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転生最強魔王の引退物語 ~最愛の部下と田舎でのんびり暮らしたい~  作者: 茶巾丸
第8章 魔王様帰還冒険編

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100. 故郷パルテセスの消滅

約一ヶ月ぶりに帰還した懐かしの故郷。

俺とみんなで作り上げたパルテセスという国は、建物が殆ど崩壊していた。

大地は各所で隆起して激しい戦闘の跡を物語っており、住人も消えている

どういうことだ?何があったんだ、皆はどうしたんだ。

たまらず俺は誰かいないか大声で呼びかけてみた。


「リブラ!ライラ!どこだ!?返事をしてくれ!」


俺が声を張り上げて叫んでも周囲に声が響くだけで全く静かだ。

更に足掻くように周囲一体に響くように全力で叫ぶ。


「ルコット!ヴァレリア!セレネ!ルナリー!リルム!エレーナ!誰でもいいから返事をしてくれ!!」


どんなに叫んでも虚しく声が響き渡るだけで一切の応答が無かった。

あれだけいた仲間と住人が誰も残っておらず無常にも完全に静まり返っている。

俺は悔しさと絶望に満ちた声を僅かに漏らす。


「誰かお願いだ…返事をしてくれよ…」


共に来たアトレシアが周囲一体を調査していた。

何かに気付いたのか滅んだ街について気になった点を伝えてきた。


「周囲一体を調べてみましたが、これだけ破壊されているのに死体が全くありません。皆でどこかに逃げたのではないでしょうか?」


そうか、何かあった時には村の住人を逃がすように伝えておいたんだ。

避難先はアルタイル大森林の大樹だ、ドリアードのリアの元へ向かおう。

アトレシアと共に大樹の近くまで来たが森の一部が焼けてしまっていた。

大量の水も流れているし、火災でも起きたのか誰かが攻撃してきたんだろうか。

大急ぎで中に入って彼女の姿を大声で呼びかけた。


「リア!リアはいないか!?」


大樹の守り手であるリアも不在だった。

本来なら森を守るべき存在である彼女さえ中にいなかった。


「ここも無人か…一体みんなどこに行ったんだ」


「他に大人数が逃げられる場所はありますか?」


逃げられる場所、ここから近い場所と言えばガンギルダとガヴェリアだ。

だけどガンギルダは徒歩で逃げるにはあまりにも遠すぎる。

可能性としては定期的に貨物輸送を行っていたガヴェリアに逃げたという線もあるな。


「アトレシア、もう一つ心当たりがある、一緒に行こう」


「はい、承知いたしました」


彼女を闇の手で抱えて一路ドワーフ国ガヴェリアへと飛ぶ。

国に近づくと入口付近に沢山の仮設住宅みたいなものが建っている。

もしかしてパルテシアのみんなは、ここに逃げ込んだのだろうか?

俺は門番に事情を聞こうと中に入れてもらうと、ルコットが兵士たちと打ち合わせしているのを見つけ急ぎ駆けつけ問いかける。


「ルコット!」


「パルテ様!?戻ってこられたんですか!」


「一体パルテセスに何があったんだ!君は無事なのか!?」


「私は街の皆を逃がすためにドワーフ国へ来ていたので無事でした、しかし他のメンバーが戦いで負傷していて酷い状態です。そちらの方はどなたですか?」


「隣に居るのは、新しく仲間になったアトレシアだ。詳しくは後で説明するから教えてくれ!なんでパルテセスが崩壊したんだ」


「つい先日、魔王軍から新しい魔王『アルカディア』と名乗る者が、パルテ様を討伐するためにパルテセスにやって来ました」


「それで全員で戦ったのか?」


「はい、戦いました。ですが魔王の気配に気付いた時に、突然ライラさんが何らかのスキルを使って、主要防衛メンバー全員の力と能力を大きく制限してしまいどこかに逃げてしまいました」


「なんだって!?ライラが全員の力を封じたというのか?」


「はい、彼女の裏切り行為により力を大幅に失った全員は、新魔王との戦いに挑んだものの圧倒的な力量の差により次々と敗れ、全員を助けようとしたリブラさんが近接移動スキルで全員をガヴェリアに発動させて逃げてきました」


「死者は出ていないのか?」


「リブラさんの機転で全員何とか生き延びました。ですが主力メンバーの怪我が酷く治療に時間がかかっています。治癒魔法が使えるヒルダさんとリアさんが怪我を回復させていますが、恐らく一ヶ月は安静にしないといけないでしょう」


