第6話 魔石を換金したら、驚かれました
洗濯物を干したあと、山小屋に裁縫道具がないか、あちこち探してみた。
「ない!!」
そうだよね。
無いよね。
もしかしたらと思ったのだけど、無いか。
本当はあるかもしれないけど、探すのに時間をかけられない。
水汲みが残っている。
早めのお昼ごはんを食べて、川に向かった。
「え~い!」
午前の洗濯の時に少し倒しておいたのもあって、三十匹以上のマクラフィッシュを昨日より早く倒せた。
まだ、水汲みは残ってる。
復活されては困るから魔石を回収して、水を汲み、山小屋に戻った。
山小屋の結界にはじかれているスライムが、カワイイ。
疲れてヨレヨレになのも忘れるぐらい、癒される。
そんなことを思いながら、水を壺に移し替えて、再び水を汲みに行った。
さっき、いっぱい倒したので、マクラフィッシュは三匹しかいなかった。
離れた場所にいたのが、泳いできたのかも。
「二日目にして、要領つかんできた!!」
明日はきっと、今日よりできることが増えるに違いないわ。
「明日は、町でパンツを買ってこい」
夜、やぶれたパンツを見せて勇者さまに謝ったら、パンツを買うように言われた。
そっか。
やっぱり、予備のパンツがなかったんだわ。
申し訳ないことをした。
わたしは、心から謝った。
憧れの勇者さまに迷惑をかけて、心苦しい。
「本当にすみません。明日、町で買ってきます」
「金は、マクラフィッシュを倒した魔石を換金して払え。
倒したのは、一匹や二匹じゃないんだろ?」
「はい! そうです!! そうします!!」
嬉しかった。
勇者さまは、わたしが一日で四十匹近くのマクラフィッシュを倒していることに、気付いてくれている。がんばりを認めてくれたうえの提案に、感動した。
あまりに感動していたので、勇者さまとエスメラルダさんの会話が耳に入ってこなかった。
「――――ちょっと、ガイツ!
あの子に有金全部使わせる気?
給料払ってないんでしょ?」
「――――大丈夫だって。
あいつ、たしか、“4”って言いかけてたんだ。
四匹も倒したなら、パンツの一枚ぐらいどうってことないさ」
次の日は、ダンジョンに行く勇者さまたちを見送ったあと、山を下りて町に行った。
ちなみに、この日も寝坊した。
マクラフィッシュは弱いけど、数が多くて本当に疲れる。
町に着いて、まず魔石の換金に行った。
「なんじゃ、この量は!!」
カウンターにマクラフィッシュの魔石をジャラジャラと出したら、お店のおじさんにびっくりされた。
一日に四十匹ぐらい倒したのを二日分と、マクラフィッシュが持っていたっぽいキレイな石が何個かあって、合計で百個ぐらい魔石があった。
「この魔石を売って、勇者さまのパンツを買うように言われたんです」
「え!?
この量を換金すると、銀貨一枚ぐらいになるんだが?
田舎のお宅の家具なら、全部買い替えられる金額だよ!?
お、お嬢ちゃん!
勇者さまは、そんなに豪華なパンツをはいているのかね!?」
そう言われて、勇者さまのパンツを思い出してみる。
その間、お店のおじさんは「実は勇者さまは王族なのか?」とか「勇者さまは、もっとも危険な命がけの戦いをしているから、いつ死んでもいいように豪華なパンツをはいているのか?」とか「だいたい、銀貨一枚もするパンツを見たことがない。レースがついていたり、キラキラ光る生地を使っているのか?」といろいろ聞かれた。
思い出しているので、ちょっと待ってほしい。
「たぶん、普通のパンツだと思います。
光ってないし、レースもついていません」
「じゃあ、何かの付与がついている可能性があるねぇ」
付与!
ウワサで聞いたことがある。
剣や防具に、特別な力を宿しているものがあるらしい。
例えば、剣に火の付与がついていたら、振るたびに剣から火が出る。
そんな効果が勇者さまのパンツにも!?
「下着にも付与なんて初めて聞いたよ。
うちには、ないね」
「えぇ!?」
「とはいえ、ねぇ……」
おじさんが、カウンターの上に山積みになっている魔石見つめた。
「勇者さまは、がんばって魔物を倒してくれているんだよねぇ。
うちには普通のパンツしかないけど、これを持って帰りな」
おじさんは、銀貨一枚と銅貨三枚と小銭を数枚。
そして、普通のパンツ10枚を渡してくれた。
「え、お金……」
「こんなにも、魔物を倒してくれてんだ。
パンツの代金なんていらねぇよ」
「あ、ありがとうございます!!」
付与はついてないけど、パンツが手に入った。
しかも10枚も!!
お店の人が、いい人でよかった。




