第67話 あの頃とは違う
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「何だ!? このマクラフィッシュの量は!?!?」
30匹以上のマクラフィッシュが川で跳ねていた。
少しでも近くに行ったなら、陸にいても攻撃されそうな勢いだった。
______一度に30匹のマクラフィッシュを〔一突き〕で倒すんでしょ?
勇者は、昼間の換金所で言われたことを思い出し、胸がザワザワした。
______もう、アイビーちゃん凄かったんだから♡
マクラフィッシュなんて、一突きよ!!
町の復興のため、実家に帰った〔武闘家〕の言葉。
武闘家は雑用係を褒めていた。
あの時は過保護としか思わなかったが、マクラフィッシュは女性やこどもでも倒せるため、それを褒めるのは何だかおかしい。
嫌味に取られてもおかしくない。
「……まさかな」
(30匹以上いるマクラフィッシュを一突きなんて、無理だ)
そんなことを考えながら、勇者は倒れたまま占い師にマントを引きずられ、後ろからヒーラーに回復魔法をかけられていた。後ろから迫りくる【灰色ドシニア】は、魔法使いが何とか交わした。
勇者は、魔法ですぐ回復できないほど重症だった。
***
「【ガーゴイル】がもう来た!!」
「新しい村長の読み通りじゃ!!」
「俺たちは、前回襲われた時とは違う!!」
「まだ途中だが、戦う準備はしとる!!」
「悲劇を繰り返さないぞ!!」
村のみんなが武器を取りに家に戻り、そして配置に着いた。
「頼んだぞ。アイビー」
「うん。お父ちゃん」
わたしはフェンの背中に乗った。
「無茶はしないのよ? 必ず帰って来てね!」
「うん。お母ちゃん!」
フェンが黒い羽をはばたかせると、村のみんなも声をかけてくれた。
「一発かましてやれ!!」
「でも、あまり背負い込みすぎるなよ!!」
「後ろには、ワシらがおるけぇな!!」
「アイビーちゃん! 無理しないのよ!!」
「頼んだぞ! 銀色狼!!」
「みんな~! ありがとう!! 行ってくる!!」
信じてくれる人たちがいる。
それだけで、力が湧いてくる。
雑用係の時とは違うこの状況に、心が軽くなった。
敵が迫ってきているのに、わくわくする!!
「さぁ! やるぞぉぉぉぉぉ!!」
目の前には、わたしを見つけて襲ってこようとする【ガーゴイル】の群れ。
空が暗くなるほどいる。
「ウォォォォン!」
フェンが風を切るように、【ガーゴイル】たちが飛んでる高さまで舞い上がった。
幼い頃、村が魔物に襲われた時、泣くことしか出来なかった。死を受け入れることが怖かった。
でも! 今は違う!!
わたしにも、やれることがある!!
誰も死なせたりしない!!!!
「正義の星屑!!」
わたしは、思いっきり叫んだ。
すると、空からたくさんの星屑が降ってきて、次々と【ガーゴイル】たちの体にめりこんだ。【ガーゴイル】が落ちて魔石に変わっていく。
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!」」」」」
それを見て、村の人達が歓声を上げた。
「すげぇ魔法だ!!」
「【ガーゴイル】が、どんどん落ちていく!!」
「凄すぎるぞ! アイビーちゃん!!」
「いつのまに、そんなに強くなったんだ!!」
「ワシらの英雄じゃぁぁぁぁぁ!!」
みんなの歓声で、力がみなぎってくる。
今なら、何でもできそうな気がした。
「グワワワワワワワァ!!」
〔正義の星屑〕をかわした一匹が、攻撃をしかけてきたので、腰に装備している〔シーガルスホルムの剣〕を抜く。
すると、雷鳴が轟き、雷が剣に落ちてくる。
それを、そのまま、向かって来た【ガーゴイル】に叩き込んだ。
「な、なんだ!? 今のは!?」
「雷が剣に落ちたぞ!!」
「それをそのまま、魔物にぶち当てたわ!!」
「もはや、人間業じゃない!!」
「ワシらは今、伝説の生き証人になろうとしておるのか!?」




