第7話 何かついてる
「新しいパンツをもらいました!」
勇者さまたちが山小屋に帰ってきて、すぐ、わたしは新しいパンツを見せた。
普通のパンツだけど、許してもらえるだろうか?
「10枚も買ったの?」
「いえ、エスメラルダさん。
買ったんじゃなくて、もらいました。
お店の人が、勇者さまのパンツに何かついてるんじゃないかって、こんなにくれました」
「「「「何かついてる!?!?」」」」
なぜか、みんなが異常に反応した。
何か変なこと言ったかな?
「勇者殿のパンツに……」
「何かついてる?」
「だから、マクラフィッシュが俺のパンツを食いちぎったと?」
「パンツに何かついているから、マクラフィッシュが食いちぎった……」
勇者さまが険しい顔になった。
他のメンバーも何とも言えない顔になり、勇者さまを見てる。
やっぱり、勇者さまのパンツは、ただのパンツじゃなかったんだわ。
(失敗した!!)
弁償できない申し訳なさで、わたしは下を向き、両手で顔を覆った。
「こら! うなずくように下を向くな!!」
勇者さまが怒ってる。
そりゃそうだ。
パンツを破られたうえに、ちゃんと弁償してもらえなかったんだもの。
怒って当然だわ。
申し訳なくて、顔を上げられない。
「今の言い方だと、俺が何かもらしたみたいだろ!!」
「もらす?」
わけがわからなかった。
何の話をしているのだろう?
今はパンツを弁償できなかったと話していたのに、なぜ勇者さまが告げ口したみたいに……?
混乱するわたしに、勇者さまが必死に説明した。
「今の話の流れだと、俺が〔おもらし〕したから、エサだと思って俺のパンツにマクラフィッシュが食いついたことになってんだよ!!」
「えっ!!!?」
思ってもみない方向に話が向いててびっくりした。
「もらしてもいいように、たくさんパンツをくれるとは良いお店じゃのぅ」
「えぇぇっ!!!!!?」
ジージエおじいさんがとんでもないことを、ボソッと呟いた。
「違う! 俺はもらしてなんかない!!
そんな目で見るな!!」
みんなは勇者さまに、「何も恥ずかしいことじゃない」「命の駆け引きをしているのだから、そんなこともある」「ワシもある」とか優しい言葉をかけている。
「雑用係ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!
お前、店で何て言ったんだよ!」
「うわぁぁぁぁん! すみません!!」
激怒する勇者さまに、とにかく謝った。
しかし、勇者さまはどんどん詰め寄ってくる。
「謝罪はいいから、店で、なんと言ったか、話せ!」
「う……、み、店で『何かの付与がついているかも』って言われただけです」
「「「「え? 付与?」」」」
みんながキョトンとした。
あれ?
もしかして、付与はついてなかったのかな?
「やぁっだぁ! あるわけないじゃん!!」
「下着に付与はつけないですね」
「お店の人が、『勇者のパンツは普通のものじゃないはずだ』と勘違いをしたんじゃな」
「早くそれを言え!! 俺が恥をかいただろう!」
パンツに付与はついてなかったみたい。
わたしは胸をなでおろした。
「いちおう裁縫道具も買ったので、また破られたら縫うこともできます。
――――――上手くはないですけど……」
「おいおい。
もうマクラフィッシュなんかに負けないでくれ」
「いやいや、素晴らしい心がけじゃ」
誤解もとけて、和やかな雰囲気で一日を終えたと思った。
しかし、まだ一日は終わってすらいなかった。
大変なのは、これからだった。