「リブラは!?彼女はどうなったんだ」


「リブラさんは全員を逃がすために自身が守り手となり、魔王の攻撃を受けて瀕死の重傷です。今はリアさんとヒルダさんが付きっきりで回復魔法をかけてくれています」


「すまない、皆のもとに案内してもらえないか?アトレシアはしばらくこの辺りで待っていてくれ」


「わかりました」


「パルテ様、それではこちらへ」


全員が治療を行っている場所への道中で色々考えていた。

ライラが裏切って全員の力を封じた、何故だ?

新魔王が攻めてくるまでの間、安心させるために俺達の味方をしていた?

でも、そうすると色々と彼女の行動に矛盾が出てくる。

あれだけ俺達を助けてくれていたのに突然手のひらを返すなんて信じがたい。

色々考えていたが答えは出ず、治療を行っている病室に到着した。

目に映ったのはリブラが大怪我を負ってヒルダが治療を行っていた。


「リブラ!大丈夫か!」


俺に気付いた彼女は視線をこちらに向け、息絶え絶えに声を絞り出し、笑顔を見せながら元気な姿を見せようと強がりを見せる。


「パルテ様…ボクみんなを守りましたよ。褒めてください」


「ああ、よくみんなを守ってくれた。いくらでも褒めてやる」


リブラの頭に手を乗せてゆっくりと撫でてあげた。

彼女は俺に触れられて安心したのかそのまま眠るように気を失う。


「ヒルダ…リブラの体はどうだ?」


「かなり酷い怪我でしたが、何とか持ち直しました。このまま治療を続けていけば時間と共に回復するでしょう」


「そうか、引き続き頼むよ」


「はい、お任せください」


次にヴァレリアの元に向かう。

彼女はさすが龍族なのか回復力が高いようで、怪我はしているが元気そうだった。


「ヴァレリア、体は平気か?」


「パルテ様!戻ってきたんだ!力を封じられていますが元気ですよ!」


ヴァレリアのベットの周囲を見回したがバルザードは居ない。

彼はどうしたんだろうか。


「そういえば、バルザードはいないのか?」


「父様はちょっと龍族の問題で北方国家ベルカイゼの『氷結龍グラキオバルム』様の所へ出かけています。今回の戦いには不参加でした」


「そうか、よく戦ってくれた。しっかり治してくれ」


龍族の問題って何だろうか。

大海龍ヴォルアトスでも問題が起きていたし気になるところではある。

彼女の元から離れ他のメンバーの様子も見に行く。

すぐ近くにセレネが居たので彼女にも声をかけた。


「セレネは、体は大丈夫か?」


「パルテ様、戻られていたんですね。私は比較的軽い怪我で済んでいます」


「さすが元勇者だけあるな、相手は強かったのか」


「新魔王は恐ろしい程の力を持っていました。流石に制限された状態では厳しかったですが、リブラさんの機転で全員難を逃れました」


「無事で何よりだよ、しばらく療養を続けてくれ」


「はい、わかりました」


全員の無事を確認して、ルコットに頼み七賢人に面会を要請した。

パルテセスの難民を受け入れてくれた事についてお礼と感謝の言葉を伝える。

これから復興に尽力を尽くす旨と新魔王が現れて近い内に戦う事になるので、こちらの国には近寄らないように警告をしておく。

ルコットの計らいで、当面パルテセス復興の手伝いを約束して貰う事ができた。

ガヴェリアも落ち着いたら復興に人員を割いてくれると言ってくれ一安心だ。


さて、俺にはパルテセスの主としてやるべき事がある

全員に制限をかけて行方をくらましたライラに真実を問いただす。

そう考えて彼女を探すために外に出て捜索に出発することにした。


なぜこんな事態を引き起こす原因を作ったのか。

女の子相手に本気で怒ることはないと思っていた。

だけど今回の件は別だ。

皆で協力して作り上げたパルテセスを崩壊させて、仲間に大怪我を負わせた。

もしも裏切り行為だとしたら絶対に許せない。

俺は普段温厚な方だが久しぶりに怒り心頭だ、

絶対に見つけて今回の件について全部問い詰めてやる。

火、木、金、日の19時から21時頃で更新予定。

月曜日は投稿お休みです。

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