17. 魔王軍四天王『虚空のヴァラク』があらわれた!
ドワーフ国への魔王軍侵攻についてリブラと対策を考えていた。
まず戦う前に敵を知れだ、前回に侵攻してきた敵の総勢を聞いてみたところ、空を飛ぶ魔鳥ハーピーと武装した魔人オークの軍団が大軍で攻めてきたとの事。
空を飛んでいるハーピー達は暴風殺、地上のオークっぽい奴らは爆裂雷で殲滅するとして、問題は四天王の一人『虚空のヴァラク』だ、ハッキリ言ってどれくらいの強さか解らない。
「リブラ、奴の強さは知ってるか?」
「申し訳ありません、闘気を使った攻撃が得意という事は解りますが強さまでは…」
「そうか、ありがとう」
まさか四天王が来てるとは思わなかった、こちらの魔法が通じなかったらどうするか。
何か武器になるものがあればいいが、ルコットに相談してみるか。
「ルコット、魔導師向きの武器はこの国で売ってないか?」
「魔導師向きの武器?どうするんだ?」
「相手は魔王軍の四天王だ、強さで言えば我に匹敵する可能性がある、それなら武器で強さを底上げしておきたいのだ」
「魔導師向きの強い武器な…誰か!魔導師向けの武器で強いやつを知っているか!?」
「団長様 『五槍の杖』がありますぞ!」
「ああ、アレか…見た目が悪くて売れ残ってる最強の魔法杖とか言われてる奴か、誰か!その武器を持ってきてくれ!」
ドワーフの戦士の一人が武器を取りに行き、しばらくすると武器を持ってきた。
ルコットが俺に手渡すように指示してその最強杖というのを受け取って武器に掛けられた布を取り払う。
「使ってくれ、見た目は悪いが」
手に取った杖は、一般的な魔法杖と呼ばれる位の長さで柄が太いようだ。
先端が細い五本の槍のように別れていて、根元の方は三角の形をしてもう一つの手で両手で持ちやすくなっている、まてよコレどこかで見たことあるぞ…。
「ってこれ草を取り分ける農業用フォークじゃねえか!どこが杖なんだ!」
思わず素でツッコんでしまった。
魔法使い用の杖だと思ったら農業用フォーク出されたらそりゃツッコミたくもなる。
「いや、その…見た目は悪いがこの国で作られた最強の杖だと言われてるんだ、何でも魔力を込めて使うと物理攻撃の威力を上げる杖とかで、投擲槍や近接武器としても使えるそうで、他にも色々な機能があるらしいが作った者が不明で詳細がわからないんだ」
「この農業用フォークが強いのか?とてもそうには見えないが…」
「試しに使って最強の杖と言われる強さを見せてくれ」
農家の衣装に農業用フォークを装備した俺は、魔王どころか誰がどう見ても農家のおじさんだ。
農家のおじさんレベル100と言ってもいい、だれがなんと言おうと農夫だ、うん間違いない。
「しょうがない、これで戦ってみるか」
武器を装備した俺は入口でリブラと共に魔王軍が近づくのを待ち構えた。
大雑把に見えてハーピー軍団三百、地上の武装魔族オーク軍団三千位というところか。
たしかに大軍勢だ、毎回このレベルで敵が攻めて来てたら苦戦するな。
軍団でリーダー格の四天王のヴァラクがドワーフ国の入口で待ち構えてる俺を見て驚きそして嘲笑した。
「なんだぁ?あの農夫はドワーフ国はあんな奴に頼らないといけないほど逼迫してんのか、笑っちまうわ!ハッハッハッ」
余裕の表情を見せているヴァラクに対して俺は先手必勝と思い強力な魔法をお見舞いすることにした。
「暴風殺!デスサイクロン!」
魔法の詠唱と共に俺が持っている杖が光りを放ち、敵軍団の中心から巨大な竜巻が発生した。
まるで昔ニュースでみたハリケーンのような巨大な暴風によりハーピーやオークを飲み込んで次々と倒していった。
「なんだ!?この杖を持ってたら魔法の威力まで上がってる感じがするぞ!?」
「すごいです…魔王様の魔法の威力が二倍くらいになっています」
見た目悪いけど最強の魔法杖ってのは本当なのかもしれない。
