第70話 隣国に行くことになりました
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ヤル気が出ます!!
「国を……捨てる?」
「そうだ。アイビー。
ペラルゴニウム村は、チグマ王国を捨てる!
マシロ王国に入れてもらえないか手紙を書くから、フェンと一緒に届けに行ってくれ」
「所属する国を変える……そんなこと出来るの?」
「やってみないとわからないだろう?
アイビーがいなければ、どうせこの村は滅んでいたんだ。
どっちにしろ、チグマ王国はペラルゴニウム村を失う運命だ。
王国がその判断をした。何の問題もない」
お父ちゃんは、すぐにマシロ王国への手紙を書いて持ってきた。
「マシロ王国の王子とは友達になったんだろ?
なら、お前が一番適任だ。
ダメ元でいいから渡しに行ってくれ。
うまくいかなければ、〔ペラルゴニウム村〕を〔ペラルゴニウム国〕にするだけさ」
お父ちゃんは、どこまで本気なんだろう?
大胆な決断ができるお父ちゃんはスゴイなと思いながら、わたしはフェンに乗って、マシロ王国のソラル王子の元へ向かった。
***
「こどもをダマすなんて最低よぉぉぉぉ!!
とぅえぇぇぇぇぇい、や゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛っ!!」
椅子に座っていた武闘家が、とつぜん左に回転しながら飛び上がり、その回転と高さを最大限に生かして勇者に平手打ちをした。
そのあと、思いっきり勇者の顔を殴打。
遠慮のない攻撃だった。
「ふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふん!!!!」
「はぶはぶはぶはぶはぶはぶはぶはぶはぶはぶはぶはぶはぶはぶはぶっぅぁ!!!!」
勇者は武闘家にボコボコにされた。
せっかくおさまって来たのに、また顔が腫れあがりジンジンと熱を発した。
技を使わなかったのは、武闘家の気遣いだったのだが、勇者は察することができなかった。王宮に仕えているだけあって、武闘家の拳は、とてもとても痛かった。
「そのブサイクな顔で許しを乞えば、帰って来てくれるかもよ?」
そう言って、武闘家は実家に帰って行った。
仕方がないので、勇者はボコボコの顔で、一人、ペラルゴニウム村へ行った。
「ギュワッ! ギュワッ!!」
「ギュワァァァァ!!」
「ギャゥワッ! ギャゥワッ!!」
「何だ!? こりゃぁ!!
村が、ガーゴイルに占拠されてる!!」
ペラルゴニウム村に着くと、村の外壁の翼の生えた魔物の石像が、本物の魔物に変わり襲って来た。
しかも、一体や二体ではない。
七、八体はいる。
さらに、まだ魔物に変わってない石像が、奥の方にたくさんあるのが見えた。
「村の外壁は、ガーゴイルだらけだ!!
これじゃぁ、村は全滅に違いない……俺が、雑用係の言葉を信じなかったから……」
(俺のせいで、村が一つ全滅した____)
「こんなに不気味な外壁になって……あれ?
……村って、こんな立派な外壁があるもんだっけ?」
冒険をしていれば、外壁はたくさん見ることがある。
しかし、山奥の村に、頑丈そうな扉の着いた高い壁ってあっただろうか?
だいたい村には金がない。
あっても、腰の高さぐらいまでの〔木の柵〕があるのが普通ではなかったか。
違和感を覚えながらガーゴイルに追われ、勇者は村を後にした。
それから、マシロ王国に雑用係がいるとのウワサを聞き、すぐに隣国に向かった。
お城に行くと、大きく城が崩れている部分があり、復旧作業をしていた。
何か大きな魔物が城を襲ったに違いない。
しかし、みな穏やかに働いているので、魔物は退治されたと見えた。
勇者は、門番に話しかける。
「すまない! うちの雑用係がここに居るはずなんだ。
会わせてくれ!!」
「雑用係? お名前は何とおっしゃるのですか?」
「俺は、勇者ガイツだ」
「え? いや、その雑用係の方のお名前です」
「……え?」
勇者は、雑用係の名前を覚えてなかった。
「城にはたくさんの者が務めておりますので、お名前がわからないとちょっと……。
というか、名前を知らないなんて、本当に仲間ですか?」
とても気まずい雰囲気になった。
勇者であることさえも疑われそうな勢いで、ジロジロ見られた。
困り果てた所に、雑用係の姿が門の隙間から見えた。
「おい! 雑用係!!
俺が悪かった! 戻って来てくれないか!!
エスメラルダが抜けて、戦力が足りないんだ!!」
門の向こうの雑用係が勇者に気付き、振り向いた。
だが、何だかいつもと違った。
品がある。
「急激に強くなったんだろ!?
お前には、勇者の素質がある!! 戻って来てくれ!!」
「すみません。勇者さま。
わたし、この国の〔聖女〕に任命されたので無理です」
かつての雑用係は、マシロ王国の聖女になっていた。




