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勇者パーティーの雑用係  作者: 葉桜 笛


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第8話 スライムが合体しています


「――――はぁ。

 今日は買い物しただけで、魔物と戦ってないのに疲れた……」



 山小屋の三階の自分の部屋の椅子に座って、ぼんやりと窓の外を見ながらため息をついた。


 何でこんなに疲れたんだろう?

 山生まれの山育ちなので、山道を歩くのは慣れている。

 歩きなれた山じゃないからかなとか思っていると、外から不思議な音が聞こえてきた。



「――――――とぷん。…………ぼわん」



 水気のある音。

 山小屋には、川も、池も、沼もない。

 少し離れた所まで歩かないと、水場はなかったはず。



(井戸があったのかな?)



 もし、井戸があったなら、明日からの水汲みがとても楽になる。

 期待しながら窓を開けて、下を見てみた。



「ひぃぃぃぃっ!!」



 ぷにゃぷにゃとうごめく水色の物体。

 それが、山小屋の結界にはじかれて、体を揺らしていた。

 山小屋の二階に届きそうなぐらいの大きさがある。


 よく見れば、その物体の足元に(()()に足はないけど)、スライムが何匹かぴょこぴょこねていた。



「………………合体、してる……の?」



 恐怖しかなかった。

 昼間に見たときは「カワイイ」と思っていたけど、合体したら可愛くない!!

 同じ水色のスライムなのに不気味だった。



「大変……勇者さまを、呼ばなくちゃ……」



 震える手を握りしめ、二階の勇者さまの部屋まで急いだ。




「ゆ、勇者さま!!」




 緊張して声まで震えた。

 手も、声も、震えながら、なんとか強くドアを叩く。



(お、落ち着いて……しっかり、要件を伝えるのよ)



「お、大きな、スライムが……外に!」



 必死に、心を落ち着かせて、ドアの前で叫んだ。

 すると、少したってから、勇者さまの部屋のドアが開いた。

 勇者さまは眠っていたらしく、目を開けるのが辛そうだった。



「ふぁ……あぁ」



 大きなあくびだった。



「うるせぇ。

 んなもん、ほっとけ。結界があるから、心配ねぇよ」


「でもっ、とても大きいんです!!」


「じゃ、お前が倒せよ。

 お前でもやれる……ふぁ…………」



 また、あくびをして、勇者さまは部屋の中へ戻ってしまった。

 扉が「パタン」と閉められた。



(どうしよう!? 勇者さまは寝ぼけている)



 わたしは、急いでエスメラルダさんの部屋に向かった。



「エスメラルダさん! 大変なんです!!」



 こうしている間にも、スライムが合体を続けているに違いない。

 勢いよく、エスメラルダさんの部屋に飛び込んだ。



「……!!」


「――――――――見ぃ、たぁ、わぁ、ねぇぇ?」



 エスメラルダさんは、寝る前の肌のお手入れをしているところだった。

 眉毛まゆげが無いので一瞬びっくりしたけど、確かにエスメラルダさんだ。いつもと違って、一重瞼ひとえまぶたでも、少しシミとそばかすがあっても、キレイな顔をしている。



「スッピンを見られるなんて、屈辱的だわぁ…………」


「え? でも、メイクを落としてもキレイです」


「じゃぁ、なんでドアを開けたとき、悲鳴をあげたのよ?」


「ただ、びっくりしただけです」



 メイクがどうこうより、詰め寄ってくるエスメラルダさんが怖かった。

 朝ごはんのとき、パンを追加してくれたエスメラルダさんとは別人のようだった。


 しかし、ここで、話を脱線させるわけにはいかない。

 こうしている間にも、スライムがどんどん大きくなる。

 わたしは、あせった。



「ス、スライムが!

 この山小屋の二階に届きそうなぐらいの大きなスライムが外にいます!!」


「は? 大げさね。

 結界があるから心配ないわ。この部屋から、早く出て行って!」



 “大きい”だけでは、わかってもらえないかもしれないから言葉を選んだつもりだったのに「大げさ」と言われ、追い出されてしまった。



(本当に結界があるから大丈夫なの?)



 二人から「心配ない」と言われても不安だったので、フィリアさんの部屋にも行った。



「……フィリアさん。

 そ、外に、大きなスライムが……二階に届くぐらいの大きさで……」



 また、追い返されるのかもしれないと思うと、言葉に力が入らなかった。

 ドアをノックすると、フィリアさんはすぐに出てきてくれた。どうやら、寝る前に魔導書を読んでいたみたい。



「そうですか。ガイツさんとエスメラルダさんには断られましたか」



 フィリアさんも、落ち着いていた。

 やっぱり、わたしの心配のしすぎなのだろうか?



「もし、本当に危ない時はですね、ジージエさんの水晶が危険を知らせてくれるんです」



(そうだ! ジージエおじいさんは占い師!!)


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