に伐採して新しい木を植えているんだが、伐採した木を加工する道具がなくてな、この木を何かに有効活用しようと考えている」
「なるほど、そういう理由でか…解った工具工房に木材加工用の道具を手配させよう、これは先行投資としてそちらに譲渡しよう」
「それは助かる、本来なら金銭で交渉するところだが手持ちの金が少なくてな…」
二つ目は簡単に決まった、まあこちらに貸しを作っておきたいのであろう。
最後に三つ目の交渉だ。
「最後に我が村に人材を数名派遣して欲しい、ドイラム村には建築や鍛冶仕事が出来る人材がいなくてな、先程の木材を使って倉庫や新しい建物を作りたいし、こちらが必要としている道具も色々揃えたい」
「なるほど人材の確保か…検討しよう、直ぐにはとはいかんが」
俺との交渉を聞いて後ろにいたルコットが突然声を上げた。
「私に行かせてください!」
彼女はこの国の騎士隊長でもある、そんな人物が他所の村に行こうと志願したのだ。
突然の申し出に七賢人は動揺しているようだ、皆を嗜めるようにボーマンがまず彼女の真意を問いただす。
「お主はドワーフ鉄騎隊の騎士隊長なんだぞ、何故お主が向かう」
「そうだ!お前が行く必要はないだろ!」
突如として話に割り込んで来たドワーフがいた。
あれは確か建築のドラクだったけか、なるほどルコットは彼の娘だったのか。
「バルテオス殿の活躍により国の脅威は取り去られました、そうすると騎士たちは暇を貰いそれぞれの工房に戻ります、私も元々の建築業の力を活かし彼らの村に行って指揮をとれば村の発展に貢献できるはずです」
「しかし、お前を送り出すのはワシは反対だ…」
「父様は最近建築の仕事が少ないって嘆いてたじゃない、それなら私が彼らの村に行って建築の仕事を請け負い腕を更に磨く事で将来国の貢献になると思うの、違う?」
「それは、そうだが…」
相手は悩んでるな、真剣にプレゼンして後一押しの時は、他からのアプローチで懐柔するのがビジネスの鉄則だ。そう思った俺は彼女の後押しをしようと更に畳み掛ける。
「我はルコット殿の建築技術が知らないが恐らく有能なのだろう?娘を手放したくない親心はあるだろうが技術力がある是非彼女に頼みたい、なに心配ない危険なことがあれば必ず守る、約束しよう」
二人からの説得により建築のドラクはどうやら観念したようた。
「わかった…ルコット行くことを許可する、建築技術を更に高めて来なさい」
「ありがとう!父様!」
二人が合意したところでボーマンが交渉について締めくくりの言葉をだす。
「では、これで交渉成立という事でよろしいか?」
「ああ、問題ない」
ドワーフ国との交渉が済み、ルコットがドイラム村に来てくれることになった。
相当自信あるようだし、彼女に今後村の建築と人材育成について相談することにしよう。
なんだか女子がどんどん増えてきてるがリブラ一筋は変えないからなと自分に釘を打つのであった。
隔日(火、木、土) の21時頃更新予定、筆が乗ったら他の日も投稿します。
月曜日は投稿お休みです。