誰も使いこなせないのは、強大な魔法力がないと効果が見えないからか。
「今の一撃でハーピー達はだいたい倒せたな…続けていくぞ!爆裂雷!サンダーブレイク!」
大量にいるオークたちに、強大な雷が6本も落下して地上全体に広がる。
いつもなら3本前後の雷なのでやはり威力が上がっている、これは凄い。
──グオオオオオォォx
オークたちは絶叫をあげながら次々と倒れていった。
二発の魔法で魔王軍をほぼ殲滅出来るってやはり魔王の力は絶大と言う事か。
まあ、杖の力で底上げされてるのもあるがメチャクチャ強いな。
爆裂雷が起こした噴煙が晴れたところ、倒された敵の中で四天王ヴァラクが平然と立ち尽くしていた。
さすがに俺の魔法でも倒されないとは四天王というだけある。
「なかなかやるじゃねえか、ここまで強い奴がいるとは思っていなかった、もしかして貴様勇者か!?」
相手からの問いかけに対して、俺は答えなかった。
いや答えられなかった、だって声で魔王とバレるから何も話せないというのが正直な気持ちだった。
そうだ、こういう時はリブラに助けてもらおう、俺は小声で彼女に耳打ちした。
「なあなあ、リブラ…何か声を変える魔法ってないか?このまま喋ったら魔王だってバレそうだ」
「そうですね…虚像の共鳴というのがありますが、使いますか?」
「頼む、使ってくれ」
「では、いきます、虚像の共鳴!」
ヴァラクはこちらが無言であることに若干イラつきを覚えながら再度問いかけてきた。
「なんだぁ?ダンマリか!俺の強さを見て怯えてるのかぁ!?」
リブラに魔法を掛けてもらい声が変わったと思った俺は大きな声で叫んでみた。
「貴様は確かに強いな、だが我の敵ではない!!」
発声された声を聞いて誰もが驚いたに違いない、俺自身も驚いた。
なんと俺が喋った声は、テレビやラジオの相談室でプライバシーに配慮してますって変えてる主婦の声みたいな高さの声だった。
(主人が浮気して別れるか悩んでるんです!)あんな感じの高い声だった。
ただ、予想もしてなかったのかリブラは、俺の余りにも高い声に必死に笑いを堪えてプルプルしていた。
リブラ…こういう時は笑ってもいいんやで…。
「なんだその変な声は!?ふざけてんのか!!」
俺の言葉を聞いて業を煮やしたヴァラクは眼の前で巨大な気功弾を作り上げこちらに飛ばしてきた。
飛翔して来た気功弾に対してリブラが魔法障壁で受け止める。
攻撃の威力がかなり強いのか防いでいる彼女は歯を食いしばって耐えている。
とても辛そうだったが何とか一発目を耐えきってみせた。
「バル様、やはり四天王の攻撃は強いです…私の魔法障壁でも後数発しか耐えられそうにないです」
なるほど彼女は敵の攻撃の威力を探ってくれたのか。
ただリブラが言うとおり彼女では余り耐えられそうにない。
俺が生み出した時に戦闘に関する能力は何も付けて居ない、防御スキルと多彩な能力が彼女の力なのだろう。
「これは早めに決着をつけないとなヤバいな」
こうなったら魔王の記憶にある魔法で片っ端から全部相手に当ててやる。
更に俺は畳み掛けるようにヴァラクに対して魔法を連打して攻撃を開始した。
「爆裂雷!サンダーブレイク!」
「地獄炎!ヘルズバーン!」
「千氷槍!サウザンドアイススピア!」
「暴風殺!デスサイクロン!」
しかし、ヴァラクは魔法をものともせず、殆どダメージを受けていないようだった。
こちらの魔法攻撃に対して余裕の表情すら見受けられる。
「クックック…それで終わりか?魔法攻撃ごときじゃワシは倒せんぞ」
魔王の魔法攻撃すら凌ぐ四天王を前に始めての強敵と戦う緊張感を感じていた。
しかし、手持ちの魔法はこれだけで、肉体が未覚醒なせいなのか他の魔法が使えない。
思わぬ苦戦を強いられた俺は打開策を探るしかない、そう考えていた。
隔日(火、木、土) の21時頃更新予定、筆が乗ったら他の日も投稿します。
月曜日は投稿お休みです。




